『あさイチ』に吉田羊さんが登場。『光る君へ』を語る「上京したての私は、見栄を張るため、郊外から代官山の美容室まで通っていた」
2024年3月8日(金)8時30分 婦人公論.jp
吉田さん、上京当時は東京郊外に住んでいたこともあって、都心での食事は一大イベントだったそうで——。(写真提供:講談社)
吉田羊さんが「あさイチ」プレミアムトークに登場。現在吉田さんは大河ドラマ「光る君へ」道長の姉・詮子(あきこ)を演じて話題に。一方で「不適切にもほどがある」では向坂サカエという、タイムマシン開発者の妻であり、主人公の親子と同居する重要な役割を務めている。上京当時を振り返った記事を再配信します。
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小劇場を中心に活動後、TV・映画などの映像へと活動の幅を広げる俳優・吉田羊さん。2022年で俳優デビュー25周年を迎えた吉田さんは、訪れた各地やふるさとの福岡などを巡りながら、得られた日々の食体験を雑誌『おとなの週末』に綴ってきました。その吉田さん、上京当時は東京郊外に住んでいたこともあって、都心での食事は一大イベントだったそうで——。
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都心での食事は一大イベントだった
上京してきた頃は、東京郊外に住んでいました。
お金がなかった腹ペコな学生時代、友人たちとの外食といえば、できるだけ効率的にお腹が膨らんでリーズナブルで、かつ長居できるお店つまり、郊外に多く見られる大通り沿いのファミレス。
ピンポーンとボタンを押して「全員ドリンクバーで」と注文するのが常。
ですから、都心へ出て買い物ついでに食事をするなんてのはもう一大イベントでして、ファッションは変じゃないかしら、田舎者だとばれないかしら、どれを頼んだらオシャレなのかしらと、あれこれ考え過ぎて食べる前からどっと疲れているという有り様でした。
代官山の美容室に通っていた理由
中でも当時の我々にとって“アツかった”のは代官山。
『ヒツジメシ』(著:吉田羊/講談社)
服屋も美容室もカフェも見るものすべてが洗練されていて、どこに入るのにも緊張が強いられるハードルの高い街。週末を利用して代官山遠征を果たした人間は、月曜の朝は勇者扱いされたものです。
話は少し逸れますが、当時私は代官山の美容室に通っていました。ただただ「美容室は代官山に通っている」という何に対してかわからない見栄を張るために(笑)。
そのお店に、先日20年ぶりに行ってみまして。当然ながらスタッフはすっかり様変わりしていたけれど、街は、未だ多くの若者が憧れるカリスマ性を保ち、田舎者に強いるちょっぴりの緊張感は健在でした。
という訳で、久しぶりに懐かしの代官山をぶらり。
『龍坊』の担々麺はこれからの季節にもってこい
この日はボディメンテナンスのために訪れました。時間は昼時。前々から気になっていた地下の中華『龍坊』さんにピットイン。
店内はほぼ満席。ランチはコースもあり、高級食材フカヒレのラーメンが、小籠包、デザート付きで3800円。担々麺のランチセットを注文。
サイドは春巻きだ! やった! 春巻き大好きな私にはうれしいコンビ。
担々麺は細麺で若干の縮れ。辛みスープは、ゴマ風味は控えめ、でも口の中でしっかり香りが残る不思議。
そしてエビ春巻き、これがめっぽう美味しかった。調味料のほんのり甘み×エビの甘み=すんごい旨みの方程式成立。しかも、皮の端までぎっしりのエビはぷりっぷりで弾力がすごい。
飲みきれなかった麺のスープは、春巻きを食べきったあとに再度すすると喉をなだらかにしてくれるのでおすすめ。辛み効果で、食べたあとは身体がほんのりぽっぽと。こりゃ、寒くなるこれからの季節にはもってこいの“冷えとり”メシ。
そんでもってデザートの「ココナッツのババロア」。
いやびっくりした、ココナッツそのものだった。ココナッツのババロアではなくババロア型のココナッツでした。甘さ控えめ、上にかかったサンザシのソースの酸味も効いてぺろりといただきました。
非日常な『TABLEAUX』で味わう高揚感
お次は、『TABLEAUX』。
代官山駅の目の前にありながら、地下という立地の隠れ家感と、レストランとバーを分けて併設したラグジュアリー感が大人心をくすぐる。真っ赤なソファと重厚感のあるシャンデリアをあしらった内装は超都会的、かつ非日常的で、「東京」に暮らす自分をふと実感させて俄かに高揚感を与えてくれます。
コースメニューもありますが、この日はアラカルトで注文しました。
北海道産の牡蠣はクリーミー。フォアグラのパテは濃厚の極み。サラダは「自家製ツナ」に惹かれて注文。「マッシュルームのブルーテ トリュフのムイエット添え」は食べてわかる料理(笑)。
北海道産のフレッシュオイスター。どぉるんっと口に滑らせる瞬間が好き(写真:『ヒツジメシ』より)
こちら、薪火で焼き上げる肉料理がイチオシとあって、メインのハラミは突き抜ける柔らかさ。
記念日など、特別な夜を楽しみたい方は、ぜひ訪れてみては?
※本稿は、『ヒツジメシ』(講談社)の一部を再編集したものです。