ナインティナイン、『ぐるナイ』30年で感じるバラエティの変化 体張り系企画からゴチへ…ガチ勝負の魅力

2024年3月28日(木)7時0分 マイナビニュース

●「嫌がるからやる、面白いでしょ?」が成立しない
日本テレビ系バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(毎週木曜20:00〜)が、この4月で30周年を迎える。このほど、ナインティナインの岡村隆史矢部浩之が取材に応じ、これまでの思い出や名物企画「ゴチになります!」への向き合い方、そして30年でのバラエティの変化などを語った。
○テレビというのが何かを教えてもらった番組
30年前を思い出し、「22歳からやらしてもらって、ゴールデンになったら大物の方がゲストで来ていただけるようになったんですけど、自分に何の説得力もないじゃないですか。だから、いつも違和感を持ってましたけど、必死さのほうが勝ってたのを思い出しますね。もがいてたなって」と回想する矢部。
それを受け、岡村は「武田鉄矢さんとお仕事させていただいた時に、“憧れの金八先生と仕事できるんだ!”と思ってご挨拶したら、“あっ”って言われただけで、この人は金八先生じゃないんだと思いました(笑)。芸能界を見ていくような瞬間も多々あって、いろいろと頑張らせてもらっているうちに、先輩方にも認めていただいたなと思いますね」と振り返る。
岡村はさらに、「テレビっていうのが何かを教えてもらった」とも。「ロケの時にいくら面白いこと言っても、ガチャガチャしゃべってる中で言ったら残らないよって。まず“あの!”って言うとか、自分にカメラを向ける技術を覚えなさい、と指導してもらったのはこの番組でした」と、この業界の基礎を学ぶ場にもなっていたそうだ。
○バンジーより「クビになりましたね」
当初は体を張った企画ばかりだったという『ぐるナイ』。岡村は「昔は何かあったらすぐバンジージャンプかスカイダイビングでしたよ。着地した時にどう泣いてるのか、鼻水たれてるのか、オシッコ漏らしてるのかって、大喜利ですからね。『(ビートたけしの)お笑いウルトラクイズ』のスタッフの方もいたというのがあって、すぐ爆破、落とし穴、高いとこから落とされるっていう感じでした」と述懐。それが、「今は(芸人から)NGリストを番組に提出するんですから。そんなん、俺らの時ないから(笑)」と隔世の感だ。
矢部は「“嫌がるからやる、面白いでしょ?”がもう成立しなくなってるんですよね。本当に嫌なものを無理やりやらせたら、番組側の責任になるから」と解説する。
体を張った企画が並ぶ中で、今や看板企画の「ゴチになります!」がスタートしたが、矢部は「最初は若かったんで、座って食べて値段当てるだけでいいのかって思ってましたね。でも、お笑いが大好きな人だけが見てるんじゃないとうのを、ゴチを通して知れました」といい、岡村も「食べ物食べるだけでいいのかなと思ってたんですけど、やっぱりいろんな方から声かけてもらえるようになったのはゴチでした」と、認知の拡大を実感。
近年は2人で抱き合ってバンジーに挑んでも、矢部は「あのOAの後、何も言われないですから(笑)。こっちは久しぶりに体張ったなと思うんですけど、それより“ゴチ、クビになりましたね”のほうが世間の声が大きい。こんなんいらんねやって思いました」といい、岡村は「“体張り系やってください”って言われたらやれますけど、今はそういうことでもないのかな」と、時代の変化を感じている。
●自腹で払った分が返ってくると思っていた
番組が30年続いた原動力として2人が挙げるのは、やはりこの「ゴチ」。人気に火をつけたのは、自腹を象徴とするガチ感だ。スタート当時は、このルールもテレビ上の“体(てい)”だと信じていたという。
「僕らが“やるんやったらガチでやらないと面白くない”って言ったかもしれないですけど、僕は返ってくるもんやと思ってました。やっぱり(金額が)高いですから、もうちょっと交渉するべきやった(笑)」(岡村)
「どっかで払った分のギャラがドーンと入ってくるっじゃないかって、うっすら期待してました(笑)。でも、ほんまに入ってこないので、これはもうガチなんやと思いましたね」(矢部)
このガチ感が真剣勝負を生み、瞬く間に人気コーナーに。クビを食らっている矢部は「全部がガチやから、年末にあの顔が引き出されるし、泣いてしまう人もいるんですよね」と改めて魅力を分析した。
○中居正広、ナイナイ2人に「現金いるの?」
中には、「負けたゲストで“こんなに高いの!?”ってすごい剣幕で帰っていった方もいらっしゃいます」(岡村)というが、4月4日(19:00〜)放送の30周年2時間スペシャルの「ゴチ」にゲスト出演する中居正広さえも、ガチ自腹に半信半疑のようだ。
「中居さんからショートメールで“現金いる?”ってきたんですよ。“いる”って送ったら“ヤバい”って返ってきたので、彼すら負けたら本気で払わなあかんというのが分かってないんですよね。分かってても、誰かが待ってくれるやろと思ってる」(矢部)
「僕のほうにもショートメールで“現金いるの?”ってきたから“負けたら払わなあかんから現金はいるよ”って送ったら“そうなの?”って返ってきました。彼は差し入れとかは結構ドーンと入れたりするタイプなんでしょうけど、ちょっと甘えみたいのを感じたので、そこはバシッと“ゴチは違うよ”って伝えました」(岡村)
このようにガチルールが設定されているゆえ、岡村はスタッフに不満がある様子。「ピタリ賞獲っても、なかなか(賞金)くれないですからね。“あれどないなってますの?”って聞くの恥ずかしいから、今日は記者の方がいて言えて良かったです(笑)」
●ネタ見せの嫌な思い出…「おもしろ荘」で見せる優しさ
「ゴチになります!」と並ぶ長寿企画になったのは、次々に若手芸人を発掘し続ける「おもしろ荘」も。岡村は「吉本印天然素材」のユニット時代、ネタ見せでスタッフが全然笑わない空気に嫌気が差していたが、関根勤MCの番組『ヒューヒュー』(日本テレビ)では「めちゃくちゃ笑ってくれはった」という体験もあって、出場芸人を温かく見守っている。
それだけに、「オーディションでスタッフの方が、ちゃんと若手の方々に優しく接してくれてるのかというだけが心配です」とのこと。さらに、「なんかあると、“おもしろ荘出身”っていう上からの言い方がちょっと嫌ですね。“うちが見つけましたよ!”って手柄取ってみたいな感じは言いすぎだと思うので、“おもしろ荘にも出てましたよ”っていうふうにしてほしいですね」と注文した。
また、「おもしろ荘」に出演を続ける有吉弘行に対し、「『紅白』の司会もやった有吉くんがあそこに座ってくれるのも大きいなと思って。的確に評価して笑いも取ってくれるんですよね。“有吉くん、なんでこの番組出てくれんの?”って聞いたら、“いや、オファーがあるんで”って。クールやなと思ってありがたいです」と感謝する。
一方の矢部は、ネタ後のフリートークに注目。「カンペの中にその人のプライベート情報があるんですけど、ネタでは一番まともな役やってんのに、ひどいプライベートだったりすると、やっぱりそれを出していったほうがいいやろうなと思いますね。だから、時間いっぱいまで何とか引き出そうという意識でやってます」と明かした。
○『めちゃイケ』より先に終わると思っていた
他にも、立ち上げからの古参スタッフの整形疑惑や、ナイナイがそれぞれオウムを飼ってどちらが先にしゃべらせられるかを競う岡村発信の企画など、2人からはエピソードや思い出話が止まらない。
31年目に突入する『ぐるナイ』に、矢部は「ネットニュースで、よく“もう終わってもいい長寿番組”みたいに特集されてるんですけど、ここまできたらそこに載らないことを目標に、“まだやってんの!? すごいな”っていつまでも言われる番組でありたいなと思います」と抱負。
岡村は「本当のこと言うと、『めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)より『ぐるナイ』のほうが先に終わるやろうなと思ってたんですけど、『めちゃイケ』が先に終わりましたよね。我々も52〜53歳になって、いわゆるコア視聴率(対象:13〜49歳)から外れてるおじさん芸人なので、『ゴチ』とか若い方たちと一緒に絡ませてもらって見ていただいているのは、非常にありがたいです」と感謝した。

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