時代が追いついた?…「機動戦士ガンダム」異形のザク、今見ると丸さが最先端
2025年4月9日(水)21時30分 ABEMA TIMES

「えっ、これがザクなの……?」とファンも戸惑うほど、奇妙に丸く、妙にシュッとしたザク。それがアニメ「機動戦士ガンダム」第15話に登場する“ドアンザク”だ。
【映像】普段とは見た目が異なるドアンのザク(6分8秒ごろ〜)
ホワイトベースが地球連邦空軍からの緊急信号を受け、アムロ・レイ(CV:古谷徹)が偵察のために島へと向かう。そこで出会ったのは、子どもたちに慕われながら、岩を投げて戦う謎のザクだった。ガンダムといえば、ビームライフルやサーベル、ザクといえばザク・マシンガン……そんな“お約束”をあっさり覆したこの戦闘スタイルは、まさに異色だった。
しかもこのザク、よく見るとフォルムもいつものザクとは違う。肩がすぼまり、全体的にほっそりとした体つき。丸みを帯びたこのデザインは、奇しくも2025年4月8日より順次放送予定のアニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」に登場予定のザクとも通じる“スマートで親しみやすい”フォルムになっている。結果的にあの時代にしては先鋭的なビジュアルだったとも言えそうだ。
もちろん、これは演出などではなく単に作画が微妙となってしまっただけだった。SNSはおろかインターネットもない時代にこんな個性爆発の機体が登場したことで、逆に語り継がれることになり伝説になってしまったのも当然かもしれない。
作中では、ドアンが子どもたちを守るため、戦いを避けながらもザクに乗り続けていたことが明かされる。彼にとってザクは兵器ではなく盾であり、共に暮らす生活の一部でもあった。その優しさがにじみ出るような見た目は、改めて見てみると決して作画ミスとは言い切れない味を持っている。
2022年には、このエピソードをもとにした劇場版「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が公開され、ドアンザクは完全新規デザインでリファインされた。しかし、独特の丸さやクセはオリジナル版にしかない、現代では再現しきれない味わい深さがある。
ガンダムファンの間では、ネタとしても語られることの多い第15話。だがこの“異形のザク”が40年以上経ってなお語り継がれていること自体が、ガンダムという作品が持つ幅広い受け皿の象徴といえるだろう。アニメの表現もデザインも変化した今となっては、あの“丸いザク”こそが、時代を先取りしていた存在だったのでは? ドアンザクに、時代のほうがようやく追いついてきたのかもしれない。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のロボットアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったが、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれた。以降のガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
(C)創通・サンライズ