若葉竜也、民放連ドラ出演決意した“打ち合わせ”「面倒くさいことに付き合ってくれるなら」

2024年4月15日(月)8時0分 マイナビニュース

●“ズブの素人”として民放連ドラをリサーチ
女優の杉咲花が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(毎週月曜22:00〜)がきょう15日にスタートする。週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)連載中で、元脳外科医の子鹿ゆずる氏が原作(漫画:大槻閑人)の同名漫画を実写化する今作は、“記憶障害の脳外科医”という主人公が目の前の患者を全力で救い、自分自身も再生していく医療ヒューマンドラマ。
今作で、アメリカの大学病院からやってきた優秀な脳外科医・三瓶友治を演じるのが、俳優の若葉竜也だ。昨今は映画を主な主戦場にしている若葉が民放の連続ドラマにレギュラー出演することはほとんどなく、SNSでも「地上波で若葉竜也が見られる」「民放で若葉竜也が見られるのは超貴重」と喜びの声が上がっている。そんな若葉がなぜ、今作への出演を決めたのか。出演にあたって細部まで打ち合わせたこと、そして連続テレビ小説『おちょやん』(NHK、20年)、映画『市子』(23年)と共演を重ねる杉咲の“すごさ”とは——。
○出演にあたり1月クールの民放ドラマを何十本も見た
——若葉さんは、今作の脚本会議から参加されているとお聞きしたのですが、会議ではどんなお話をされたか教えてください。
このドラマで何を一番やるべきなのかという軸の共有、見つめている方向の確認作業ですね。その上で、「だとしたらこのシーンはこうあるべきなんじゃないか」と皆でアイデアを出し合って、プロデューサーや監督がまとめる作業をしていきました。具体的なお話を一つ挙げると、テレビドラマでよく見る、登場人物が説明的なことをべらべらと話すような台詞はやりたくないから、なるべく自然な会話にしていこうと話し合ったりしました。
——説明台詞が多くなるとわざとらしくなってしまう、ということでしょうか。
僕はドラマをほとんど見ないんですけど、1月クールは勉強のために何十本という数の連ドラを見たんです。民放のテレビドラマに関してはズブの素人なので、何も知らずにああだこうだ言いたくないですし、最新のドラマを網羅した上で、やってはいけないこと、効果的なことを探りたいなと。そしたら説明台詞の応酬に、「それは分かったから早く進めてよ」「さっき聞いて分かってるから」と感じることが多くて、馬鹿にされている気すらしたというか、親切が行きすぎて稚拙になっている気がして。そういうことはやめて、しっかり見てくれている視聴者を信用していきましょうと話しました。
○カメラの台数やフレームレートなど細部まで確認
——しっかりリサーチされて、臨んでいるんですね。SNSでも、民放の連ドラで若葉さんが見られてうれしいと喜びの声がたくさん上がっています。カンテレの米田孝プロデューサーからオファーを受けたとのことですが、米田プロデューサーとは今作が初めてのお仕事ですよね。
初めてです。米田プロデューサーは関西に住んでいるのですが、新幹線に乗って僕の家の近所の喫茶店まで会いに来てくれて。そのとき、ご家族に脳腫瘍が見つかったという経験から、テレビプロデューサーとしてやるべきことをこう考えている、とお話を伺いました。『アンメット』への熱烈な思いを聞いて、邪険にはできなかったですし、生半可な気持ちで「やりますよ」とも言えない、でも、この思いに応えたいなと。そこから本当に細部に至るまで打ち合わせさせていただきました。
——細部とは具体的に?
カメラは何を何台使うのか、フレームレートはどうするのか、どんな準備をして、どんな撮影をしていくのか、というお話です。
——俳優さんというより、監督さんのような視点ですね。
連ドラの現場は時間に追われて、どうしても作業的になってしまったり、「これでいいや」と妥協して進めていくことが多いと聞いたことがあるので、それを避けたかったんです。こんな面倒くさいことに米田さんが付き合ってくれるなら、民放ドラマではできなかったことが実現できると思います、とお伝えして、実際にいま、そのお話通りに撮影を進めています。
——若葉さんこだわりの丁寧な作り方で、スケジュール通りに進んでいると思うとすごいです。
……スケジュール通り……それは、どうなんですかね(笑)。
——(笑)。
話数もありますし、理想的なペースではないかもしれませんが、仕上がりがめちゃくちゃいいので、皆、頑張れているのかなと。
●俳優という職業は「好きじゃない。食いぶち」
○杉咲花の手技に監修の先生たちも引く
——そして主演の杉咲さんからは直接「やるよね?」とお電話がかかってきたとのことですが、そのお電話がかかってきたときには「『アンメット』の話かな」とピンと来たのでしょうか。
すでに米田プロデューサーからオファー自体はいただいていたので、ぼんやり「あの話かな」と勘付き始めて、「やるよね」と言われました(笑)。
——若葉さんと何と答えたんですか。
まだ米田さんにお会いする前だったので「プロデューサーとも話していないから」と言ったのですが、杉咲さんから『アンメット』に対する熱い思いをぶつけられて、米田さんのとき同様、「これはノリで『はい』と言えないな」と感じました。
——今作では脳外科医・三瓶役として手術シーンにも挑まれます。いつ頃から練習されていたのか教えてください。
昨年の11月、12月頃です。この先、さらに難易度が上がっていくので長い旅路ですね。
——会見では、監修の先生が驚くほど、杉咲さんの手技が上手だったとお話しされていましたが。
まさに努力の賜物で、素晴らしいです。練習に取り組む杉咲さんの姿勢を見ると、手は抜けないなと思わされます。僕は器用貧乏なので、ある一定までは割とすぐできるようになるのですが、そこから横着しちゃうからダメなんですよね。杉咲さんは目指す場所が本当に高いんです。とにかく作品を良くするために、「これぐらいできれば上等だよね」というところのはるか上を行こうとするので、「女優さんがここまでできるようになるなんて」というレベルの話じゃないので、監修の先生たちも驚きを通り越して引いています(笑)。
——そんな杉咲さんの主演作に出演されるのは4本目。改めて杉咲さんの“すごさ”を教えてください。
女優としてもちろんすごいのですが、極端な話をすれば、芝居がどうというよりも、杉咲さんの素晴らしい人間性に皆がついてきているんだと思います。優しくて思いやりがあるし、誰にも何も言わずに必死に努力したことが芝居ににじみ出ているような。杉咲さんを見ると皆、背筋が伸びる。そんな人です。
○もしも記憶を失ったら役者をやめるかも
——杉咲さん演じるミヤビは、毎日記憶を失ってしまうという役どころです。ミヤビはそれでも医者でいようとしますが、もし同じことが起きたとき、若葉さんも俳優でいようとすると思いますか。
僕、そもそも俳優は好きじゃないので。
——えっ!?
僕にとって、俳優は食いぶち。食いぶちを死守するために全身全霊でやっているという感覚です。小さい頃からやっていて、食える可能性が一番高い職業だなと判断して役者をやっています。個人的な意見ですが、お金をもらっているから、作品において絶対的な責任があると思っているので。お金をもらっていなくてただ好きなだけだったら、「こうやって作りたいです」とここまで声を上げないんじゃないかな。だからミヤビと同じような状況になったとき、もしかしたら役者をやめるかもしれません。でも、生きること、人と繋がることに関しては、必死にしがみつくと思います。
——先ほど“器用貧乏”と仰っていたので、どんな職業でもできるかもしれませんよね。
社会はそんな甘くないと思いますけど(笑)。
——では最後に、ドラマ『アンメット』の見どころを教えてください。
「こんなこと民放ドラマでやらないよ」と皆に言われるくらい、本当に面倒くさい撮り方をしています。カメラ一台で撮ったり、役者のいい芝居が出てくるまで30分カメラをRECし続けたり、ワンカットごとに照明の位置をすべて変えて、とにかくいいものを撮ろうとしています。本物の手術を執刀医の隣で見せていただいて、これまでの医療ドラマや医療映画がいかにイメージだけで作っているかということも明確になったので、本当の空気感により近い、リアリティのある手術シーンもお見せできると思います。見たことのないドラマを見たい方に、是非見ていただきたいです。
■若葉竜也
1989年6月10日生まれ、東京都出身。2016年、第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。若きバイプレーヤーとして評価を高める。昨今の出演作に、NHK連続テレビ小説『おちょやん』、映画『あの頃。』、『街の上で』、『くれなずめ』、『前科者』、『窓辺にて』、『ちひろさん』、『愛にイナズマ』、『市子』、『ペナルティループ』など。公開待機作に『ぼくのお日さま』(2024年秋公開予定)がある。

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