あなたはWikipedia英語版「任天堂」を2分で読めますか?リスニングを念頭に置いたリーディングの学習ポイントとは

2024年4月17日(水)6時30分 婦人公論.jp


北村先生「英語の理解速度を上げるということであれば、リーディングを通じても訓練することができる」(写真提供:Photo AC)

令和2年4月に学習指導要領が改訂され、小学校でも外国語を勉強する時間が増加しました。「英語の重要性が叫ばれ、人々の関心が高まってるとはいえ、リーディングとリスニングを関連づけて考えている学習者は、まだまだ多数派とは言えません」と語るのは、杏林大学外国語学部准教授の北村一真先生。北村先生いわく、「英語の理解速度を上げるということであれば、リーディングを通じても訓練することができる」そうで——。

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スピードを意識する


リスニングを念頭に置いたリーディングの学習ということを考える時、とくに重要になるのは英語の理解そのものの速度を上げることです。

音声についてはそれぞれの単語の正確な発音やアクセントを覚え、実際に音を聞きながら英語のリズムやイントネーションに慣れることがどうしても不可欠ですが、英語の理解そのものの速度を上げるということであれば、リーディングを通じても訓練することができるからです。

以下では、リスニングへの応用を前提として、スピードを上げるためのリーディング練習のコツを紹介していきます。

素材と読み方

大量に英語を読めば、あまりやり方などを気にせずともおのずと徐々に読むスピードも上がっていくと思いますが、意図的に速度を上げようとするなら、ある程度、制約を設けた状態で練習するのが効果的です。

まずは読む素材について確認しましょう。あくまでスピードを高めるのが目的ですから、日本語で読んでも頭を捻って考えないと意味が取れないような難解な文学作品や抽象度の高い評論文などは向きではありません。日常を扱った報道の英文や、エッセイなどが好ましいでしょう。

英文の読み方としては、自信をもって大意が理解できているのであれば細部に分からない語句があっても飛ばして読み進めるというのがポイントです。

日本語字幕付きの映画を見ている時の感覚を思い出してもらえれば分かるかと思いますが、1つ2つ完全に理解できないところがあっても、それで途端に何もかもが分からなくなるということはないはずです。

制限時間を設けたり、時間を計ってみたりしてみるという方法も有効です。その際の基準は、基となる音声のデータがあるなら、その音声と同じスピードで読めるかどうか、ない場合は、ニュースの報道の1つの基準である1分間に150語(150 words per minute 略して150wpm)で読めるかどうかを参考にしてみるとよいでしょう。

Wikipedia英語版に挑戦——任天堂


具体的にやってみましょう。

次の英文はWikipedia英語版の「任天堂」の記事からの抜粋です。

細部の不明な点は飛ばしながら、できるだけ急ぎ足で読んで、読み終わるまでの時間を計ってみて下さい。

Nintendo Co., Ltd. is a Japanese multinational video game company headquartered in Kyoto. It develops, publishes and releases both video games and videogame consoles.
Nintendo was founded in 1889 as Nintendo Koppai by craftsman Fusajiro Yamauchi and originally produced handmade hanafuda playing cards. After venturing into various lines of business during the 1960s and acquiring a legal status as a public company, Nintendo distributed its first console, the Color TV-Game, in1977. It gained international recognition with the release of Donkey Kong in 1981 and the Nintendo Entertainment System and Super Mario Bros. in 1985.
 Since then, Nintendo has produced some of the most successful consoles in the video game industry, such as the Game Boy, the Super Nintendo Entertainment System, the Nintendo DS, the Wii, and the Switch. It has created numerous major franchises, including Mario, Donkey Kong, The Legend of Zelda, Metroid, Fire Emblem, Kirby, Star Fox, Pokemon, Super Smash Bros., Animal Crossing, Xenoblade Chronicles, and Splatoon, and Nintendo’s mascot, Mario, is internationally recognized. The company has sold more than 5.592billion video games and over 836 million hardware units globally, as of March 2023.
 Nintendo has multiple subsidiaries in Japan and abroad, in addition to business partners such as HAL Laboratory, Intelligent Systems, Game Freak, and the Pokemon Company. Nintendo and its staff have received awards including Emmy Awards for Technology & Engineering, Game Awards, Game Developers Choice Awards, and British Academy Games Awards. It is one of the wealthiest and most valuable companies in the Japanese market.
“Nintendo” Wikipedia(2023.12.19 閲覧)

訳例


訳例 

「任天堂株式会社は、京都に本社を置く日本の多国籍ビデオゲーム会社である。ビデオゲームとビデオゲーム機の開発、発表、発売を行っている。

任天堂は1889年に職人の山内房治郎によって任天堂骨牌(こっぱい)として創業され、当初は手作りの花札を製造していた。1960年代に様々な事業に進出し、正式に公開株式会社となった後、1977年に最初のゲーム機である「カラーテレビゲーム」を販売した。1981年に「ドンキーコング」、1985年に「ファミリーコンピュータ」と「スーパーマリオブラザーズ」を発売し、世界的な知名度を得た。

それ以来、任天堂が生み出したゲームはビデオゲーム業界で最も成功したゲーム機となってきた。ゲームボーイ、スーパーファミコン、ニンテンドーDS、Wii、Switchなどだ。マリオ、ドンキーコング、ゼルダの伝説、メトロイド、ファイアーエムブレム、カービィ、スターフォックス、ポケモン、大乱闘スマッシュブラザーズ、どうぶつの森、ゼノブレイドクロニクル、スプラトゥーンなど数多くの有名シリーズを生み出し、任天堂のマスコットキャラクターであるマリオは国際的に認知されている。同社は2023年3月現在、全世界で55億9200万本以上のビデオゲームと8億3600万台以上のハードウェアを販売している。


どれくらいの時間で読み終わることができたでしょうか(写真提供:Photo AC)

任天堂は、HAL研究所やインテリジェントシステムズ、ゲームフリーク、ポケモンカンパニーなどのビジネスパートナーに加え、国内外に複数の子会社を持っている。任天堂とそのスタッフは、エミー賞テクノロジー&エンジニアリング部門、ゲームアワード、GDCアワード、英国アカデミー賞ゲーム部門を含む賞を受賞してきた。日本の市場において最も豊かで価値の高い企業の1つである」

1分半から2分程度


どれくらいの時間で読み終わることができたでしょうか。

この英文でだいたい250語程度なので、ニュースの報道であれば1分半から2分程度で読み上げるものになります。

2分以内で十分理解できたという人であれば、簡単なニュースの英語ならすでにある程度聞き取れる箇所も多いのではないかと思います。

一方、この英文を2分で理解するなんてとてもじゃないが速すぎると感じた方もいるかもしれません。

そういう人の場合、英語の読解をスムーズに行う際の基本事項を見落としている可能性があります。

※本稿は、『英語の読み方 リスニング篇-話し言葉を聴きこなす』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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