21年ぶり連ドラ主演の松下由樹が語る、“SNS震撼ドラマ”舞台裏「ドン引きするシーンしかない」
2025年4月18日(金)22時0分 週刊女性PRIME
松下由樹 撮影/渡邉智裕
「ドン引きするシーンしかなかったんじゃないですか?(笑)。ちょっともう、台本以上なんじゃないかって思います(笑)」
一切の迷いを抱かず撮影に臨めた
スタート以来、SNSを震撼させ続けているドラマ『ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜』。芸能事務所のマネージャー・吉川恵子を演じているのは松下由樹だ。
「オファーを受けたとき、作品の内容がまず衝撃的で。迷う気持ちはもちろんありました。強烈だけど、惹きつけるストーリー展開でもあり、これは私の取り組み方次第だと思いました」
絶望の淵にいた恵子が出会ったのは、森山拓人(野村康太)。“あなたはスターになるの。私が育てるわ!”。ドラマプロデューサーの不都合なプライベートをつかんで脅し、演技経験のない拓人の出演をもぎ取る。共演女優の衣装には待ち針。“バブちゃん”と呼ぶ拓人の寝顔を撮影してはご満悦。その行動はエスカレートしていく。
「やっぱり自分が演じることに迷いを持ってたら、面白い作品にはならない。現場で私が躊躇したら、それが共演のみんなに伝染してしまう。私の独り善がりでも、作り手の要望を誤解してもダメ。恵子が拓人にどんな愛情を抱き、どう歪んでいってしまうのか……プロデューサーや監督とディスカッションをかなり重ねました。
自分の中で今までにないケースなんですけど、本当に一切の迷いなく(撮影に)インしてるんです。気持ちをちゃんと乗せて、パワーワードが出るようにしたいし、監督からどんな要望が来ても応えられる。本当にやり切ってます。だから、面白いと思います(笑)」
恵子の言動の中で特にドン引きしたのは?
「もう1話からふんだんにありますよ! プロデューサーに物を投げるシーンから強烈でしたし。今後も人を陥れたり、“恵子の秘密の部屋”が出てきたり、本当にすごいです(笑)。撮影を続けていくと“もはや緩いな”と感じる瞬間すらあって(笑)。やっぱり中毒性のある作品なんだと改めて感じます」
母性、執着、溺愛、暴走……。松下は恵子が注ぐものを“狂愛”と呼ぶ。
「撮影前は、共感を得るのは難しいと思っていたんです。でも、恵子を演じ続けていると“違うかも”と思い始めてきましたね。“絶対ありえない、ありえない……いや、ともすればあるかも?”みたいな。自分も気をつけなきゃとも思うし(笑)、たったひとつが狂うと全体が狂っていくような怖さ、危うさ。そして、ただ狂っただけではなく、愛情がそこにはある。狂愛には怖さ、切なさ、悲しみ、喜びも含まれているので、見ている方の情緒も大変だと思います(笑)」
松下由樹の美しさの秘訣
1983年のデビューから40年以上。連ドラ主演は『大奥〜第一章〜』(2004年)以来、約21年ぶりとなる。
「言われて“あ、そうだったんだ”っていうくらい。今回の作品は主役であることよりも、吉川恵子に重きを置いた感じが自分の中にはありました」
インタビュー中は笑いが絶えず、作品への真摯な取り組みとともに温かな人柄が感じられる。現在56歳、その自然体な美しさの秘訣を尋ねると、
「やっぱり女性は年齢が上がっていくと、いろんなことを気にするようになりますよね。マイナス思考になっちゃったり。でも、受け入れると言ったら大げさすぎるんですけど、自分で“良し”としてあげないとなって思います。人は褒めてくれないかもしれないけど(笑)、自分を卑下する必要もないし」
さらにこう続けた。
「そもそも年齢を重ねる中で、培ってきたものだってあるわけで。そういうプラスを、いいほうに考えたほうがいいかなとは思いますね。今回、野村くんをはじめ、若い俳優さんとご一緒させていただいていますが、あまり年齢を感じない自分もいたりして(笑)。“自分は年上だから”“この年齢だから”と一歩引くことはないんだなと、今回の作品をきっかけに思ったりしています」
■溺愛してるもの、教えて!
恵子が拓人に抱く……ほどじゃなくても、溺愛しているものを尋ねると、
「私、ソフトクリームが好きで。味はバニラですね。もう、本当はあったらあっただけ食べたいって思っています(笑)。1個食べた後で別のお店で見かけても、絶対種類が違うので。滑らかなのか、シャリシャリ感があるのか、試したくなるんです。でも、1日に何個も食べるわけにはいかないですよね(笑)」
取材・文/池谷百合子