向井理 「一人だけ大河ドラマの世界にいるような」演技を心がけた 25日公開映画「パリピ孔明...」主演
2025年4月18日(金)5時0分 スポーツニッポン
俳優の向井理(43)が、主演映画「パリピ孔明 THE MOVIE」(監督渋江修平、25日公開)で再び異質な存在感を放つ。2023年に放送されたフジテレビ連続ドラマの映画版。ドラマでは、中国の三国時代に軍師として活躍した諸葛孔明(しょかつ・こうめい)に扮した演技が話題になった。クセの強い難役に成り切るための工夫やこだわりとは——。スポニチ本紙のインタビューに孔明ばりの“計略”を明かした。(塩野 遥寿)
何重にも重ね着した着物に特徴的な帽子。総重量5キロ超の衣装を身にまとった姿はインパクト十分だ。「この衣装を着てメークをするとスイッチが入るんです」。ドラマからの続投に気合が入る。
孔明が現代の東京・渋谷に転生し、さまざまな計略を駆使して歌手の少女を成功へと導く物語。ドラマではうさぎの着ぐるみに入ったり、お経のようなラップを披露したりと、コミカルな演技が話題を呼んだ。
爽やかなルックスで知的な雰囲気を持つ向井だが、近年はクセの強い役柄が印象的。本人役で出演した21年のテレビ東京ドラマ「バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間」では「理科の理と書いておさむちゃんでーす!」と絶叫するなど、ぶっ飛んだ演技を披露した。
ただ本人は「台本通りやってるだけなんで…」とサラリ。「僕はアドリブをほとんどしない。一言一句やるタイプ」と俳優としてのスタイルを明かした。役者は監督や脚本家が作りたい世界を具現化するための「最後のパスが回ってくるだけ」というのが持論。役作りに対しては「クセを残しすぎると同じ役しかオファーされない。クセは意識してつぶしています」と語る。
だからこそ、現代に転生した孔明という突拍子もない役のオファーが来た時はうれしかった。「こういう役もできると思ってもらえている。その期待に応えたかった」。現代の渋谷で生きる孔明の異質さを表現するため「一人だけ大河ドラマの世界にいるような」演技を心がけた。しぐさや振る舞いだけではない。「声のトーン、スピード、呼吸をゆったりさせた」。その“孔明の呼吸”がどんな事件にも動じない天才軍師とせわしない現代人とのギャップを表現した。
孔明に扮した自身については「客観的に見ると、何やってるんだろうとは思います」と表情を崩す。生まれた国も時代も違う孔明を「架空の人物みたいなもの」としつつも「扮装してる時間だけは、演じている自分が誰よりも孔明を信じてあげたい」。淡々と役に入り込んだ向井。心の底には、誰よりも役と演技を愛する情熱があった。
▽パリピ孔明 累計発行部数250万部の同名漫画が原作。中国の三国時代に「蜀」の軍師として天才的な采配を振った孔明が現代の渋谷に転生。クラブで出会った少女の歌声に魅せられ、実際の戦で使用した「離間の計」「草船借箭の計」といった“計略”を駆使し、少女をプロデュースしていく物語。22年にはテレビアニメも放送された。
◇向井 理(むかい・おさむ)1982年(昭57)2月7日生まれ、神奈川県出身の43歳。スカウトをきっかけに芸能界入り。2006年にTBSドラマ「白夜行」で俳優デビュー。10年のNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で主演を務めブレークした。14年に女優の国仲涼子(45)と結婚し、現在は2児の父。