憎み続けた父の死、新たな家族を巡る苦悩…宮崎あおい、ゲーム芸人フジタの幸せ願う「がんばれー!!」
2025年4月19日(土)18時0分 マイナビニュース
●父が同級生の母と恋仲に…小2から独り暮らし
女優の宮崎あおいが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、20日に放送される『あの日 僕を捨てた父は3 〜ようやく家族になれたのに〜』。ゲーム芸人・フジタと、彼が憎み続けた父の姿を追ったシリーズの最新作だ。
今回は、フジタにとって新たな家族をめぐる日々も描かれるが、そこでも苦労の絶えない彼の姿に、見守り続けてきた宮崎は「本当に幸せになってほしいです」と願う——。
(注)…宮崎の「崎」は正しくは「立つ崎」
○子どもを授かり結婚も…妻と生じた心の距離
アパートの一室で大量のゲームソフトと暮らすゲーム芸人・フジタ(47)。小学校入学直前、母親が急死し、父と2人で暮らすことになったが、父はフジタの同級生の母親と恋仲になってしまい、家に帰ってこなくなった。こうして小学2年生で始まった独り暮らしだが、そのつらさと寂しさを紛らすために、来る日も来る日もゲームに没頭した。
それから35年。フジタは、かつて自分を捨てた父親と同居することに。長年、憎み続けた父と再会した時、すでに父は認知症を患っていた。幼少時代に過ごせなかった“親子の時間”を取り戻したいと思い始めたフジタは、父とぶつかり合いながらも、初めて父のことを知る。そして幼い頃の自分との写真をずっと財布の中に入れていたことを知り「自分も家族を持ちたい」と願うようになる。
44歳にして婚活を始め、マッチングアプリで知り合った恋人との間に待望の赤ちゃんを授かったフジタは、結婚を決意。“新しい家族”との生活に、これまでの人生にない幸せを感じていたが、妻との心の距離は離れていくばかりで…。
○収録後の第一声「幸せになってほしいなあ…」
ナレーション収録を終え、第一声で「幸せになってほしいなあ…」とつぶやいた宮崎。「幸せの形は人それぞれですが、新しい命も誕生しているので、その命が一番幸せになるのはどのような道なのか。フジタさんはとても優しい方だと思いますし、奥様にもいろんな思いがあると思いますが、夫婦で力を合わせられたらいいんですよね…」と関係修復を願うが、一筋縄にはいかない問題であることも理解する。
「フジタさんの抱えているものが重すぎて、優しすぎるということもあると思います。自分の家庭を築く中で、その優しさゆえに上手くいかなかったり、相手に合わせるだけが優しさではないということもあるでしょうし…。もう“がんばれー!!”って、テレビの前で応援したくなりますね」
●父子が互いに発した「ありがとう」
今回は、フジタの父が亡くなるまでも描かれる。恨み続けていた父に対して「“お疲れ様、ありがとう”と言いたいですかね」と語るフジタに、宮崎は「あのような思いになれたというのは、ご自身が次に進める、前向きなものだと思うので、とても良かったと思います」と安心した様子だ。
また、人生において常に愛情とお金がリンクしていた父だったが、フジタに子どもが生まれたことを電話で聞いて発した「ありがとう」に、「フジタさんもすごくうれしそうでしたし、見ているこちらもその言葉が聞けて良かったなと思う一言でした」と感慨深く語った。
○改めて感じた「親になるということの責任」
昨年11〜12月に『ザ・ノンフィクション』で3週にわたり放送された『炎の中で死んだ父を僕は知らない』でもナレーションを担当した宮崎。これは、自分の人生を翻ろうし続けた父の足跡をたどるテレビディレクター・落合陽介ギフレさんを追った作品だが、父親と長年にわたり距離を置き、その関係性に葛藤を抱えた息子という境遇に、フジタと共通するものがある。
父とほとんど会っていないにもかかわらず、陽介ギフレさんは「9割ぐらい親父と同じような感覚で生きていたんだな」と自覚。一方のフジタは、幸せな家庭を築くことに苦労し、いずれも知らず知らずのうちに価値観や環境を受け継いでいた。
これを目の当たりにした宮崎は「親になるというのは、改めて責任重大だと感じました。でも、それは素晴らしい責任だと思います。もちろん誰が悪いということではなく、少しでも良い環境を整えて、少しでも良い影響を与えられる人でありたいですね」と思いを強くした様子。
フジタが父、妻との関係が順風満帆にいかない姿を見てきて、「それぞれのバックグラウンドが違うから、“この人が悪いからこうなってしまった”とは一概に言い切れないというのを、ものすごく考えさせられました」といい、今回のナレーションも、「人の人生を、自分事のように考える時間でした。本当に『ザ・ノンフィクション』ってすごいですね」と、しみじみ感心していた。
●宮崎あおい1985年生まれ、東京都出身。『NANA-ナナ-』『少年メリケンサック』『舟を編む』『怒り』などの映画、連続テレビ小説『純情きらり』『あさが来た』、大河ドラマ『篤姫』などに出演。2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』にお市役で出演予定。『ザ・ノンフィクション』では18歳から現在まで番組最多回数のナレーションを担当し、今回の『あの日 僕を捨てた父は3 〜ようやく家族になれたのに〜』で47回に達する。