『心はロンリー』FINALは「ある意味でさんまさんのドキュメンタリードラマ」 名物Dが語る“戦友”明石家さんまへの思い

2024年4月21日(日)8時0分 クランクイン!

2003年の『心はロンリー 気持ちは「・・・」XI』以来、実に21年ぶりの復活となるドラマ『心はロンリー 気持ちは「・・・」FINAL』(フジテレビ系/4月27日21時)。コメディと一括りにしては危険なぐらいに破天荒な展開のドラマは、令和の時代にどんな影響をもたらすのか——。1971年にフジテレビに入社以来、『スター千一夜』『欽ちゃんのドンとやってみよう!』『笑ってる場合ですよ!』『ライオンのいただきます』『オレたちひょうきん族』『あっぱれさんま大先生』など数々の伝説のバラエティを手掛けてきた三宅恵介が、75歳にして総合演出を務めた本作。シリーズの誕生秘話や、長きに渡りタッグを組んできた明石家さんまへの思いなどを語った。

■『心はロンリー』21年ぶり復活の背景



 フジテレビにおける明石家さんま出演バラエティのほぼすべてを担当してきた三宅。現在も『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』の演出を手掛けるなど、さんまとは縁が深い。

 そんな三宅が総合演出を務め、さんまが主演を務めるドラマ『心はロンリー 気持ちは「・・・」FINAL』が放送を迎える。『心はロンリー』シリーズは1984年にスタートし、これまで11作品が放送されているが、新作は実に21年ぶりだ。

 三宅は「2022年の6月ぐらいにフジテレビのバラエティセンターの局長だった男が異動になるというとき、『心はロンリー』みたいな作品を作りたくてフジテレビに入ったという話を僕にしてきたんです。さんまさんにもその話をしたら『ありがたい話だからやりましょう』と言ってくださったんです」と事の発端を明かす。

 三宅は「さんまさんは人と仕事をする人」と話すと、「『心はロンリー』の前にも『あっぱれさんま大先生』が同窓会として2023年に放送されましたが、あれも山崎裕太くんのやりたいという思いを、さんまさんが受けて実現したんです」と損得ではなく人との繋がりを大切にする人物であることを明かす。

■「視聴率20パーセントを超えたら打ち切り」という斬新なコンセプト

 1984年にスタートした『心はロンリー 気持ちは「・・・」』。誕生秘話について三宅は「さんまさんは『オレたちひょうきん族』が始まったぐらいのときはまだ大阪から通いだったのですが、東京の仕事が増えてきたことから、東京の参宮橋のマンションに引っ越してきたんです。当時そこに毎週金曜日に集まっていたのが、さんまさんと僕、(萩本欽一の座付き作家集団)パジャマ党の大岩賞介さん、放送作家の藤沢めぐみさん、そして萩本企画にいた君塚良一さん。そこで参宮橋金曜サークルというのをやっていて、夜な夜な面白い企画の話をしていたんです」と発端について述べる。

 その参宮橋金曜サークルで、メンバーたちは、ザッカー兄弟が手掛けたアメリカの映画『フライングハイ』のコメディというよりはギャグに近いナンセンスな物語に影響を受けて『心はロンリー』の企画を発想したという。ドラマでありながら制作はバラエティ班。三宅は「ご覧になった方は分かると思いますが、ドラマと言っても、ストーリー展開で見せるものとは程遠い。王道とはかけ離れている」と語ると「この番組は王道になってはいけない」という思いのもと「視聴率20%を超えるか、10%を切ったら終わりにしよう」という、普通の番組とは違うコンセプトでスタートしたという。

 年に1〜2本という間隔でオンエアされた『心はロンリー』シリーズは、斬新な構成で人気を博した。第5弾となる『心はロンリー 気持ちは「・・・」V』では19.7%と、ギリギリ王道になりかけたものの、この数字がシリーズ最高となり、第9弾の『心はロンリー 気持ちは「・・・」IX』でついに視聴率が10%を切り、宣言通り放送はいったん終了する。

 三宅は「当時は10回ぐらいまで行ったら、映画化したいね……なんて話していたのですが、9弾で終わっちゃったんです」と笑うと、8年後に、当時話題になっていた『北の国から』のワンカット長回しの演出スタイルを「笑いにしたい」という思いで、『南の国から’97』というサブタイトルで10作目となる『心はロンリー 気持ちは「・・・」X』を制作。

 しかし2回の沖縄ロケを敢行するなど制作費がかさみ大赤字に。「後輩がプロデューサーをやっていたのですが、かなり上から怒られてしまい、また当分やらなくなってしまったんです(笑)」。

 そこからさらに6年後、『火曜サスペンス劇場』がヒットしていたことから、サスペンスタッチの物語『心はロンリー 気持ちは「・・・」XI』を制作。サスペンスドラマで大活躍していた山村紅葉船越英一郎にも出演してもらったという。

■FINALは「ある意味でさんまさんのドキュメンタリードラマ」


 そして2024年、21年の間沈黙を続けていた『心はロンリー』が、前述した理由で不死鳥のように蘇った。物語を構築していったのは、当時と同じ参宮橋金曜サークルだ。

 三宅は「一昨年の12月に中華料理屋で5人が集まったんです。そのとき、さんまさんが刑事ものをやりたいというので、君塚くんが台本を書いて、藤沢さんや大岩さんとギャグを入れていって……」と往年の『心はロンリー』が本作でも楽しめるようだ。

 ヒロインを務めるのは川口春奈、元妻役は吉田羊と人気女優が顔を揃える。さらにある役で大竹しのぶの参戦も発表された。三宅は「この作品は、ある意味でさんまさんのドキュメンタリードラマでもあるんです」と語ると、「娘がいて元妻が出てくる。そして川口さん演じる和来(わく)という名前は、さんまさんにもし2人目の女の子が授かっていたら“和来”という名前にしようと思っていたというんです。なぜその名前にしようと思ったのかは、ドラマの中で語られているので、ぜひご覧ください」と語ると、「さんまさんとしのぶさんのシーンは『すげぇ』と唸ってしまうぐらい。必見です」と期待を煽る。

 川口や吉田の起用理由について三宅は「さんまさん本人も言っていますが『もう恋愛はやめよう』ということで、今回は父と娘がテーマです。そのなかで、さんまさんの娘としては少し若いかもしれませんが、はつらつとしていて魅力的な女性ということで川口さんの名前が挙がりました。お忙しいのでどうだろうなと思いつつ、お話を持っていったらすぐにOKをいただきました。また吉田さんについては、さんまさんが『ご一緒してみたい』と仰っていて。大河ドラマも『不適切にもほどがある!』もやっていたので、難しいかなと思ったのですが、快諾いただきました」と経緯を説明する。

■「さんまさんは仲間であり同志、戦友」


 さんまとの付き合いは40年以上に渡る。その関係性は「なんだろうな……仲間であり、同志。古い言葉で言えば戦友かな」と語ると「とにかく今回、久々にご一緒しましたが、本当に変わらない。すごい人です」と舌を巻く。

 変わらない理由について「さんまさんが結婚をしていたときは、よく正月なんかに一緒に旅行とか行きましたが、独身になってからのプライベートはよく分からない(笑)。でも大将(萩本欽一さん)も、(ビート)たけしさんも、言葉の滑舌とかそういう部分の変化はありますが、精神は変わらないところはすごい。そのなかでもさんまさんは本当にすべての面で昔と変わらない。役者であれ、コメディアンであれ、タレントとして1番すごいと思う」と称賛する。

 三宅自身も75歳にして本作で総合演出を務めるなど、精力的に活動しているが「70歳を過ぎてフジテレビとの契約も切れたのですが、こうして大将やたけしさん、さんまさんが元気でやっているうちは、僕も頑張りたいですね」と意気込む。

 大きな変革の時期にあるテレビ業界。三宅は「番組の作り方は変わってきたよね。これまで『心はロンリー』はバラエティ班で作っていたのですが、もうスタッフがいないので、今回はドラマ班にお願いしたんです。そうしたら以前に比べてスタッフが3倍になって、仕事もかなり細分化されている。とても若い人たちは優秀なのですが、助監督さんも何人もいるので、何度も同じことを言わなければいけないんです。あとはやることが多いよね。スポットも昔なら15秒と30秒、あとは当日用ぐらいだったのが、いまはWEB用とかたくさん必要になる」と変化に触れると、「でも作りたいという思いがブレていなければ、やり方は変わっても同じ思いが詰まったものはできると思います」と最終的には作品への愛がすべてだと語っていた。(取材・文・撮影:磯部正和)
 
 土曜プレミアム フジテレビ開局65周年記念企画『心はロンリー 気持ちは「・・・」FINAL』は、フジテレビ系にて4月27日21時放送。

クランクイン!

「さんま」をもっと詳しく

「さんま」のニュース

「さんま」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ