コメディー「陽気な幽霊」に挑む門脇麦…「バレエを踊るのとセリフを言う時の感覚は変わらない」

2025年4月25日(金)13時34分 読売新聞

稽古場にて 園田寛志郎撮影

 門脇麦が、東京・日比谷のシアタークリエで上演される「陽気な幽霊」(5月3〜29日)に出演する。作者は英国を代表する劇作家の一人、ノエル・カワード。信頼を寄せる田中圭、演出家の熊林弘高と組み、上質なコメディーに挑む。(編集委員 祐成秀樹)

 小説家のチャールズ(田中)は再婚した妻ルース(門脇)と暮らしている。小説の取材をしようと霊媒師(高畑淳子)を呼んで降霊会を開くと、客が帰った後に先妻エルビラ(若村麻由美)の幽霊が現れる。

 エルビラの姿はチャールズにしか見えない。幽霊を気にかける夫にルースは腹を立てる。「みんな相手の元恋人のことは気にするもの。現実に亡くなった奥さんは思い出になって終わるけど、幽霊で現れたら嫉妬しちゃうでしょう。これって全人類にあることでは」

 初演は1941年。深い内容を持ちつつ意表をつく展開で飽きさせない。悲惨な死が相次いだ第2次大戦中に書かれただけに、人間と霊を同じ存在に描くことで死は克服できるとみなした作者の死生観がにじむ。

 熊林が演出する作品への出演は3度目で、楽しいという。「あるワードに一つだけの意味合いを持たせない。ある事実を描く時もこういう可能性があるかもしれないと考える。キャラクターが膨らむし、お話が通り一遍でなくなる。コメディーだからこそ底力が発揮されると思います」

 夫役の田中とはドラマ「リバーサルオーケストラ」などで共演してきた。「信頼しかないですね。演じるチャールズはルースといる時は小説家の顔。でもエルビラの前では子供っぽくなる。田中圭さんのいろんな魅力が見られますよ」

 強い目力、歯切れ良いセリフ、細やかな表現。存在感や演技のベースは幼少期から習ったバレエで培われた。「バレエを踊るのとセリフを言っている時の感覚は変わらないと思います」。優れた演技力のプリマ・森下洋子を敬愛する。

 気の強い役を演じることが多く、今回のルース役もそうだ。「上流階級でプライドが高い。チャールズからは『君は僕を押さえつけようとする』といったセリフを言われる。私も気が強い部分はあると思いますけど、こういう言い方をするタイプではないですね」

 今回の挑戦の次は?

 「アニメの声優はやってみたい。植物観察が好きで食材への探究心が強いので、世界の面白い料理を食べる番組に出てみたいですね」

 佐藤B作、あめくみちこ、天野はなも出演。(電)0570・00・7777。

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