越乃リュウ「美味しさに衝撃を受けた<米山プリンセス>のアンバサダーに就任して3年目。今年も田植えに参加、8月下旬にはプリンセスを迎えに行きます」
2025年5月14日(水)12時30分 婦人公論.jp
写真提供:越乃さん 以下すべて
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第98回は「『米山プリンセス』アンバサダー3年目」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
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前回「宝塚男役時代、私服でもかっこいいを求め続けていた。卒業後は女性に戻ろうと、ゼロに戻って洋服選びを始めてみると…」はこちら
「米山プリンセス」のアンバサダー
私のこの時期の恒例行事といえば田植えです。
「米山プリンセス」という柏崎市認証米のアンバサダーを務めさせていただき、今年で3年目になります。
プリンセス感0のプリンセスとは程遠い私が、プリンセスのアンバサダーをさせていただいております。
そんな私がお手伝いできることといえば、田植え、稲刈りです。
体力だけは負けません。
米どころ新潟で生まれ、おいしいお米をたくさん食べてきた私が、そのおいしさに衝撃を受けたお米が、柏崎産コシヒカリの最高級品種「米山プリンセス」でした。
このお米は、おいしく安全な米づくりを目指し、市が定めた品質、食味、栽培方法などの厳しい基準をクリアした認証米です。
昨年は31の農家さんが栽培に取り組み、認証者は5者でした。
それでも前年より2者多く認証されました。
それだけ希少なお米です。
土を耕し、苗を植えて、育てて、刈って、乾かして、精米して、農家さんがどんな思いで、どれだけ大切に育てているか。
毎年試行錯誤しながら挑戦し続けている農家さんたちの思いを知るたびに、私も真剣にお米と向き合いたいと思い、毎年ご一緒させていただいています。
恒例の赤い法被と長靴が板についてきた3度目の田植えは、いつもより早い5月1日に行われました。
昨今の米の供給不足からいち早く食卓に届けようと、早植えの実証実験に乗り出しました。
田植えを早め、高温障害を避けることが狙いです。
収穫は8月下旬。
令和の米騒動、米政策の行方を左右する今年の田植えが始まりました。
令和の田植え
いつもより早い、今年で3度目の田植え。お馴染みのスタイル。
3年前、初めて田植えに参加させていただいたとき、しゃがんで1本1本手で植えるものとばかり思っていました。
え?田植え機に乗る!?
令和の田植えはハイテクでした。
GPS搭載、オート操作。
オレンジ色のかっこいい田植え機は、デジタル操作で、稲を等間隔に真っ直ぐ植えていきました。
文明の利器の素晴らしさ。
そんなハイテクな田植え機に乗り、何回も畝を往復できるほど田植え機の運転にも慣れてきました。
そんな3度目の田植えに参加させていただいた農家さんは、長身でサングラスに髭。
まるでバンドマンのような出で立ちで、一見農作業をする人には見えません。
バンドをやっているとしたら間違いなくギタリストです。
ボーカルと人気を二分するギタリストで、見せ場のギターソロで主役をかっさらうタイプです。
そんな一見フロントマンの農家の重野さん。
話しを聞けば、どうしたら農業界が豊かになるのか、人に手に取ってもらうためにはどうしたらいいのか、常に進化変化を求めているとても仕事人間で誠実な方でした。
まっすぐにお米と向き合い、恐れず何でもやってみようという姿勢は学ぶことが多く、心を打たれました。
新しい世代の手によって、米づくりは確かに進化しているのです。
農家さんたちに聞いたおいしいお米の炊き方
アンバサダーの私が、農家さんたちに聞いたおいしいお米の炊き方を伝授します。
1.お米を研ぐときは最初の水が勝負!
お米の分量をきっちり計り、ボウルに入れ水を注ぎ、入れたら軽くひと混ぜしてすぐに水を捨てる。
ここがポイント!
お米はかなり乾燥した状態で精米されているので、最初につける水の影響をうけるため、お米を研ぐときの最初の水にこだわると美味しく炊ける。(ミネラルウォーターなど)
2.研ぎすぎ注意。
再び水を加えて、軽くかき混ぜ、水を捨てるという作業を2〜3回繰り返し、ザルにあげる。
撫でるように優しく研ぐ。
力任せNG。これ私です。
※無洗米は研がずにすすぐだけでOK。
3.浸水時間を制す者が、炊飯を制す。
ここがポイント。
夏は30分、冬は1時間程浸水させる。
研ぎ終わったお米を炊飯器に入れ、分量に合った水を入れる。
炊く際の水にもこだわる。
4.十分に浸水したお米は早炊きがいい。
十分浸水したお米は、早く炊くことで一つ一つの粒が立ち、ふんわりとしておいしい食感に。
炊き上がったら、しゃもじで全体をほぐすようにさっくりと混ぜ、余分な水分を飛ばす。
お米を炊く際に氷を入れて炊くと、甘みが増し、ふんわりしておいしいと重野さんは言います。
ひと手間加えて、おいしいごはんを味わってみてください。
農家さんの思いはひとつ
大きく育ちますように。
私が小さい頃から見ていた一面に広がる田んぼの景色は、新潟の原風景です。
田植え時期は水鏡が広がり、稲が育つと緑一色になり、収穫時期には一面黄金色に染まります。
当たり前のように見ていた風景は、お米づくりに関わるようになってからは、美しく尊い景色に変わりました。
「おいしいお米ができますように」
お米をつくる全国の農家さんの思いはひとつです。
そこには、土を耕し、苗を植え、天と向き合う日々の積み重ねがあります。
私でさえ植えた苗が愛おしく思えるのだから、農家さんは尚更のこと。
早いコシヒカリは風味と香りがいい味になるといいます。
早植えの実証実験はどうなるのか?
高温や水不足に悩まされることなく、順調に収穫できますようにと願います。
8月下旬、赤い法被と長靴でプリンセスを迎えに行きます。
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