『ハン・ソロ』“光速”レビュー、不安を吹き飛ばす痛快作!「原点回帰」が功を奏した

2018年5月24日(木)22時20分 シネマカフェ

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(C)2017 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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ジョージ・ルーカスも駆けつけたLAのワールドプレミア、カンヌ国際映画祭でのお披露目に続き、世界各国で公開が始まった『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』。監督交代劇など波乱もあった同作だが、実際にはファンの不安を吹き飛ばす痛快作に仕上がった。

■『スター・ウォーズ』史上最高齢監督、ロン・ハワードが見せた“原点回帰”


撮影も終盤に差しかかったタイミングで、巻き起こった監督交代劇。新たにメガホンを託されたロン・ハワード監督は、ルーカスからの信頼も厚く『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)を手がける予定もあったヒットメーカーだが、ここ最近は監督作のクオリティにバラつきがあり、正直「大丈夫かな?」と不安に思ったファンも多いはず。ライアン・ジョンソン(『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』)をはじめ、40代の俊英監督が腕を振るう傾向から一転、現在64歳という「スター・ウォーズ」史上最高齢監督(*撮影時)である点も、若干気になる…。


けれども、実際には、ハワード監督がオリジナル3部作の衝撃と興奮をリアルタイムで体感している世代であることが有利に働いた。奇をてらわず、シンプルで力強い…つまり、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』がもつ王道テイストに“原点回帰”し、誰もが知るハン・ソロの人物像を掘り下げ、魅力をさらに磨き上げることに成功した。

■「3000人から選ばれた」オールデン・エアエンライクは、役にハマっている?


もう1つ、ファンの不安といえば、主演=若き日のハン・ソロを演じる俳優のオールデン・エアエンライクが、「役にハマっているか?」という点だろう。結論から言えば、観客が十二分に感情移入できる存在感を放っている。確かに、ハリソン・フォードの面影はほとんど感じないが、ハン・ソロの人間性——うぬぼれ屋でシニカル、楽天家でユニーク、そして誰よりも頭がキレる——を見事に体現し、アウトローの精神を体現した。


“ハン・ソロ”の意外な名付け親、チューバッカとの出会い、そしてミレニアム・ファルコン号の操縦席につくドラマチックな展開を通して、胸躍る冒険とほろ苦い挫折を経験し、自らの人生に一歩を踏み出す姿を演じるのは、やはり、いまはまだ発展途上なエアエンライクであるべき。強いて難点をいえば、色気が足りない点。今後、ハン・ソロ役で複数タイトルの契約を結んだとの報道もあり、彼がいかにハン・ソロを育て上げるかも注目したい。

■『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ってどんな映画?
痛快であり「フレッシュだけど、どこか懐かしい」。そんな味わいが楽しめる、アナザー・ストーリーらしい仕上がりだ。「スター・ウォーズ」に関する予備知識が一切いらない、という意味でも、観客を選ばない間口の広さが『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の大きな魅力になっている。


各キャラクターの色合いも鮮やかで、それぞれが強いインパクトを残す。彼らが繰り広げる“駆け引き”もスリリングで、クライムサスペンスの要素も。そして、壮大な青春映画でもある。まるでジョージ・ルーカスの初期の大ヒット作にして、当時俳優だったロン・ハワードが出演した『アメリカン・グラフィティ』(1973)が45年の時空を超えて、よみがえった…というのは、ほめ過ぎかもしれないが、恐らくルーカスは本作を気に入っているはずだ。


『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は6月29日(金)より全国にて公開。(TEXT:Ryo Uchida)

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