元宝塚・男役がプロデュースする「麗人プロジェクト」。「いくつになっても変われる!」練習の成果を披露!
2025年5月28日(水)8時0分 婦人公論.jp
(写真提供:麗人プロジェクト 以下すべて)
元宝塚歌劇団の男役、潮和歌として活躍したくれゆかさんが主宰する「Show&Party麗人プロジェクト」の発表会が、今年も東京・赤坂プリンスクラシックハウス グランドガーデンルームで開催された。「マチュア世代」を中心にした「麗人」が本番に挑んだステージの模様をリポートする。
(取材・文:吉田明美)
* * * * * * *
稽古風景の記事はこちら
多くの女性を磨いてきた「麗人プロジェクト」
「麗人プロジェクト」とは、元宝塚歌劇団の男役として活躍したくれゆかさんが、宝塚のメソッドを生かして一般女性たちの所作・ふるまいを美しく導く取り組みだ。生徒たちはくれさんから着こなしやポージングを学び、自らの美しさを追究し、底上げしていくことで、自信をもって人前に出る姿になるまで自分を磨き上げ、その結果、「自己変革」を起こす。これまで多くの女性を輝かせてきたこのプロジェクトの発表の場となるのが、この「Show&Party」で、今年で3回目の開催となる。
会場となったのは、ちょうど色とりどりの薔薇が満開に咲き誇る東京・赤坂プリンスクラシックハウスのグランドガーデンルーム。「人生のワルツ(縁舞曲)」をテーマに、生ピアノの演奏が静かに始まると、会場から手拍子が起きる。会場2カ所に設置されたプロジェクターからは今年の麗人13名の紹介VTRが流れてくる。「主婦です」「やりたいことを表現したい」「自分を大事にしたくて参加しました」などの一言コメントに、本番にかける意欲が感じられる。
白いドレスに身を包んだ女性が軽やかに会場内を駆け抜け、優雅なダンスが始まった。歌声も響き渡る。おそらく緊張はしているのだろうが、100名を超える観客を前にとびきりの笑顔を絶やさないのは、この日のために日々の練習を重ねた成果にちがいない。
そしてトレンチコートにシルクハット姿のくれゆかさんが登場。まさに「立っているだけで絵になる」という表現があてはまる。シルクハットとトレンチコートを脱ぎ捨て、黒いタキシード姿で女性たちをエスコートする姿はやはり美しい。女性たちは、何度も練習したであろうステップを踏み、何度も確認したであろう立ち位置を探りながら、ゆかさんにエスコートされて踊る。その表情は晴れやかで、笑顔がまぶしく輝いている。
帽子にトレンチコートがさまになるのは、やはり元男役
くれさんのエスコートで華麗に舞う麗人たち
バックヤードを支えるのは一流のプロたち
「今日はようこそ非日常の世界へ…」とあいさつをするくれゆかさんの表情にも自信があふれている。13人のメンバーは、男役と娘役を自分で選んでレッスンする。今回は、男役Handsome sienneが6名、娘役Sweet sienneは7名。長い時間をかけて練習をしたとはいえ、ダンスも歌も初心者の彼らが人前で成果を披露するまでを指導するのは、並大抵の苦労ではないだろう。実際に数ヵ月前、練習風景を見せていただいた折に、「絶対にできる!」「身体に覚えさせて!」と檄を飛ばしていた姿が重なってみえた。
この日の衣装をプロデュースしたのは、デザイナーのMeeさん、そしてヘアメイクの担当は、やはり宝塚歌劇団で男役・矢吹翔として活躍し、現在はプロのヘアメイクアップアーティストとして知られるCHIHARUさん。一流のプロが携わってくれるのも、麗人たちを非日常へといざなう大きな要素のひとつであろう。
生き生きとポーズをとる麗人たち
シーンが変わるたびに衣装も変わり、バックヤードはさぞ大変だろうと察するにあまりあるが、彼女たちは次々にステージをこなしていく。
今回のスペシャルゲストは、くれゆかさんと同期の元男役で、退団後もダンサーとして活動、CMなどでも活躍を続ける桐生園加さんと、現在はボディメンテナンススタジオを手がける小田島夏希さん。現役時代は、娘役・汐夏ゆりさとして活躍していた。くれゆかさんを含め、現在もメンテナンスを欠かさず、変わらぬ美しさを保つ3人が初舞台で歌ったという「明日へのエナジー」を披露。麗人たちがコーラスを務めるステージは大いに盛り上がり、観客は惜しみない拍手を送っていた。
会場内のテーブルにはくれさんと同期のメンバーも揃い、さながら同期会。彼女たちは歌い踊っていなくても、その立ち振る舞いはどこか私たちと一線を画し、ひと際輝きを放っているのが印象に残った。
桐生さんの歌をコーラスで盛り上げる
まさに宝塚!という衣装に身を包んで
「自分の人生の主役は自分自身」
「人生のワルツ(縁舞曲)」とサブタイトルにあるように、麗人13名それぞれの思いをショートストーリーとして語るコーナーでは、麗人の招きで会場に足を運んだご友人たちが目頭を押さえるシーンも。それぞれの人生を歩きながら「麗人」という「人生の扉」を開けた彼女たちの前を向く姿は、確実に観客にパワーを伝えている。
それぞれが、自分の人生や、プロジェクトに参加したきっかけを熱く語る
そして、小田島夏希さんのソロに始まり、桐生園加さん、くれゆかさんを加えた3人の「Smile」には会場内からため息が…。宝塚歌劇団という世界でひたすら研鑽に打ち込んだ時間を過ごしたからこそのステージは、今も変わらず感動を与えてくれていた。
「たくさんの人のご協力があったからこそ、実現したプロジェクトです」と何度も繰り返すくれさん。「自分の人生の主役は自分自身」ということを示してくれた「SHOW&Party麗人プロジェクト2025」には、彼女自身の夢も詰まっている。
熱のこもった発表のあとに続いて行われたランチパーティでは、麗人たち、そしてくれゆかさんの「達成感」にあふれた笑顔が飛び交っていた。
(左から)くれゆかさん、小田島夏希さん、桐生園加さんの圧巻のパフォーマンスに思わずため息が