“ご当地ソングの女王”紅白常連歌手 父の秘められた夢に思わず涙「そうなの?」 全力で歌うことの原点
2025年5月29日(木)12時20分 スポーツニッポン
歌手の水森かおり(51)が28日放送のNHK総合のドキュメンタリー番組「ファミリーヒストリー」(水曜後7・57)に出演。5年前に84歳で他界した亡き父の秘められた夢を知り、涙する場面があった。
水森は東京都北区出身で、父は町工場を営んでいたという。父は母の影響で子供の頃から浪曲が好きだったといい、歌も上手かったという。終戦後、祖父が工場を再スタートすると、父は定時制に通いながら父の仕事を懸命に手伝ったという。
そんな父の夢について、父の友人たちは「歌手になりたかったんだから」「歌手になりたいっていう気持ちがあったんだよ」と。そんな父の秘めた思いを聞かされた水森は「え?そうなの?」と驚き。「知らなかったです。歌手になりたいって思い。聞いたことなかった」と思わず涙。
何事にも一生懸命だったという父について「本当に寡黙で全部ぐっと飲み込むっていうか」とその人柄を回顧。「本当に苦労したんだなって。全部家族のために、それはやっぱり子供の頃から感じていたんですね、私たちのためにっていう。私の家の前が通学路だったんですね。みんな通るんです。みんな父とかが真っ黒になって働いていて、それが恥ずかしくて、子供ながらに。私の靴の裏まで真っ黒なんです、油で。それが恥ずかしくて。土でその油を落として学校に行ってました。今思うと、その姿に私たちを支えてくれていたんだなって」と振り返った。
そんな父の秘めた思いを背負い、水森は22歳で歌手デビュー。それでも、泣かず飛ばずの日々が続いたという。あるパーティーの場で歌った時、客は話に夢中で、誰も自分の歌を聞いてくれない、そんな状況で、父から「お客さんの目は見ていなくても耳はお前の歌を聞いている。手を抜くな、どんな時も100%の力で歌え」と言われたという。
水森は「“誰も聞いてないからいいや、適当で”っていう思いもあったので、そこを父に見抜かれてしまって。そこで反省したのと、凄く宝物の言葉をもらえたなって」と感謝。いつも100%全力で歌に向き合う姿勢はそこが原点だといい、「ドキッとしましたね。今でもその言葉は大切にしているというか、常に意識しているというか。心に留めている言葉ですね」とした。
デビューから8年後、「鳥取砂丘」が大ヒット。念願のNHK紅白歌合戦にも初出場が決まった。水森は「父の夢を継いで、歌手になって、ずっと振り返ってみてもずっと見守ってくれていたなって。紅白歌合戦の初出場が決まって、名古屋で報告を受けて、家族に電話して、そうしたら良かったね!って母は喜んでくれて。お父さんに直接伝えたくて、“お父さんいる?”って聞いたら、“いるよ”って言って変わってもらえなかったんですよ。今思うと泣いていたのかなって。夢の紅白にも出させていただいて、親孝行できたなって心から思いますね」と話した。