香港民主化デモをとらえ、カンヌでサプライズ上映も『時代革命』公開決定 特報到着
2022年6月5日(日)14時0分 シネマカフェ
約180日間に及ぶデモの参加者たちは「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」などを五大要求として掲げ、6月16日には香港の人口の約3割を占める約200万人(主催側発表)に膨れ上がった。警察との衝突は徐々に激しさを増す。
デモ参加者には10〜30代の男女が目立ち、70代の男性の姿もある。青年が警官に突然銃撃されるショッキングな場面も映し出される。中には「ささやかな我が命を200万人に捧ぐ」という遺書を残し、自殺する者も出た。
「光復香港、時代革命」「香港人、加油」と声を上げて抗議する若者たち。中核的な組織体やリーダー不在の運動だが、SNSを駆使し、機動的に統制されている実態も明らかになる。立法会、地下鉄駅、香港中文大学、香港理工大学などの場面が積み重なり、組み合わされ、運動の大きなうねりを記録していく。
映画では、香港理工大学でのデモ隊の敗北が重苦しく描かれる。増える逮捕者。香港から離れていく人々。民主化運動は逃亡犯条例改正案の撤回を勝ち取ったものの、2020年夏、中国当局の意向を踏まえ、より強圧的な香港国家安全維持法が施行、自由への圧迫はますます強まることに。新型コロナウィルス感染症も追い打ちをかけ、デモは封じられた。自由とアイデンティティーをめぐる、絶望と希望の物語、衝撃の158分となっている。
『時代革命』は8月より、ユーロスペースほか全国にて順次公開。