亀梨和也、思い通りにいかない人生「どう受け入れて、消化していくか…」

2024年6月6日(木)6時0分 マイナビニュース

●ボディランゲージを意識的に取り入れた
WOWOWで6月9日から放送&配信がスタートする連続ドラマW 東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(WOWOWプライム/WOWOW4K/WOWOWオンデマンド 毎週日曜 22:00〜全4話※第1話は無料放送)。本作は、東野圭吾の同名小説をベースに、広告代理店の敏腕プランナー・佐久間駿介(亀梨和也)が、手掛けていた大型プロジェクトから突如降板させられたことを機に、自分を引きずり下ろした大企業の副社長・葛城勝俊(渡部篤郎)に一矢報いるため、葛城に娘で、父親に復讐心を抱く娘・樹理(見上愛)と共謀して狂言誘拐を企てたことから始まるミステリー。主演を務めた亀梨和也に、座長として取り組む際の役へのアプローチや、"ままならない人生"との向き合い方について語ってもらった。
——「連続ドラマW 正体」以来のWOWOWドラマ主演となりますが、どのような意気込みで臨まれましたか?
東野圭吾さんの原作小説はもちろん、映画版も拝見させていただいて。監督やスタッフの方々がすごく親身になって寄り添ってくださったおかげで、僕が演じる佐久間駿介という人物の、髪型から、身に着けている服や小物、乗っている車に至るまで、「ああでもない、こうでもない」と納得いくまでキャラクターを練り上げられたので、クランクイン初日からスムーズにお芝居に入ることができました。理想的な環境を整えてくださった制作陣の皆さんには、感謝しかないですね。それこそ「ザ・ドリフターズ」のコントにおける「志村、後ろ後ろ!」じゃないですが、連続ドラマのなかには、主人公の身にこれから何が起きるのかを、観ている人たちが把握した上で物語が展開していくパターンもあったりしますけど、今回のドラマは、僕が演じる佐久間や、見上さん演じる樹理と同じ目線で翻弄されながら楽しめるところが、一番の魅力だと思うんです。
WOWOWさんの作品づくりにおいては、出来る限りドラマ的な嘘を排除した方が、作風が活かされるということを『正体』(2022年)を通じて学んだので、本作では、佐久間という男が、樹里と共謀して狂言誘拐を企て、実行するという判断を下すまでに、どれほどプライドが傷つけられ、なぜそこまで大胆な行動を取るに至ったのか。僕としては、そこにちゃんと説得力をもたせたくて、こと"恋愛"の要素と、こと仕事における"男のプライド"という、その二本軸で進めていった記憶がありますね。
——お芝居については、具体的にどのようにアプローチされたのでしょうか?
広告プランナーという仕事上、日々、自分のクリエイティブをプレゼンする手段として、"手で表現する"というのが、今回のお芝居のアプローチの1つになるんじゃないかと思って、佐久間を演じる上では、オーバーアクションになり過ぎない範囲で、ボディランゲージを意識的に取り入れました。もちろん、寄りで撮った時の目の動かし方や、表情でも伝えられるものはあるんだけれど、 ドラマのタイトルにもなっているように、"ゲーム"というもの自体が、チェスとかテレビゲームみたいに、もともと手を使ってやるものだったりするから、そういったところとも上手くリンクしていけたらいいのかなと思ったんです。
あとは、WOWOWさんのドラマの場合、スタジオよりロケ撮影が多いこともあって、環境にインスパイアされて突発的に生まれたアイデアなんかもありましたね。たとえば、海沿いを車で走るシーンならサングラスをかけて運転しても違和感はないだろうし、むしろ顔を隠せるという利点にもつながるなと思って、「当初のプランにはなかったけれど……」って、監督に提案させていただいて。自前のサングラスが採用されたこともありました。
——見上さんが、「亀梨さんが現場で気さくに話しかけてくださって、ちょっとお茶目な印象を持ちました」とコメントされていましたが、座長として心がけたことはありますか?
お茶目か……(笑)。まぁ、僕もすっかり38歳になってしまったんですけれど、 20代の俳優の方たちと共演すると、「ドラマ観てました!」とか「CD買いました!」 と言っていただくことが多くて。クールでちょっと近寄りがたい、"尖っていた頃の亀梨くん"のイメージで止まってる(苦笑)。実際の僕は、子どもの頃から"調子ノリ"って言われていたし、取材してくださる記者の方々ならご存じのように、結構"ボケたがり"だったりもするんですが、そういうイメージは浸透していないようで……
それこそ、座長という立場で現場に入る時と、そうではない時とでは、周囲に対する意識の配り方が全然違ってくるんですが、座長を務めさせていただく場合は、ただお芝居をするだけじゃなくて、ある程度、僕自身が先頭に立って全体の方向性を示していった方が現場がスムーズに回ったりもするので、今回に関してはそのあたりもかなり意識はしましたね。見上さんとも、物語的に割と撮影の早い段階で一気に距離を縮める必要があったので、ちょうど悪天候でスケジュールが空いたタイミングで、僕の方からマネージャーさんも含めて食事にお誘いして。みんなで美味しいごはんを食べながら(笑)、いいコミュニケーションを図ることができました。
●共同作業をちゃんと楽しみたい
——誘拐という名のゲームを仕掛けていたつもりが、思いもよらないどんでん返しが待ち受けていたり……と、先の読めない展開になっていますが、亀梨さんご自身は自分の人生のハンドルは自分で握って完璧にコントロールしたいタイプですか?
僕はこう見えて意外と行き当たりばったりで生きている人間なので(笑)、そろそろちゃんと先を見据えて、計画的に生きた方がいいのかなって思い始めたところではあるんですよね。普段お料理をする時も、レシピ通り完璧に作るというよりは、まずはひと通り目を通した上で、作りながら「これも足してみようかな」って、自分なりにアレンジを加えていったりする方だから、「何が何でも計画通りきっちり進めたい」タイプではないのかも。こういう話をすると、「亀梨くんは自信があるんだよ」「裏を返せば、何が起きても平気ってことでしょう?」って言われたりもするんだけど、そういうわけでもなくて。
それこそ、僕らのようにグループに属して団体行動をしていく上では、自分の思い通りにいかないことの方が多いし、ましてや僕らは人並み以上に思いがけないことがあった方なので(笑)。イメージしてしまうと、それが上手くいかなかったときに受けるダメージが大きいから、ストレス回避のためにも何も期待しなくなった時期があって。それが今の自分の生き方のベースになっているところもあるのかもしれない。むしろ、自分の思い通りにならないことを、どう受け入れて、どう消化していくか——。っていうか、いくら思い通りに進めたくても、絶対思い通りになんて行かないんですよ!「いまのこのタイミングだとここにこういう影響が及ぶから……」って思いながら生きてきて、現在に至ってます(笑)。
——そうは言いつつも、先程からお話を伺っている限り、少なくともお仕事の面では入念に準備をされてから臨まれている印象を受けるのですが、年齢を重ねるにつれ、よりそういった傾向が強くなってきている実感はありますか?
だと思いますね。作品とか現場にもよるんですが、基本的には、求めていただいたことに対してどう返せるかなっていうのが、僕のスタンスとしてあるんです。自分がどう表現したい、自分をどう思われたいっていうことよりも、 何を求めていただいてるのかをまず自分の中でちゃんと理解して、落とし込みたいというのがあって。それこそ、もっと若い頃は、今以上に根拠のない自信があったんですが、最近はより多くの視点を持ちたいし、より多くの意見を取り入れたいなっていう。とはいえ、そのための叩き台として、「自分では何も用意しませんよ」ってことではなくて。提示してもらったからこそ言えることもあるだろうし、こちらが提示したからこそ、生まれる何かもあるし……そこのバランスは、本当に難しい。
たとえば、「笑ってください」って言われたとして、「あ! 言った通りに笑ってくれた!」「亀梨君、いい人!」なのか。別に僕自身が「いま笑う気分じゃないから」とかではなくて。「ここで笑いはいらなくない?」って、一回立ち止まって考えることも、大事だったりするんじゃないのかなって。結果、笑ったとしても、その時間は決して無駄ではないというか。正直な話、言われた通りに動くのが、一番ラクだとは思うんですよ。でも、僕の場合はこれまでそうやって生きてはこなかったので。アイドルなのに(笑)。時には我が出て「は?」って思ってしまうこともあったりする。それも事実。「物じゃねぇんだよ、人だから!」とか思いながら仕事をしていた時期もありましたけど(笑)、その辺りについての思考の角度も変わってきてはいて。やっぱり近年の方が、何をやるにしても共同作業をちゃんと楽しみたいなっていう思いはあるかな。まぁ、あんまり"面倒くさい人"にならない程度に、ね(笑)。

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