手間暇をかける意味がある…『バカ塗りの娘』『あん』『日日是好日』日本文化や食に触れる映画3選
2023年7月30日(日)12時0分 シネマカフェ
日本が世界に誇る伝統工芸や文化、食に触れるこれらの作品は、深呼吸のように心に沁み入る緩やかな時間を感じさせ、ひたむきに丁寧に何かと向き合うことで、毎日が、ひいては人生が彩られていくことを教えてくれそうだ。
『バカ塗りの娘』
日本が誇る伝統工芸・津軽塗、通称“バカ塗り”。完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返す。そんな“バカ塗り”を通して、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘の絆、そして家族の物語が描かれる。
津軽塗職人の父・清史郎(小林薫)と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子(堀田真由)。美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。
『バカ塗りの娘』は9月1日(金)より全国にて公開、8月25日(金)より青森県にて先行公開。
『あん』
ドリアン助川の同名小説「あん」を河瀬直美監督が映画化。日本を代表する女優・樹木希林をはじめ、抜群の演技力で独特の存在感を放つ永瀬正敏、樹木の実孫である内田伽羅や、芸歴50年を超えて樹木さんとの共演が実現した市原悦子など、豪華キャストで贈る心揺さぶる物語。
どら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。ある日、求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する徳江(樹木希林)が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…。
『日日是好日』
“お茶”の魅力に気付き、惹かれていった女性が体験するのは、静かなお茶室で繰り広げられる、驚くべき精神の大冒険。黒木華、樹木さんに、多部未華子の初共演で贈る、一期一会の物語。森下典子による原作「日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ」(新潮文庫刊)を、大森立嗣監督が映画化。
やりたいことを見つけられずにいた典子(黒木華)は、ある日「タダモノではない」と噂の武田のおばさん(樹木希林)の正体が、お茶の先生だったと知る。従姉妹の美智子(多部未華子)とお茶を習うことになった典子は、おかしな決まりごとだらけの世界と出会う。