公衆衛生のトップに反ワクチン、国土安保長官に“飼い犬射殺”知事…トランプ次期大統領の“激ヤバ人事”
2024年11月29日(金)11時0分 女性自身
「共和党が米連邦の上下両院の多数派を握り、盤石な政治基盤で2期目入りするトランプ次期大統領は、あたかも“帝国”を築くべく、思うがままに主要人事を進めています。
その人選で重んじているのは“忠誠心ファースト”。政治経験の有無よりも、自身に忠誠を誓っているかを優先させています」
そう語るのは国際ジャーナリストの大野和基さん。
アメリカ大統領選で圧勝したトランプ次期大統領。2025年1月に発足する新政権の主要な顔ぶれを見てみると、一癖も二癖もあるような人ばかり……。
在米ジャーナリストの飯塚真紀子さんは次のように指摘する。
「もっとも問題視されていたのが司法長官に指名されたマット・ゲーツ氏した。
セックスパーティへの参加や違法薬物使用の疑惑が報じられています。とくに個人間送金アプリ『ベンモ』で金銭を支払い17歳の女性にわいせつ行為をしたことを下院倫理委員会で証言されています。
大統領に法的な助言や提案をする司法省のトップに彼が指名されたことを、1期目で大統領補佐官をつとめたジョン・ボルトン氏は『アメリカ史上最悪の人事』と断罪しています」
新政権の中心人物にはほかにも性的スキャンダルを抱えている人物がいるという。
「そもそもトランプ氏自身も、本人は否定をしていますが、元コラムニストに高級デパートの更衣室で性的暴行を加えたことが、2023年に民事裁判で認定され損害賠償金を支払うように命じられています。
また米テレビネットワークのFOXテレビの司会者から国防長官への登用が確実視されているピート・ヘグセス氏は、2017年、共和党の女性党員の集まりで知り合った女性に性的暴行を加えた容疑で警察の捜査を受け、金銭で和解したと報じられました」(飯塚さん)
上院での人事承認が危ぶまれていたゲーツ氏は、司法長官の指名を辞退することをSNSで表明。
トランプ氏は後継に自身の熱狂的な支持者であるパム・ボンディ氏を指名。ただし彼女は、トランプ氏の財団から賄賂を受け取ったとされている。
■環境保護局のトップは化石燃料の増産を目論む
さらに、日本でいえば厚生労働大臣にあたる、保健福祉省の長官への就任が固まっているロバート・ケネディ・ジュニア氏の過去も物議を醸している。
「暗殺されたJ・F・ケネディ元大統領のおいで、名門ケネディ家の“異端児”である彼は『新型コロナウイルスは白人と黒人を攻撃する』と語ったり、一部のワクチンが自閉症と関係あるかのように発言したりするなど、科学的根拠に乏しい健康情報を広めてきました。
彼が保健福祉長官になった暁には、日本の厚生労働省と似た役割を持つ米国食品医薬品局(FDA)の職員が全員辞めるのではとも報道されています」(大野さん)
飯塚さんもこう危惧する。
「反ワクチンを訴えてきたロバート・ケネディ・ジュニア氏はトランプ氏とともに機内でファストフード店のハンバーガーを前にした画像を公開。ヘルシーなオーガニックフード志向が高まるなか、ファストフードはジャンクフードと捉えられています。
反ワクチン、反ヘルシーフードの彼が、自らが掲げる『メイク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン』(アメリカを再び健康な国にする)を実現できるか疑問です」
気候変動の問題が叫ばれているなか、環境保護局のトップには、世界と逆行する化石燃料の増産を目論むリー・ゼルディン氏を指名。トランプ氏の“サプライズ人事”は議論を呼びそうだ。
「国土安全保障長官に起用されるクリスティ・ノーム氏は、今年5月に出版した自伝で、飼っていた猟犬を『訓練がうまくいかなかった』という理由で射殺したことを告白。
次期副大統領候補でしたが、残酷すぎるとの批判があり、選考対象から外れました。国土安全保障省の職員のなかには、『トップの言うことを聞かないと撃ち殺されるのでは』と心配する人も出てくるでしょう」(大野さん)
大統領選でトランプ陣営に巨額の献金をした起業家のイーロン・マスク氏は新設される政府効率化省のトップに。「税金をムダ遣いする政府職員はクビにする」と鼻息を荒くし、公務員の大量解雇を視野に入れている。
「マスク氏が経営する電気自動車テスラ社の株価は、大統領選後39%上昇したと報じられています。
権力欲を隠さないマスク氏は、さらなる影響力を得るため、トランプ政権の“闇将軍”になる可能性もあるでしょう」(飯塚さん)
忠誠を誓う人ばかりを集めた人事で、トランプ次期大統領の暴走は加速しそうだ。