「姉ちゃんの恋人」有村架純“桃子”を見守る、小池栄子ら職場の仲間たちに癒される

2020年12月1日(火)7時45分 シネマカフェ

「姉ちゃんの恋人」

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涙なしには見られなかった「姉ちゃんの恋人」第5話の吉岡真人(林遣都)の逆告白。有村架純演じる主人公・安達桃子との初々しくて、ぎこちなくて、心の奥が微かに悲鳴を上げるような切ない2人の恋はますます気になるところ。

そんな本作には「全員応援したい」「あったかくてやさしい」といった声が視聴者から上がるほど、桃子と真人を取り囲む登場人物は個性的で、魅力的なキャラクターが勢揃い。有村さんがヒロインを務め、脚本家・岡田惠和とタッグを組んだ連続テレビ小説「ひよっこ」もそうだったが、このラブ&ホームコメディードラマでも豊かな人物描写は健在、彼らはトラウマや傷を抱えた桃子と真人の心に寄り添っている。今回は小池栄子をはじめ、桃子のホームセンターの同僚たちに注目した。

“桃子”有村架純と“日南子”小池栄子の関係性

桃子と真人との出会いはそもそも、“新年会以来”の飲み会で桃子の何気ないひと言から拡がったクリスマスプロジェクトがきっかけ。桃子が働くホームファッション売り場のチーフ、小池栄子演じる市原日南子は、「社長に言っとく」と彼女のほかには誰も使っていないと思われる社長直結の連絡メールですぐさま社長の許可を取り付けた。

今年は緊急事態宣言の最中、まさに尋常ではないマスク争奪戦が繰り広げられる修羅場を乗り切ってきただけに、久しぶりの飲み会で「みんなよく頑張ったよ、偉い」と部下をねぎらう日南子。いつもと違う年だからこそ“今年のクリスマス”を盛り上げたい、という桃子の思いをくみ取る形となった。


高校3年生で両親を事故で亡くし、大学進学を断念した桃子は3人の弟たちを養うためホームセンターに就職したが、日南子はそのときの面接官だった。桃子にとっては頼りになる上司で、桃子の境遇も、日々の頑張りもよく知る理解者。「わが家はみんな日南子さんのファン」と弟たちも口を揃える。

ホームセンターでのハロウィンからクリスマスへの装飾・レイアウト変更は一大行事。ハロウィン当日夜に一晩で、クリスマス一色に模様替えをしなければならない。日南子は出るときは前に出て、引くときは引いて、「触れられる」クリスマスプロジェクトのリーダー・桃子を支えた。


しかし、職場ではしっかり者の日南子だが、一度恋に落ちると、まるで別人のようになってしまうらしい。配送部の真人の先輩で、藤木直人演じる悩ましいほど爽やかな高田悟志に思いを寄せ、脳内のひとり言がだだ漏れし、らしくないミスを連発してしまう姿は何ともキュート。悟志との関係を前に進めたくて、桃子を誘って2対2でのバーベキューデートが実現したからこそ、プロジェクトが終わってしまい、くすぶっていた桃子が真人に告白することができたのだ。


「もっと報われろ!」そう背中を押すシスターフッド

そんな恋に不器用な日南子が胸の内を打ち明けられる数少ない仲間が、紺野まひる演じる岸本沙織のようだ。第5話ではバーベキュー以来、連日会社を休んでいるという悟志が気になって仕方がない日南子が沙織を誘ってバーに行く。1年違いだが、同じ年にホームセンターに配属された“ほぼ同期”。

表情から喜怒哀楽が読み取れないことで職場の皆に突っ込まれてはいるが、沙織自身は幸せな結婚をして子どももいる。女性はある程度の年齢になると「立場でグループが分かれてしまう」と2人で話すシーンは印象的だった。「結婚してる、してない。結婚してる中でも子どもがいる、いないに分かれる」という言葉に日南子も同意する。

だからこそ、そんな垣根などないかのように誘ってもらえると嬉しいもの。そして沙織は、いま幸せなのは“全部持っている”からではない、結婚して子どもがいるから、ではないと続ける。「好きになった人に好きになってもらって一緒に暮らしてるから幸せ」「うちの子が世界一素敵で、大好きだから幸せ」という沙織。誰かの妻であるとか、母であるとか、“何かに属している”から幸せなわけじゃない、そこは重要なポイントだ。また、「何かを得ると何かを失う」100%パーフェクトな幸せではないことにも深くうなずくしかない。

日南子も「ちゃんと分かりたい、どういう意味?」と沙織の真意をしっかり聞こうとしたり、それに沙織も応えたり、逆に沙織が日南子に「あんたはもっと報われろ!」と励ましたり、お互いを尊重し合い、認め合っている。第6話では、この年上の2人が傷心の桃子を励ますことになる様子。2人の“姉ちゃん”たちが桃子にどんな影響を与えていくのか、彼女たちのシスターフッドも見逃せない。


十人十色の仲間たちがお互いを尊重し合う世界

さらに、「売場に出るのが恥ずかしくて、バックヤードの掃除ばっかりしてた」という桃子の新人時代を明かすベテランの「ふくよかさん」こと原田福代(阿南敦子)、一番の若手でフェスのために働いているという武内省吾(那須雄登:美少年/ジャニーズJr.)。“ハロウィンマン”のかぶり物をしても子どもたちに疎まれるなど、悩み多き若手社員・山辺新之助(井阪郁巳)も、無口でコワモテなホームセンターの警備員(西川瑞)も含めて桃子を見守る。

とりわけ「捨てられた椅子に座る写真シリーズ」にハマっている臼井(スミマサノリ)さんが大好きな人は多いだろう。粗大ゴミに出され、もう誰にも座られなくなった椅子を見つけたら教えてください、という臼井さんに対して、誰も「何それ?」「意味わかんない」とは言わない。彼がそういったものに哀愁や愛おしさを感じずにはいられないことを十分に承知しているのだ。

小池さん演じる日南子をはじめ、それぞれが自分らしく居心地よく過ごしてきた、この優しくてポジティブな世界に、きっと桃子は何度も救われてきたに違いない。

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