中村勘三郎さんから受け継がれる様々な“愛”――親友・大竹しのぶ、中村屋ドキュメンタリーで念願の語り

2024年12月20日(金)7時0分 マイナビニュース


●「完全に親戚のおばちゃんです(笑)」
女優の大竹しのぶが、フジテレビ系ドキュメンタリー特番『勘三郎十三回忌特別企画 中村屋ファミリー 父が遺した約束…硫黄島の奇跡』(20日21:58〜)のナレーション収録に臨んだ。フジテレビが歌舞伎の名門・中村屋を35年にわたり密着取材するシリーズとして25作目となる今回は、2012年12月に急逝した十八代目中村勘三郎さんの十三回忌追善の大舞台が毎月のように行われた2024年を追っていく。
生前の勘三郎さんと公私にわたり親しかった大竹は、中村屋ファミリーに受け継がれる様々な“愛”を感じながら、声を吹き込んだ——。
○長三郎に重ねる勘三郎さんの愛嬌と体つき
勘三郎さん亡き後の中村屋を見守り続け、「まさちゃん(勘三郎さんの長男・勘九郎)は31歳の時に哲明さん(勘三郎さん)が亡くなって、たかちゃん(次男・七之助)と一緒にその後を受け継ごうと一生懸命やっていたけど、ある時から“勘九郎と七之助”という自分たちを確立したと思うんです。そこに、(勘九郎の息子である)勘太郎(13)と長三郎(11)という新たな希望が出てきて、本当に素晴らしい4人組だなと思います」と印象を語る大竹。
このファミリーの魅力は、「真面目ですよね。真面目に歌舞伎を愛して、兄弟愛、親子愛、家族愛と愛があふれているのが本当に素敵だと思います」といい、「それを作った勘三郎さんが十三回忌を迎えてもたくさんの人が集まって、彼の話をして、その愛をみんなが受け継いでいるというのが、素晴らしいことだなと思います」と喜んだ。
○子どもたちの立派な姿に泣いていると…
今回の番組では、勘太郎と長三郎の活躍も描かれており、「子どもたちの舞台は全部見ているので、のりちゃん(長三郎)の「連獅子」もなおちゃん(勘太郎)の踊りも、その成長ぶりがすごいなと思います」と目を細める。特に、「登場した瞬間に愛されるのりちゃんの愛嬌や体つきは、おじいちゃま(勘三郎さん)譲りだなと思います」と重ね合わせた。
4人とも赤ん坊の頃から知っているだけに、「完全に親戚のおばちゃんです(笑)。いや、親戚よりも身近に感じてるかも。だから、歌舞伎座で子どもたちの立派な姿を見て、私が泣いてハンカチで涙を拭っていると、たかちゃんに見られて笑われたりしています(笑)」といい、親密な関係性がうかがえる。
そんな中村屋ファミリーの一方で、自身の息子・二千翔さんは、先日放送された『誰も知らない明石家さんま』(日本テレビ)で、交際中の女性と「1年以内に結婚まで」と宣言し、こちらも新たな家族が誕生しようとしている。だが、母は「何であんなことテレビで言ったんだろう…。優しさゆえに言っちゃったんだろうけど、彼女がかわいそうだって、娘(IMALU)と2人で責めました(笑)」とダメ出ししたそうだ。
●映像からも伝わる勘三郎さんの「息を飲む迫力」
勘三郎さんが亡くなって12年という年月が経ち、人々の記憶から消えていくおそれもある中で、「映像でもパッと出てくるだけでハッと息を飲む迫力がありますよね。だから、こういう番組を作ってくださって、中村屋の元である勘三郎さんを伝えてくれるのは、友達としてもうれしいなと思います」と感謝。
これまでも同シリーズのナレーションを熱望していたもののかなわなかったが、ついに今回実現したことに「本当にうれしいです」と喜びがあふれ出た。
今回の番組では、在りし日の勘三郎さんの映像もふんだんに流れ、「当時のことを知っているからこそ、一緒に努力したり、一緒にハラハラしたり、一緒に拍手したりという思いで読んでいました」と、語りを吹き込んだ心境を明かした。
○腹筋背筋がなくても舞台で動ける理由
改めて、勘三郎さんへの思いを聞くと、「今回のナレーション原稿に“十三回忌…今年ほど中村勘三郎という歌舞伎役者の偉大さを感じさせられた年はありません”とあったのですが、“今年だけじゃなくてずっとだから!”と言って直させてもらいました(笑)。哲明さんを知っている私や野田(秀樹)さんもそうですが、舞台の人間はみんな“哲明さんがいたらいいのになあ”と思うんです。哲明さんに“いい芝居だったね”と言われたい。それは、私が舞台に立っている限り思うことですね」と、その存在の大きさを語る。
今だから話せる秘話を聞くと、「明かせないことが多いです(笑)」と言って少し考えてから、「奥様の好江ちゃんと3人で海外に行った時、好江ちゃんが“腹筋背筋してごらん”と言ったら、私も哲明さんも全然できなくて(笑)。それでも舞台では何であんなに動けるんだって話になったら、哲明さんが“俺たちには芝居筋肉っていうのが付いてるんだよ。その時に必要な筋肉を稽古で培えばいいんだ”って言ってました(笑)」というエピソードを披露。
さらに、「哲明さんはめっちゃ体が硬いんですよ。それを見て、好江ちゃんが“どうしてそれで踊れるんだ”って不思議がって笑ってましたね」と、当時を懐かしんでいた。
●大竹しのぶ1957年生まれ、東京都出身。75年に『青春の門 -筑豊編-』で本格的デビュー。同年、NHK連続テレビ小説『水色の時』で脚光を集め、以降、数々の映画・ドラマなどで活躍する。近年は『PICU 小児集中治療室』『海のはじまり』(フジテレビ)などのドラマに出演。音楽活動も精力的に行い、1月21日にはビルボードライブ大阪、2月4日にブルーノート東京、また4月26・27日は八ヶ岳高原音楽堂でライブを予定している。

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