【インタビュー】ペ・ドゥナ、国境を越えて輝く理由「すべての人が持っている“心”を伝える」

2023年12月22日(金)8時30分 シネマカフェ

ペ・ドゥナ『REBEL MOON』/photo:You Ishii

写真を拡大

韓国を代表する俳優であるに止まらず、NETFLIXのドラマ「Sence8」(15〜18)や是枝裕和監督と組んだ『ベイビー・ブローカー』(22)などの海外作品にも積極的に出演し、独自のキャリアを築いてきたペ・ドゥナ。『アーミー・オブ・ザ・デッド』(21)のザック・スナイダー監督が長年にわたって温めてきた構想を映像化したSFスペクタクル大作『REBEL MOON』では、主人公と共に戦う人物ネメシスに扮し、華麗なアクションを披露。俳優としての可能性をさらに広げた。

国境と言語を越えて表現できること

——宇宙を支配する巨大帝国マザーワールドに挑む戦士コラと彼女の仲間たちの戦いを描く『REBEL MOON』への出演を決めた理由を教えてください。

私は基本的に規模の小さい映画や、人間の内面を描くような映画が好きですが、ファンタジーもとても好きです。それまで誰も見た頃もない、想像の中にしかなかったイメージを具現化して見せるというのも、映画というジャンルの持つすばらしい特徴のひとつだと思うからです。自分がその世界の中にいるのもとても楽しいです。

『REBEL MOON』へ出演することは、SF大作を作ってきた歴史の長いハリウッドのCGI技術を自分の体で感じることができるチャンスだと思いました。いったい、どんなふうに撮っているのだろうか、それを学んでみたいという気持ちが強かったんです。好奇心を刺激されたのが大きかった気がします。

——日本では今年、実際に起きた事件をモチーフとし、ペ・ドゥナさんが刑事役を演じた韓国映画『あしたの少女』(22)も公開されました。『REBEL MOON』とは規模もジャンルもまったく違う作品ですが、俳優として撮影に臨む際に違いはあるのでしょうか。

演技をする時、特に国境を越えて何かを伝えようとする場合に大事なのは、すべての人間が持っている“心”というものが通じ合えるかどうかだと思います。もちろん、言語も大事ですが、心を伝えられるキャラクターかどうかを第一に考えます。日本の監督と組んだ『空気人形』(09)や『リンダ リンダ リンダ』(05)のときもそうでしたけれど、日本語があまりうまくなかったとしても、なんとか自分の気持ちを日本の観客に伝えようとしました。

今回も、国境と言語を越えて自分がうまくできるところがあると思ったので選びました。もし、「感情のない役をやってほしい」と言われたり、ワンシーンにしか登場しないような役をオファーされたりしたら、やらなかったと思います。

私が演じたネメシスの物語は、『REBEL MOON パート1:炎の子』よりも4月から配信される『REBEL MOON パート2:傷跡を刻む者』の方でより詳細に描かれていきます。あと、基本的に、静かで憂鬱な役を演じると、次の作品ではより活動的で楽しいものにひかれます。



キャラクターを考え、衣装に自ら意見も

——『REBEL MOON パート1:炎の子』の中でネメシスは、卓越した戦闘能力を発揮しますが、同時に、自らが倒したモンスター、ハーマーダの死を悼むような言葉を口にするような人物でもあります。彼女の背景をどのように理解して演じましたか。

上半身が女性で下半身が蜘蛛の姿をしたハーマーダは、人間たちのせいで子どもが産めず怒りを抱いていますが、ネメシスはそんな彼女に母として共感しているんです。なぜなら彼女自身も母親で、傷を抱えた人物だからです。パート1だけだと少し背景がわかりにくいのですが、パート2を見ていただくと、彼女にとって母親としてのアイデンティティがどれだけ大きく、ハーマーダになぜそこまで同情したのかという理由もわかると思います。

——ペ・ドゥナさんが韓国人であることは、ネメシスというキャラクターにどれくらい反映されていますか。

特に意識して演じたことはありません。映画をご覧になって韓国っぽさを感じるとすれば、それは衣装のせいかもしれません。ネメシスが被っているつばの広い帽子は、韓国の伝統的な帽子“カッ”をもとにデザインされたものです。衣装合わせに行ったときに、すでに部屋に置かれていたので聞いてみると、私がキャスティングされたと聞いて衣装デザイナーのステファニー・ポーターが「韓国的なものを衣装に取り込もう」と考えて調べ、帽子に興味を持ったそうです。この帽子は朝鮮時代に両班(ヤンバン)と呼ばれた支配階級の男性が被っていたものです。私が出演したドラマ「キングダム」でも、王の息子が被っていましたね。あのドラマではとても低い身分の女性を演じていたこともあり、今回、この帽子を被ったときにはすべてを超越したような爽快感がありました。

そのほか、上着も伝統的な韓服の上着チョゴリに似ています。私が意見を出したのは、ボトムスについてです。もともとは裾が短く、足首が見えていましたが、ネメシスが剣を使うキャラクターなので、剣道着のように裾を長くしてはどうかと言いました。足が見えないほうが、動きがわかりにくくなり、より高段者のように見えるのではないかと思ったので。

——完成された映画を観てどのように感じましたか。

本当にびっくりしました。私たちはロサンゼルスのスタジオを中心に撮影していましたが、スクリーンに映し出されたものはまったく違いました。CGも加わっていたし、背景の描写もすばらしく、脚本を読んだり撮影をしたりしていたときには想像できなかった映像でした。自分の格闘シーンを見ても「こんなことをやっていたのかな?」と驚いたほどです。監督のザックがポストプロダクションで工夫してくれたおかげでとてもかっこよくなっていました。みなさんに観ていただくのが待ち遠しいです。

シネマカフェ

「インタビュー」をもっと詳しく

「インタビュー」のニュース

「インタビュー」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ