ブレイン・マシン・インターフェースの発展における中国の実力は?

2024年3月12日(火)20時30分 Record China

ここ数カ月の間に、ニューラリンク社と中国の科学研究チームがブレイン・マシン・インターフェースのテストで新たなブレークスルーを達成したと相次いで発表した。

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ここ数カ月の間に、イーロン・マスク氏が設立したニューラリンク社と中国の科学研究チームが、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)のテストで新たなブレークスルーを達成したと相次いで発表し、BMI技術がSFの世界から現実の世界へ向かっていることが明らかになった。



2023年10月24日、清華大学医学院の科学研究チームと首都医科大学宣武病院が世界初のワイヤレス低侵襲埋め込み型BMIのニューラル・エレクトロニック・オポチュニティ(NEO)のテストに成功した。交通事故で頸椎部にある脊髄が完全に損傷し、四肢麻痺の状態が14年間続いていた患者はが、自宅でBMIを利用したリハビリ訓練を3カ月間続けると、脳波を通じて空気圧式グローブを動かして、自分で水を飲むなど脳の制御機能を実現したという。



今年1月30日には、マスク氏がニューラリンク社のBMIデバイスを埋め込んだ最初の患者が脳を通じてパソコンのマウスを直接コントロールできたと明らかにした。



この2つのケースの技術レベルについて、中国情報通信研究院クラウドコンピューティング・ビッグデータ研究所の閔棟副所長は、「医療機器の進展ということでは、現在は2つのデバイスはどちらも同じく小規模な臨床試験の段階に入っている」と述べた。



ただテクノロジー・ロードマップは異なる。閔副所長によると、マスク氏の会社が採用したのは侵襲型で、電極を大脳皮質内に刺入し、キャッチするのは個々の細胞の放電で、より多くの回路を必要とし、脳活動のデコードによってさらに精度の高いコントロールを実現できるというものだ。しかし長期にわたり電極が刺入された脳細胞はグリア細胞の免疫反応を引き起こし、グリア細胞が電極を包み込む形になり、電気信号が悪くなったりシステムのスムーズな稼働が難しくなったりする。これがニューラリンク社の直面する臨床的問題だという。



中国の科学研究チームの低侵襲型BMI電極は硬膜外に埋め込まれ、血液脳関門を破壊せず、キャッチするのは局所場電位信号で、長期的なシステムの安定性と安全性がより高いが、デコードの精度が侵襲型システムには及ばない。



BMIは世界の科学技術界で最先端のホットな話題の一つになっている。欧州連合(EU)、米国、日本、韓国、オーストラリアなどの国・地域が、この技術を対象にした数多くの重要研究開発計画と典型的な投資プロジェクトを打ち出している。



閔副所長の説明によれば、ここ数年、BMIは電極、アルゴリズム、半導体などの面で重要な進展を遂げており、これには行われた科学テストの結果も含まれる。応用の面では、BMIは医療、エンターテインメント、スマートライフ、教育、軍事などの分野への応用が可能だ。そのうち医療分野が応用の中心であり、市場シェアの約6割を占めるという。



BMIと医療との結びつきから幅広い応用の可能性が生まれた。インドの研究機関のデータブリッジマーケットリサーチのデータによると、2022年のBMI市場の規模は17億4000万ドルに上り、予想では30年に56億9200万ドルに達し、この間の複合年間成長率は15.61%になるという。



24年1月に中国の工業・情報化部など7当局が「未来産業のイノベーション発展の推進に関する実施意見」を公表し、BMIを10大シンボル製品の1つに挙げた。



それでは中国の実力はどれほどのレベルか。閔副所長は、「中国国内のBMI製品は非侵襲型が中心だ。BMIのエコシステムの発展状況を見ると、各方面の努力の下、中国は今、基礎的な面、技術的な面、応用的な面をカバーするBMI全産業チェーンを形成しつつある。BMIソフトウェアの開発では、多くの研究機関がアルゴリズムやパラダイムなどの面ですでに世界トップレベルの研究水準に達している」と説明した。



特許データベースのインコパットを検索すると、2013-22年の医学分野のBMI関連の特許出願件数は1239件に上った。そのうち公開件数が最も多いのは中国で602件あり、米国の195件や韓国の119件をはじめ、他の国々を上回った。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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