北朝鮮、ガソリン個人業者の摘発強化…価格安定が目的か

2022年4月1日(金)6時2分 デイリーNKジャパン

北朝鮮当局は、ガソリン販売を行っている個人業者の取り締まりに乗り出した。


咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、清津(チョンジン)市など道内の市、郡検察所に「燃油商人をなくせ」との指示が中央から下された。それに基づき、清津市検察所は、取り締まり班を区域ごとに立ち上げた。ターゲットにしているのは、保衛部(秘密警察)と安全部(警察署)などの庇護を受けて、取り締まりを避けてガソリン販売を行っていた個人業者だ。


取り締まり班は、捜査線上に名前が上がった業者を任意の時間に家宅捜索できる権限を付与された。所有していたガソリンは、不法購入として全量没収している。


今月10日、清津市検察所の取り締まり班は、新岩(シナム)区域に住むキム氏(40代)の家を急襲。ガソリン600キロ(804リットル)、ディーゼル油500キロ(585リットル)など、販売価格で約1800ドル(約22万2000円)分の燃油を押収した。


また、12日には、会寧(フェリョン)市検察所が、市内の南門洞(ナムムンドン)に住むパク氏(50代)の自宅を家宅捜索し、2トン近い燃油を押収しようとしたところ、パク氏が「持っていくなら自分を殺してからにしろ」と激しく抵抗するも、あえなく押収されてしまった。彼は保衛部、安全部とのコネで庇護を受けつつ、商売を続けていた。



当局は、昨今の燃油価格上昇の原因は個人業者にあると見て取り締まりを行っている。需要と供給に応じて価格が決まるという市場経済の原理を無視し、無理やり価格の安定を図ろうとしているが、同様の施策が行われた穀物分野においては成功しているとは言い難い。


一方で、許可を受けたガソリンスタンドは国の機関や軍が経営していることから、取り締まりは利権を個人商人から取り戻す流れの一つと見ることも可能だろう。

デイリーNKジャパン

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