高齢化進む巨大人口の中国、アルツハイマーなど認知症対策が急務―中国メディア

2024年4月22日(月)5時0分 Record China

中国では高齢化に伴い、アルツハイマー病など認知症対策が急務とされる。 対策の先行試験区が制定されるなどの取り組みが進んでいるが、全国的に普及しているわけではない。

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中国メディアの環境時報は20日付で、英国誌「エコノミスト」の記事を引用して、中国におけるアルツハイマー病など認知症の状況を紹介する記事を発表した。



浙江省杭州市に住む90歳男性の張さんは、「死ぬよりも認知症になる方が怖い」と考えるようになった。物忘れが始まっていると感じるようになったことも関係している。張さんは、若いころには正常な思考能力を失った高齢者が「狂人」と呼ばれていたことを思い出した。中国の庶民は最近になり「アルツハイマー病」について知るようになったという。



張さんの場合には、かなり恵まれている状況だ。まず、88歳の妻と同居している。また杭州市は中国でも最も裕福な都市の一つであり、住んでいる同市拱墅区は、アルツハイマー病対策の先行試験地域でもある。



中国では高齢化の進行に伴いアルツハイマー病の患者が増加している。60歳以上の認知症患者は5300万人以上に達し、うち1000万人がアルツハイマー病との推計もある。中国人の平均寿命は延びていくので、アルツハイマー病など認知症患者は今後も増加していくと考えられている。



拱墅区衛生健康局の高齢者サービスプロジェクトの責任者によると、同区では高齢化が全国平均を上回って進行している。同区はアルツハイマー病の早期スクリーニング検査の実施に注力し、また専門家を招いて地域の衛生センターで診療活動を実施している。また、専門家による科学知識を普及するための講座を開き、記憶力の減退は正常な老化現象なので心配する必要はないといった、従来からの誤った概念を払拭するよう努力している。



同区では公的資金の補助を受けたコミュニティセンターに、認知力の低下を緩やかにするための施設が多く設けられている。また、入居介護サービスも提供している。アルツハイマー型認知症の住民の切り絵細工をスタッフが手伝うなどの活動する部屋もあり、その部屋の一角にはホーロー製容器や緑色の布地で作ったショルダーバッグなど、患者が眠っている記憶を呼び起こすための「懐かしの品」がずらりと並べられている。



中国には高齢化対策に不利な状況もある。成人男性の半数が喫煙者で、高血圧やうつ病、糖尿病を含む慢性病が多発していることなどだ。これらはいずれもアルツハイマー病の危険な引き金になる。さらに社会の基盤における衛生システムは相対的にぜい弱で、医療保険はまだ完備していない。アルツハイマー病を見つける検査は実施されているが、高額だ。中国では2024年1月にアルツハイマー病の新薬であるレカネマブが承認された。日米に次ぐ世界で3番目の承認だった。



中国では21世紀半ばごろには60歳以上の人口が5億人を超える見込みだ。張さんが住む杭州市拱墅区は、中央政府が選定した全国50カ所の認知症対策の先行試験区の一つであり、中国全国を見れば特例だ。(翻訳・編集/如月隼人)



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