「パウエル議長は大敗北者の遅すぎる男」…トランプ大統領が早期利下げ要求、NY市場はトリプル安に

2025年4月22日(火)12時23分 読売新聞

FRBのパウエル議長=AP

 【ワシントン=田中宏幸、ニューヨーク=小林泰裕】米国のトランプ大統領は21日、自身のSNSに「多くの人が『予防的な利下げ』を求めている」と投稿し、米連邦準備制度理事会(FRB)に対して改めて早期の利下げを要求した。FRBのパウエル議長を「遅すぎる男」とも批判。中央銀行の独立性が脅かされるとの懸念が広がり、21日のニューヨーク市場は株式・債券・通貨がそろって下落する「トリプル安」の展開となった。

 トランプ氏は「エネルギーや食料品は大幅に下落し、ほとんどの物価も下落傾向にある。インフレ(物価上昇)は事実上存在していない」と強調。早期利下げに慎重な姿勢を示すパウエル氏を「大敗北者の遅すぎる男」と痛烈に批判し、「今すぐ金利を引き下げなければ、経済が減速する可能性がある」と訴えた。

 これを受け、21日のニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価(30種)が一時、1300ドル超と大幅に下落した。トランプ氏がFRBへの圧力を強めたことで、投資家の米金融政策への不信感が広がった。終値は前週末比971・82ドル安の3万8170・41ドル。IT企業の銘柄が多いナスダック総合指数の終値は415・55ポイント安の1万5870・90だった。

 本来、株が下落した際は安全資産とされる米国債が買われるが、21日は米国債も売られ、米長期金利が上昇した。

 米金利の上昇にもかかわらずドルも売られ、21日の外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=140円40銭台まで円高が進んだ。昨年9月以来、約7か月ぶりの円高・ドル安水準だ。米CNBCによると、主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す「ドル指数」も2022年3月以来、約3年ぶりの水準に低下。トランプ氏の発言で「米国売り」が進んだ格好だ。

 パウエル氏は、第1次トランプ政権下の18年に議長に就任した。現在は2期目で、26年5月で任期満了となる。米ホワイトハウス高官は、トランプ氏がパウエル氏の解任を検討していることを明らかにしており、今後も市場の動揺が続く懸念がある。

ヨミドクター 中学受験サポート 読売新聞購読ボタン 読売新聞

「利下げ」をもっと詳しく

「利下げ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ