ロシアの主張色濃い米の和平案、交渉まとめたい米が「アメ」用意…ウクライナには受け入れがたい内容

2025年4月24日(木)7時0分 読売新聞

ウクライナのゼレンスキー大統領=AP

 ロシアのウクライナ侵略の終結に向けた米国の和平案は、ロシアの主張が多く反映された。停戦に後ろ向きなプーチン露大統領を引き出すため、交渉をまとめたい米国が多くの「アメ」を用意した格好だが、ウクライナには受け入れがたい内容となっている。

 米ニュースサイト・アクシオスによると、トランプ米大統領が「最終提案」とする和平案は北大西洋条約機構(NATO)からのウクライナの排除などが柱となっている。ロシアはウクライナのNATO接近を紛争の「根本原因の一つ」(露政府高官)と位置付け、加盟阻止に固執してきた。タス通信によると、露大統領報道官は23日の記者会見で「米国の仲介努力を歓迎する」と評価した。

 ロシアは交渉進展の可能性をちらつかせることで、米国を揺さぶっているようだ。プーチン氏は19日、キリスト教の復活祭(イースター)に合わせた30時間の停戦を突如、一方的に宣言した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は22日、プーチン氏がウクライナ東・南部について、現状の戦線を境界として停戦することを米側に提案したと報じた。露西部サンクトペテルブルクで今月、米国のスティーブン・ウィトコフ中東担当特使と会談した際に伝えたという。

 ロシアはこれまで、停戦交渉を始める条件として、露軍が占領していない地域を含め東・南部全域を露領として認め、ウクライナ軍が撤退するよう要求していた。報道が事実であれば、プーチン氏がわずかに歩み寄ったとの見方もできる。停戦に前向きなサインを送り、米国との交渉で有利な条件を引き出そうとしている可能性がある。ただ、ロシア通信によると、FT報道について、露大統領報道官は22日、「多くの偽情報がある」と否定した。

 ウクライナは軍事力による領土奪還は困難だと認めているが、ロシアの再侵略を防ぐ「安全の保証」が欠かせないと強調してきた。米国案は米国の関与に言及しておらず、十分な抑止力が働くかは不透明だ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「ロシアは停戦合意を何度も破っている」と述べ、早期の制裁解除にも反対している。

 アクシオスによると、ウクライナは23日の米欧との協議で米国の和平案ではなく、30日間の一時停戦の提起を模索した。しかし、米国が不快感を示し、ルビオ国務長官が急きょ欠席したとの見方がある。

 トランプ氏はどちらか一方が合意を困難にした場合、和平仲介から手を引く考えを示しており、非難の矛先がウクライナに向かう可能性がある。米ブルームバーグ通信によると、米国のバンス副大統領は23日、訪問先のインドで「(ロシアとウクライナが)米国の提案に同意するか、米国が和平に向けたプロセスから離脱するかを決める時だ」と記者団に述べた。

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