中国EVメーカーの終わらない価格競争、「最も残酷な日」はまだ来ていない―シンガポールメディア

2024年4月25日(木)8時0分 Record China

シンガポールメディアの聯合早報は24日、中国の電気自動車(EV)の価格競争はいつまで続けられるのかとの記事を掲載した。

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シンガポールメディアの聯合早報は24日、中国の電気自動車(EV)の価格競争はいつまで続けられるのかとの記事を掲載した。



記事は、世界最大のEV市場である中国でまた激しい価格競争が起きていると言及。米テスラが21日に「モデル3」などEV全4車種の1万4000元(約30万円)規模の値下げを発表したことを挙げ、「同社は理由を明らかにしていないが販売台数の減少と見られている。中国市場でのシェアは23年第1四半期の10.5%から同第4四半期には6.7%ほどに減少した」と説明した。



また、テスラに続き中国本土メーカーの理想汽車も全車種で最大3万元(約64万円)の値下げを発表したとし、「この大手2社の相次ぐ値下げ発表は新たな価格競争が始まったというメッセージを市場に向けて発している」と言及。このほかにも、吉利汽車や小鵬汽車といったメーカーも値下げや割引を打ち出したことを伝えた。



その上で、昨年も価格競争で多くのメーカーが淘汰されたが、今年はさらに猛威を振るっているようだとし、中国の報道を基に今年4月以降、累計で40近くのブランドの計128車種について割引や値下げが発表されたと紹介。この値下げ合戦の背景として、小米(シャオミ)の「SU7」の存在があるとの見方が出ていると伝えた。



「SU7」の予約は受付開始から24時間で9万台近くに迫るなど市場の予想を上回る勢いを見せているが、専門家は「各メーカーが同時期に値下げしたのは、SU7の『無条件で予約保証金(5000元)を返金する7日間』の前に消費者の心をつかみたかったため。なぜなら7日を過ぎるとシャオミへの注文は確定するからだ」との見方を示した。



一方で、米ブルームバーグは中国の自動車メーカーが昨年、販売目標を達成できなかったことが背景にあると指摘。2023年の年間販売目標を達成しているのは全体の3分の1にすぎないという。また、中国自動車工業協会の陳士華(チェン・シーホア)副秘書長は「価格競争は市場の供給過剰、需要の鈍化にも大きく関係している」との見方を示した。



記事は、「価格競争はすでに1年半近くに及んでおり、しかも今のところ収まる気配が見えない。ただ注目されているのは、値下げで本当に販売台数が上昇するのかということだ」と言及。コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書を基に、「価格競争が前向きな要素となる消費者の割合は19%で、6割以上の消費者は価格競争に関心を持たず、17%は購入を控える要素になっている」と伝えた。



また、乗用車市場情報聯席会(乗聯会)の崔東樹(ツイ・ドンシュー)秘書長は「価格競争が短期的な販売促進に作用するかは実際には明らかではなく、特に価格が不安定な情況の下では消費者の様子見の感情が特に強くなる」とし、「値下げした車種自体は販売が増えることもあるかもしれないが、そうなると関連車種も値下げしないと売れない事態になる」と述べた。



記事は、中国でEV普及が今後さらに進んでいく見通しだが、それは「最も残酷な日」がまだ来ていないことを意味していると指摘。「値下げは消費者の購入の意思決定に大きなプラスにはなっておらず、自動車メーカーの立場からも利益が損なわれることの影響は計り知れない。体力のあるメーカーは持ちこたえるかもしれないが、資金力のないメーカーはどうするか」とし、「メーカーは価格競争を切り札と考えるべきではない。結局のところ、この急速な科学技術発展の時代において、技術的なブレイクスルーとイノベーションこそが勝利の鍵なのである」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

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