中国「彼女経済」拡大、女性用民宿やスポーツジム人気…高学歴化や給与向上背景に市場は200兆円規模に

2025年5月16日(金)6時51分 読売新聞

中国雲南省麗江の「女性客限定」民宿の入り口で、宿泊客を迎える経営者の盧晨さん(右から2人目)=4月8日、大原一郎撮影

 中国で、消費意欲が増す女性向けの施設や商品を扱う市場を指す「彼女経済」が注目されている。市場規模は約10兆元(約200兆円)と推計され、拡大を続けるとみられる。米国との貿易摩擦が続く中、地方政府は低迷する経済の後押しに向け活用に動いている。(上海支局 田村美穂)

 中国南西部の雲南省麗江は世界文化遺産の旧市街で知られる観光地だ。石畳が続く一角に、「女性専用」をうたう民宿がある。中庭には色とりどりの花が植えられていた。女性が使いやすいよう、シャワーは低めに設置している。

 2023年に経営を始めた盧晨さん(38)によると、別の都市で運営する民宿で女性が男性にからまれる事案が続き、安心して楽しめる宿泊先を目指して女性専用にした。

 客の退室後は、盗撮防止のために隠しカメラがないか調べる。一人旅で訪れた浙江省杭州市の大学生羅宇潔さん(22)は「家族も安心している」と笑顔だ。

 上海市では女性専用のスポーツジムも人気だ。室内はピンク色で統一され、冷え性の利用者向けに床暖房もある。22年に開店し、現在は5店舗に拡大した。責任者の鄒雲霞さん(30)は「経済力を持ち、美や健康に気を使う女性が増えた」と明かす。

 中国のネットメディア・澎湃新聞によると、「彼女経済」の概念は経済学者が提唱した。中国メディア・第一財経系の調査研究機関によると、市場規模は23年時点で約10兆元だ。パステルカラーのバイクや、運転席に化粧直し用のライト付き鏡を備えた自動車などの商品は典型例だ。経済専門家は「市場は拡大を続ける」と指摘する。

 中国メディア・証券時報や調査研究機関などによると、市場規模の広がりには女性の高学歴化や給与の向上が影響している。女性の月収は24年時点で19年より2割以上増え、男性との賃金格差も減少傾向にある。

 経済を活性化したい地方政府もこうした動きに目を向けている。

 上海市共産党委員会機関紙・解放日報系のメディアによると、同市黄浦区は今月13日、「彼女経済」をテーマとする会議を開き、女性向けの商品開発に取り組む企業に支援策を進める方針を確認した。国営の中国中央テレビは3月、南部・広東省が女性向けサービスを手がける企業に経営のアドバイスを始めたと報じた。

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