北朝鮮のコロナ隔離者、少なくとも18万人を超える

2021年11月23日(火)8時59分 デイリーNKジャパン

北朝鮮は今に至るまで、国内で新型コロナウイルスの感染は発生していないとの主張を変えていない。その一方で、コロナ感染の疑いがある患者の隔離を行っている。その数は決して少ないものではない。


北朝鮮国内のデイリーNK高位情報筋によると、今月初めの時点で、首都・平壌を除く全国各地の隔離施設に収容された人が10万4000人に達した。


デイリーNKの取材結果、昨年11月の時点で8万1000人だったことを考えると、収容者数の累計は少なくとも18万5000人に達する。


中央非常防疫司令部は、各地域の隔離施設から毎週入所者、退所者、死亡者の統計を月別、四半期別に報告させるシステムを整えている。その一部の数字から18万5000人という累計収容者数が判明した形だが、明らかになったのはごく一部の統計に過ぎず、高位幹部、軍関係者の隔離施設は別途存在する。そうした状況を考え合わせると、収容者数の合計は遥かに多いことは想像に難くない。


北朝鮮当局は、37.5度以上の発熱、咳、呼吸困難などの症状がある人を7日間、自宅隔離措置を取り、それでも症状が好転しなければコロナ疑い患者として施設に収容する。施設には暖房もなく、寝具にはノミがいるなど環境は劣悪。収容された人の家族は、施設の医療関係者や管理者にワイロを渡して、布団に加えて、防寒用のビニール膜を差し入れしている。


また、食事も貧弱で1日2食、それもトウモロコシ混じりのご飯に、ほうれん草入りの塩のスープが定番メニューだ。停電時には、きちんと炊けていないご飯に、冷たいスープが出される始末。それなのに、1日500北朝鮮ウォン(約12円)から1200北朝鮮ウォン(約28円)の食費が退所時に徴収される。


コロナではなく、劣悪な環境のせいで病気になって亡くなる人もいたことから、収容をいやがり、ワイロを使って施設送りを免れる現象が広がっていた。しかし今年1月の朝鮮労働党第8回大会以降は、より強制力を持って収容するようになったとのことだ。



世界保健機関(WHO)は15日に発表した報告書で、北朝鮮保健省が今月4に地までに累計で4万4830人を対象にコロナ診断検査を行ったが、すべて陰性だったとする結果に触れている。その一方で、先月29日から今月4日までに検査を受けた109人は、インフルエンザもしくは重症急性呼吸器感染症(SARI)と診断されたとの報告も出している。

デイリーNKジャパン

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