その男は結婚費用を作るため女性を中国に売った

2018年12月23日(日)7時25分 デイリーNKジャパン

北朝鮮の国境警備隊の幹部が、中国への人身売買を幇助した容疑で当局に逮捕された。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。


逮捕されたのは、北朝鮮北東部、咸鏡北道穏城(オンソン)の国境警備隊に所属する20代後半の小隊長だ。結婚を控えていた彼は、新婦の家族から新居を用意するように強く迫られていた。その費用を工面するために、不法越境、つまり脱北を幇助することにした。


今月15日、小隊長は北朝鮮側ブローカーが連れてきた女性と落ち合い、国境を流れる豆満江を渡るのを助けた。中国側の岸にたどり着いた女性は近隣の山に身を隠した。そこで中国側のブローカーと落ち合うことになっていたものの、夜まで待っても一向に現れなかった。


中国中央気象台によると、この地方(図們)の当日の最低気温は氷点下9度。寒さに耐えかねた女性は、いったん北朝鮮に戻ることにして川を渡っていたところを国境警備隊に発見され、逮捕された。 国境警備隊の中隊長は女性を不法越境で逮捕したことを上部に報告していたが、小隊長の関与は知らなかったようだ。末端の隊員なら上官の黙認、庇護なしで脱北幇助は不可能だが、小隊長とあって、個人で実行する術を持っていたのだろう。


女性の取り調べの過程で小隊長の関与が浮上。穏城郡の保衛司令部に逮捕され、取り調べを受けている。来月以降に開かれる裁判で死刑を含む重罰が下されるのは避けられないと見られている。


女性は生活苦から抜け出すために、中国人男性との結婚を自ら望んだという。


見方によっては人身売買幇助ではなく、脱北幇助とも言える。だが、ブローカーがカネを受け取って女性を中国に売り払った点では、紛れもない人身売買だ。


脱北女性が人身売買の犠牲になる事例は後を絶たない。


韓国の国家人権委員会が、国立中央医療院に依頼して300人の脱北者を対象に調査を行った結果をまとめた「北韓離脱住民人権被害トラウマ実態調査」によると、脱北期間中に人身売買の被害に遭った経験を持つ人は65人(21.67%、女性の26.53%)に達している。

デイリーNKジャパン

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