映画「ベルばら」を見て鳥肌が立ったマンガ家 異論が出ることは承知で猛プッシュする理由とは?
2025年2月16日(日)12時20分 ITmedia NEWS
ベルばらは、18世紀末のフランスを舞台に、男装の麗人であるオスカルや、ルイ16世に嫁ぎ、後のフランス王妃となるマリー・アントワネットらの愛や人生を描いた作品。フランス革命に至る当時の時代背景や、そこで生きる登場人物たちの波乱の人生などの緻密な描写もあって人気を博しました。
ただ、ボクの子どもの頃は男の子が少女漫画に親しむ機会はあまりなく、1979年から放送していたTVアニメを見ていたくらいでした。そんなボクが今回の劇場版ベルばらを見た感想は……とても面白かったです!
今回の劇場版では、単行本10冊分の物語を2時間にまとめるために大胆な方法をとりました。一つは主人公をオスカルに絞り、彼女を中心とした恋愛模様に重点を置いてストーリーを構成したこと。そしてもう一つは、細かいストーリーやキャラの心情を表現するために、ミュージカルパートを頻繁に本編に入れていることです。
マンガで詳しく触れていますが、作品を通じてとにかく華やか。劇中歌の数々もキャッチーかつ感動的で、美しい映像と合わせたその豪華な演出はまさに鳥肌ものです。そして個人的にはミュージカルパートも素晴らしいと思いました。映像がとにかく鮮やかで美しく、まるでMV(ミュージックビデオ)のような映像の連続にボクの目は釘付けです。
一方で、やはり約2時間という映画では時代背景や人物の描写が圧倒的に足りていなかったと思います。ボクが絶賛した劇中歌も、元々の世界観に合っているとは言い難いので、ミュージカルパートに不満を持った人もいたでしょう。
それでもボクは、限られた時間の中で、原作の素晴らしさを表現しようとする制作側の意図が強く感じられたこの作品に好印象を持ちました。連載から50年が経過した今だからこそ表現できた“令和版ベルばら”。古くからの原作ファン、放送当時のアニメファンの方々はもちろん、初見の方も楽しめるものになっているので、ぜひ劇場へ足を運んでほしいと思います。
●著者紹介:サダタロー
1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。
●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場
漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。