カメラのデザインの高級腕時計を採用した「realme 12 Pro+ 5G」にみるカメラスマホのトレンド

2024年2月22日(木)11時0分 マイナビニュース

最近のスマートフォンはカメラの高性能化により、カメラ部分のサイズもかなり目立つようになっています。左右非対称でカメラのでっぱり部分が大きく目立ち、テーブルの上にスマートフォンを置くと左右にぐらついてしまうほどです。そこで海外メーカーはカメラ部分のデザインを根本から変更し、円形の台座(バンプ)を採用する例が増えています。日本でもシャープのAQUOS上位機種が類似のデザインを採用しています。
2024年1月末に海外で発売になったrealmeの「realme 12 Pro+ 5G」もそのトレンドを取り入れたスマートフォンです。realmeは日本ではスマートフォンを発売していませんが、OPPOの関連会社であり海外では新興国を中心に人気のメーカーになっています。realme 12 Pro+ 5Gのインド価格は2万9,999ルピー、約5万4,000円。この価格帯は新興国では高い部類に入るため、realmeも本体性能を高めるだけではなく本体の仕上げも高級にしているのです。
チップセットはミドルハイレンジ向けのSnapdragon 7s Gen 2を採用しており、本体性能は他社の上位モデルほど高くはありませんが、カメラは5,000万画素の広角、800万画素の超広角に加え、6,400万画素の3倍望遠を搭載します。望遠カメラの性能が高いため、3倍やデジタル6倍、10倍で撮影しても結構きれいな写真が撮れます。
本体スペックはある程度抑えつつカメラは妥協を許さないrealme 12 Pro+ 5Gですが、カメラ部分にはさらなる特徴があります。それはデザインにも力を入れているからです。一見すると円形の台座に3つのカメラとLEDライトを搭載しただけの簡単な仕上げに見えるかもしれません。しかしレンズを含む4つのガラス円を等間隔に配置し、その表面はクロス状に輝いています。
そして台座の周囲を見ると、スリットがいくつも入っています。このスリットは等間隔に何百も並んでおり、鈍く光る輝きは高級腕時計のベゼルのようにも見えます。realmeはこの円形のカメラの台座も美しいデザインに仕上げることで、スマートフォンを工芸品のような一つ上のランクの製品にしようとしているのです。
実際にこの仕上げは著名な腕時計デザイナーによるもの。自身で独立した高級時計ブランドを立ち上げ、またロレックスなどとコラボレーションも行ってきたOLLIVIER SAVEO氏がrealme 12 Pro+5Gのカメラ部分のデザインを監修しているのです。スマートフォンのカメラ台座も腕時計も円形ですから、美しさと高級感を合わせた仕上げにするのならば、同氏は最適の人物と言えるでしょう。
背面は本革風の手触りを味わえるヴィーガンレザーが貼られています。中央は金色の細長いプレートの存在により、手張りのような雰囲気も味わえるのです。「どうせケースをつけるのだからスマートフォンの背面は気にしない」という人もいるかもしれませんが、ここまでしっかりしたデザインであれば、むしろケースをつけずにこのまま使いたくなるのではないでしょうか。
スマートフォンの背面仕上げは、数年前まではガラスによる光沢感ある表面仕上げが美しいとされてきました。しかしスマートフォンのサイズが大型化し、ガラス面への指紋の跡が目立つようになってきてからは、光沢を保ちながらも指紋跡の残らない仕上げが増えています。そして新たな素材として数年前からヴィーガンレザーが使われ始めました。当初はハイエンドモデル向けだったこの素材も、最近では5万円程度の製品でも使われるようになってきたのです。realmeはこの革張り仕上げを手の届かない高級品にするのではなく「ちょとした贅沢が味わえる」スマートフォンとして新興国に投入し、人気を得ようと考えているわけです。
Appleとサムスン以外のメーカーからは、ほぼ「円形カメラ+ヴィーガンレザー背面」の高性能カメラフォンが出てきています。言い換えると、このデザインと仕上げを採用すれば、多少スペックが低くても他社のハイエンドモデルと同じ製品というイメージを消費者に与えられるというわけです。それほどまでにこのデザインは海外で最近のトレンドになっているのです。日本でもいずれシャオミなどの中国メーカーが、このデザインのスマートフォンを日本でも販売するでしょうね。そのころには背面で目立つカメラ部分のデザインで競い合う製品も登場しているかもしれません。
富永彩乃+山根康宏 富永彩乃(とみなが あやの) ITジャーナリスト/自撮り端末研究家。日本や海外各国のIT事情、特に海外の最新スマートフォンやビデオコンテンツサービスに精通。海外展示会の取材も積極的にこなし、現地からライブ配信によるレポートや動画撮影・編集も自身で行っている。スマートフォン複数台を常に使いこなし、TVやメディアへの出演も多数。 山根康宏(やまねやすひろ) 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど活動の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から百万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。 この著者の記事一覧はこちら

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