Windowsで消えたマウスを見つける方法

2024年2月27日(火)11時5分 マイナビニュース


ディスプレイの大きさが変える、デスクトップの物語
新人ビジネスマンに割り当てられるPCは、必ずしも最新モデルとは限らない。ディスプレイが大きいとも限らない。テレワークを含むハイブリッドワークを前提とする現在、デスクトップPCではなくノートPCが支給されることもある。デスクトップにせよノートPCによせ、支給されたPCのディスプレイが小さいと結構困る。
まず、ディスプレイが小さいと、複数のアプリケーションやタブを同時に展開した場合にウィンドウやタブをその都度切り替えなければならない。文章を書くにしても他の資料を表示しておける場所がなく、何度もウィンドウの切り替えを行う。
プログラミングにしても他のコードを読みながら書くことができないし、ドキュメントを見ながら書くことも難しく、出力を確認しながらコーディングすることも苦労する。常にウィンドウやタブを切り替えなければならず作業効率が悪い。
そしてそんな新人さんは、同僚の家へ飲みに行ったときに会社支給のノートPCに大型外部ディスプレイを2台接続して作業しているという自慢の作業机を見て驚愕するだろう。文章書きもコーディングもウィンドウやタブを切り替えることなく、すべて表示した状態でできる。ディスプレイの購入出費は避けたいが、自分が個人的に使うPCでも利用することを考えれば購入しても悪くはないと思えてくる。
筆者も大きなディスプレイを購入し、デュアルディスプレイに使ってみたら、作業の快適さに驚愕した。資料を読み比べながら文章を書くこと、APIドキュメントや解説動画を見ながらコーディングを行うこと、ビデオ会議中も資料を見つつさらにメモを取ることがすべて可能なのだ。
大きなディスプレイを使うようにしたことで作業効率は大幅に向上し、仕事への満足度も上がり、独創的なアイディアも出やすくなり、仕事の質も向上した。めでたしめでたし。
と、なれば理想的な物語だが、現実はこれほどスムーズにはいかない。大きなディスプレイにはそれはそれで問題がある。
マウスがいなくなる
サイズの大きなディスプレイを1つまたは2つ、3つと同時に使うとなると、まず設置場所の問題がある。設置場所を確保できた場合でも、接続するディスプレイが同等のものでないとスケーリングの不一致やテキストサイズの不均一などの問題が出る可能性がある。
そうした問題をクリアしたとして、抜本的に問題が一つ残る。マウルカーソルがどこにあるかわからなくなることが増えることだ。
人間は集中して作業していると目線が向いた先に自動的にフォーカスが移動していると思い込むところがあるが、実際にはショートカットキーを押すかマウスカーソルで動作するかしなければフォーカスを別のウィンドウに移動させることはできない。
凝視しているウィンドウにタイピングしても文字列が入力されてない事態になって、フォーカスが移っていないことに気が付き、マウスカーソルを探し出す。そして、ディスプレイが広いと、マウスがどこにあるかわからない。
ほとんどのユーザーがこうした場合に、マウスを左右に動かしたり、タッチパッド上で指を左右に動かしたりすることでマウスカーソルを目立つようにして、どこにマウスカーソルがあるか把握しようとする。すぐに見つけられることもあるし、色の関係でなかなか見つけられないこともある。
マウスカーソルの消失は動画を扱うようになると、さらに顕著に発生する。動画再生中はマウスカーソルが非表示になるためだ。カーソルは動画ウィンドウの上にあるのに見当違いのウィンドウを見ながらマウスを振っていることがある。
これではいつまでたってもマウスカーソルは見つからない。ディスプレイの夜間モードを有効にしていると、夜間に消えたマウスカーソルの発見はさらに難しい。
Windowsの標準機能で対応
Windowsに用意されている機能を使って、こうした状態を多少改善することができる。
それには、設定アプリケーションから「Bluetoothとデバイス」→「マウス」→「マウスの追加設定」を選択し、「マウスのプロパティ」ダイアログを表示させる。このダイアログで「ポインター」→「デザイン」からサイズの大きいマウスカーソルに変更する。マウスカーソルそのものが大きくなるのでその分見つけやすくなるが、常に大きなマウスカーソルが表示されるので煩わしくもある。
マウスカーソルのサイズ変更は他の方法でもできる。設定アプリケーションから「アクセシビリティ」→「マウスポインターとタッチ」を選択し、「サイズ」のプログレスバーを調整してサイズを変更する。
かなり大きなマウスポインタまで設定できるので、そもそもマウスカーソルが見にくいと思っている場合はこの方法を試してみるとよい。なお、先ほどと同じで常に大きなマウスカーソルが表示されるので煩わしい人も多いと思う。
「マウスのプロパティ」ダイアログの「ポインターオプション」→「Ctrlキーを押すとポインターの位置を表示する」にチェックを入れるという方法もある。この機能を有効にすると、「Ctrl」押して離したときにマウスポインタの位置がアニメーションで示されるようになる。この方法は惜しい。欲しい機能に近いが、あと一歩及ばない。もっと抜本的にスパッとマウスカーソルの場所がわかるようになってほしい。
そこで、PowerToysの出番だ。Microsoftが開発しているツール「PowerToys」には便利な機能が満載されている。上級者向けのツールだが、インストールするだけで効果的な機能が使えるようになる。
その一つが「Ctrl」「Ctrl」だ。PowerToysをインストールすると「Ctrl」「Ctrl」でマウスカーソルの位置をわかりやすく表示してくれるようになる。知っておくと便利な機能なので、試したことがなければ一度使ってみてもらえればと思う。

PowerToysをインストール
それでは、PowerToysを使ったマウスを探しやすくする方法を紹介しよう。PowerToysはMicrosoftが開発している上級者向けのツールで、標準のWindowsには搭載されていない実験的で便利な機能が詰め込まれている。一度使うと手放せないツールでもあるので、こうしたツールがあるということを知るためにも一度使ってみて欲しい機能だ。
PowerToysはMicrosoft Storeからインストールできる。Microsoft Storeアプリを起動して「PowerToys」で検索し、インストールする。
PowerToysを起動すると、次のようなウィンドウが起動してくる。ここから「設定を開く」をクリックする。
次のスクリーンショットがPowerToysの設定ウィンドウだ。ここでさまざまな機能の有効・無効を切り替えることができる。
上記のスクリーンショットの「マウスの検索」という部分に注目してほしい。この機能は最初から有効になっている。説明には「マウスの検索、アクティブ化: 左Ctrlキーを2回押す」と書いてある。これが今回欲しい機能だ。
この機能の細かな設定は「マウスユーティリティ」→「マウスの検索」で行える。「[マウスの検索]を有効にする」を有効にしておけば使えることができる。逆に不要であればこの機能を無効に設定する。
デフォルトでは、「左Ctrlキーを2回押す」がショートカットキーとして設定されているが、この設定は次のスクリーンショットのように「右Ctrlキーを2回押す」「マウスをシェイクする」や、さらに別のショートカットに設定することもできる。
「Ctrl」「Ctrl」でマウスを表示させる
PowerToysをインストールしたら、早速動作を試してみよう。次のようなデスクトップで作業を行っているとする。
ここで「Ctrl」「Ctrl」のようにCtrlキーを2回連続で押す。ディスプレイの表示が次のようになる。
ディスプレイ全体にグレーのレイヤがかかり、マウスの位置だけにスポットライトが表示されたようになる。先に取り上げたWindowsに標準装備されている「Ctrl」1回で表示する機能よりもはるかにわかりやすく、一発でマウスカーソルの場所がわかる。
使っているディスプレイが1つだとしても、最近のノートPCのディスプレイは解像度が高くマウスカーソルが見つけにくいものも多い。動画を再生しているとマウスカーソルは消えてしまうので、さらに探すのが困難になる。そんな場合でも、次のように「Ctrl」「Ctrl」だとマウスカーソルの位置が一発でわかる。
このように、PowerToysをインストールするだけで「Ctrl」「Ctrl」が使えるようになる。インストールしておくといざというときに便利なので、ぜひ試してみていただきたい。
ちょっとしたことで快適に
それほど頻繁に発生するものではないが、ときどき発生するイラッとする瞬間がある。PowerToysにはそうした場合に使える便利な機能が詰まっている。PowerToysのすべての機能を把握する必要はなく、必要な機能だけを覚えておけばよい。
「Ctrl」「Ctrl」はそうした機能の中でも特にわかりやすいものだと思う。マウスカーソルが消えてマウスを左右に振ることがあるようなら、一度試してもらえれば幸いだ。
付録: PowerToysを本格的に使う場合は管理者モードをオン
「Ctrl」「Ctrl」によるマウスカーソルのフォーカスが気に入り、他の機能も使っていこうと思った場合、PowerToysを管理者モードで起動するように設定しておくとよい。
設定ウィンドウの「全般」に「PowerToysを管理者として再起動」というボタンがあるので、このボタンを押す。
管理者モードで起動してきたら「全般」→「常に管理者として実行する」、「全般」→「起動時に実行」がどちらも有効になっていることを確認しておく。
PowerToysは便利なツールなので、興味が出たらいろいろ試してもらいたい。すべての機能が必要なわけではないが、皆さんが欲しい機能がどこかに入っていると思う。その機能のためだけにインストールしておく価値のあるツールだ。

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