RTX初の補助電源レス、MSI「GeForce RTX 3050 LP 6G OC」を試す - DLSS対応で『フォートナイト』も快適プレイ

2024年3月2日(土)8時0分 マイナビニュース

2024年2月2日から、NVIDIAの新たなエントリーGPUとなる「ビデオメモリ6GB版GeForce RTX 3050」の発売がスタートした。このGPU最大の特徴は、ロープロファイルサイズかつ補助電源不要の製品が存在していること。
長らくこの条件を満たすGPUの最高峰はGeForce GTX 1650だったが、ついに変化するときがきた。今回はMSIの「GeForce RTX 3050 LP 6G OC」を用意したので、さっそくレビューをお届けしよう。
今回紹介するMSIの「GeForce RTX 3050 LP 6G OC」は、GPUにビデオメモリ6GB版のGeForce RTX 3050を搭載するビデオカードだ。6GB版は2022年1月に発売され、エントリーGPUの定番になっているビデオメモリ8GB版のGeForce RTX 3050からスペックを削り、より低価格化したエントリーモデルという位置づけになっている。一番のポイントはカード電力が70Wへと減ったことで、RTXシリーズでは初となる補助電源不要での動作が可能になったことだ。
現行NVIDIA GeForceシリーズにおいて補助電源不要、かつ最もパワフルなモデルとなると、5年前に発売された「GeForce GTX 1650」しか選択肢が残っていなかった。CUDAコアはたったの896個とかなり少なく、VRAMも4GBしかない。AI機能も一切搭載しておらず、ゲーミング性能を大幅に引き上げられる「DLSS」にも対応していなかったので、機能面でも見劣りしていた。
しかも、MSIの「GeForce RTX 3050 LP 6G OC」は背の低いロープロファイルサイズにも対応している。拡張カードがロープロファイルサイズにしか対応していない、ゲーミング仕様ではないスリム型PCの強化にうってつけというわけだ。
これまでロープロファイルサイズに対応するのはGDDR5版のGTX 1650が中心だったので、ようやくの世代交代かと思う人もいるだろう。なお、GTX 1650はGDDR5版、GDDR6版の2種類があり、しかもコアで分けると4種類もあるとバリエーションが複雑なGPUだ。ここでは、GDDR5版のスペックを掲載する。
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気になる性能テストの前に、今回紹介するMSI GeForce RTX 3050 LP 6G OCのスペックを紹介していこう。ブーストクロックは定格の1,470MHzから若干OCされた1,492MHzながら、カード電力は70Wと定格通りだった。カード長は174mmと、Mini-ITXの奥行きである170mmとほぼ同じ。小型PCにも組み込みやすいサイズと言える。なお、厚さは2スロットにしっかり収まっている。
GeForce GTX 1650を大きく上回るパワー。DLSS対応タイトルでは圧倒的性能
気になる性能チェックに移ろう。テスト環境は以下の通りだ。比較対象としてビデオメモリ8GB版のGeForce RTX 3050と、GDDR5版のGeForce GTX 1650を用意した。
CPU:AMD Ryzen 9 7900X(12コア24スレッド)
マザーボード:ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO(AMD X670E)
メモリ:Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
ビデオカード:MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G OC(NVIDIA GeForce RTX 3050)、ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK(NVIDIA GeForce GTX 1650)
システムSSD:Micron Crucial T500 CT2000T500SSD8JP(PCI Express 4.0 x4、2TB)
CPUクーラー:Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
電源:Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OS:Windows 11 Pro(23H2)
まずは、3D性能を測定する定番ベンチマークの「3DMark」から見ていこう。
GeForce GTX 1650からは、40%ものスコア上昇が確認できた。今回用意したGeForce GTX 1650は、ロープロファイルで補助電源不要という同じ条件のモデル。それでこれだけの性能アップを果たしているのは素晴らしい。逆に8GB版のGeForce RTX 3050に対しては約25%スコアダウンとそれなりに性能差はある。ただ、8GB版のGeForce RTX 3050は8ピンの補助電源接続が必要になるため、スリムPCのゲーミングPC化には向かないモデルだ。
次は、実際のゲームを試そう。まずは、人気FPS/TPSから「Apex Legends」と「フォートナイト」を実行する。Apex Legendsは、トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート、フォートナイトはリプレイデータを60秒再生した再生した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で計測した。
Apex Legendsは、中画質の設定で見るとGeForce GTX 1650に対して約40%フレームレートが上回る3DMarkと同じ傾向だ。8GB版のGeForce RTX 3050のほうが約26%上回るという結果も同様。高画質設定だと6GB版のGeForce RTX 3050は性能不足なのか、GeForce GTX 1650との差は小さくなる。
注目なのは、フォートナイトは画質のプリセットを最高にしても平均60.1fpsに到達しており、快適にプレイできるフレームレートが出ている点だろう。8GB版のGeForce RTX 3050とGTX 1650との差も順当と言える結果だ。
続いて、DLSSに対応するタイトルを試してみよう。「サイバーパンク2077」と「Call of Duty: Modern Warfare III」を用意した。どちらもゲーム内のベンチマーク機能を利用している。DLSSやFSRといったアップスケーラーを有効にした場合は、すべて「バランス」に設定して実行した。
どちらもAIによるフレーム生成が可能なDLSS 3対応タイトルだが、これを利用できるのはRTX 40シリーズが必要。RTX 30シリーズは超解像機能だけのDLSS 2までの対応となる点は注意したい。
サイバーパンク2077はGeForce GTX 1650と比較するために、レイトレーシングは利用していない。それでも画質プリセットを「ウルトラ」にした場合の描画負荷は高く、DLSSを使っていない場合は平均38.5fpsしか出ていない。しかし、DLSSを有効にすれば平均61.1fpsまで向上して十分快適にプレイできるフレームレートになる。
GeForce GTX 1650はDLSSに対応していないため、代わりにどのGPUでも使えるアップスケーラーのFSR 2.1を利用したが、それでも平均35.9fpsまで。基本性能の差に加え、DLSS対応の有無は大きいと言えそうだ。6GB版のGeForce RTX 3050でもDLSSに対応していれば、かなりの高画質設置でもゲームがプレイできるという事実は強力なアピールポイントになるだろう。
Call of Duty: Modern Warfare IIIも同様だ。画質プリセット最上位の「極限」でもDLSSを有効にすれば、平均71fpsと快適にプレイできるフレームレートを出せる。ただ、このゲームのポイントはDLSS 3と同様の「アップスケーラー&フレーム生成」を組み合わせたFSR 3に対応していること。
FSR 3は幅広いGPUで利用できるため、GTX 1650では適用し、画質を「ベーシック」にすれば、DLSSを使った6GB版のGeForce RTX 3050にかなり近くなる。FSR 3はRadeonだけではなく、旧世代GPUの延命につながる技術であると感じさせる結果だ。
フルHDなら多くのゲームを楽しめるパワーを、補助電源なしで実現
6GB版のGeForce RTX 3050はロープロファイル&補助電源不要のビデオカードに新時代が到来したと言ってよい結果だろう。これまで最高クラスだったGTX 1650に対しておおむね40%の性能向上があり、DLSSに対応したゲームなら高画質設定でもフルHD解像度という条件はあるが、快適にプレイできるフレームレートを出せるパワーがある。スリム型PCのゲーミングPC化手段として、間違いなく人気になるだろう。

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