企業の「DE&I推進」の実態調査、上位概念に対する理解が不足

2024年3月5日(火)17時31分 マイナビニュース

NTTデータ経営研究所は3月5日、「Diversity, Equity and Inclusion(DE&I)に関する実態調査」の結果を発表した。これによると、DE&Iの推進は人的資本指標の向上を媒介し、パフォーマンスや幸福度、組織の生産性を改善しうるという。
○DE&Iに関する用語・概念の認知度は?
同調査は同社が、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供するNTTコム リサーチの登録モニターおよび協力企業における、就業中の20歳代〜60歳代の男女を対象として2023年10月16日〜31日に実施したものであり、有効回答者数は1204人(内訳は男性が853人、女性が346人、その他が5人)。
同調査では、日本企業におけるDE&Iの実態と推進効果の検証および戦略的に進展させる契機づくりを目的とし、DE&Iに関する用語の認知度、障害者との接触頻度などの「DE&I指標」、組織文化満足度、組織のリーダー満足度、心理的安全性、ワーク・エンゲージメント、健康状態に関する「人的資本指標」 、プレゼンティーズムや幸福度に関する「パフォーマンス指標」について、非公開型のインターネット調査により検証した。
DE&I関連用語や概念の認知度を見ると、障害について「知っている」(少し・ある程度・非常に、を含む)との回答は、身体障害が66%、精神障害が64%、発達障害が62%、知的障害が63%であり、障害についての認識・理解は進んでいる。
DE&Iに関する用語・概念の認知度では、ダイバーシティが52%、インクルージョンが31%、EquityとEqualityの違いが17%、アンコンシャス・バイアスが24%、心理的安全性が25%であり、DE&Iの上位の概念では認識・理解が進んでいないと同社は分析する。
○認知度が高い年代や職階は?
DE&Iに関する用語・概念の認知度を年代別・職階別で見たところ、年代が若いほど認知度が高く、一般社員よりも係長・主任級以上の認知度が高い。
管理職におけるDE&Iに関する認知、理解はある程度進んでいるが、約4割が知らない(あまり・ほとんど・全く)と回答しており、全ての管理者に対して上位概念を含むDE&Iの理解の醸成を進める必要があると同社は見る。
さらに、管理職ではなく年齢が高い層を中心に、DE&Iに関する周知・啓蒙や具体的なアクションを行い、組織文化を向上させる必要性が示唆されたという。
DE&Iの用語に関する認知度および、職場での障害者との接触(インクルージョン)が人的資本指標やパフォーマンスに与える影響を調べたところ、ダイバーシティの認知度が高いほどワーク・エンゲージメントが高い傾向が見られたとしている。
さらに、DE&Iの上位概念を認知していると、ワーク・エンゲージメントがより高くなると、同社は分析する。
ダイバーシティの認知度が低い場合、組織文化およびリーダーへ満足している回答者は1割以下だった。
一方、ダイバーシティの認知度が「非常によく知っている」の場合、組織文化およびリーダーへ満足している回答者は7割以上であり、DE&Iの用語に関する認知度は、組織文化およびリーダーへの満足度とも関連しており、また障害者との接触回数が多いほど心理的安全性が高いと同社は見る。
○DE&Iの認知度とパフォーマンスとの関連性
パフォーマンス指標との関連については、DE&Iの用語の認知度および障害者との接触頻度が高いほど、人的資本指標が高く、またリーダーへの満足度が高いと健康状態が良い、組織文化やリーダーへの満足度が高いとパフォーマンス指標が高いという相関関係が見られたとしている。
DE&Iに関する深い理解を醸成し、インクルージョンを実践することが組織文化やリーダー満足度の向上につながり、これらの媒介として健康状態やプレゼンティーズム、幸福度が改善する可能性が示されたと、同社は分析する。
同社は結論として、「DE&Iの推進により良好な組織文化の形成を通じて、人的資本指標が改善し、その結果、個人の幸福が高まり、かつ企業の生産性も向上できる可能性がある。人的資本指標は株価と関連するといった報告 10 もあることから、DE&Iの推進は、決してマイノリティの方のためだけではなく、働くすべての人のための施策であり、また、サステナブルな企業成長と企業価値向上を実現するための施策として積極的に取り組むべきテーマであるといえる」と述べている。
また、今後はマイノリティの雇用などDE&I指標の向上に加え、社内全体でDE&Iの実践と理解を深め、社員のエンゲージメント向上、企業の成長につながる具体的な方法論の体系化が必要だと指摘している。

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