自販機の運用をAIで最適化、ソフトバンクの自販機業界向けDX「Vendy」 - キリンが採用

2024年3月12日(火)20時0分 マイナビニュース

ソフトバンクは3月12日、AIを活用した自販機オペレーション最適化サービス「Vendy」(ベンディ)を発表した。また、キリンビバレッジによる同サービスの採用も同時に発表された。
自販機の管理・巡回をAIで効率化。属人化した業務を改革していく
世界的に見ても特異な「自販機大国」と言われる日本。自販機業界全体の年間売上は約4兆円に上るという巨大産業だが(※矢野経済研究所調べ)、その運用にあたっては意外にも属人的な業務が多いという。
たとえば設置場所や季節による売れ行きの変化を読んで商品ラインナップを組んでいく棚割りであったり、街中に無数に点在する自販機をうまく巡回するためのルートの組み方であったりと、無人販売の裏側では、実は熟練したスタッフの経験と勘に頼っている部分が大きい。
働き手が不足するなかでそうしたオペレーションの課題を抱えた状態では人材の確保はより困難になる。そこで、デジタル技術の活用によって作業者に求められる業務スキルの平準化や省力化を果たし、課題解決の一助となるのが自販機業界における本ソリューションの意義といえる。ソフトバンクにとっては、単に通信サービスを提供するだけではなく「次世代デジタルインフラの担い手として、各領域のDX推進やデジタル産業の創出に取り組む」というビジョンに沿った取り組みとなる。
自販機のオペレーション業務としては、もちろん商品をトラックに積み込んで担当エリアの自販機を回って補充するといった実作業もあるが、それぞれの自販機にどの商品を何本、どんな配置で入れるか、巡回ルートはどうするか、トラックにどれだけの商品を積み込んで出発するか……などといった計画系の工程も大きなウェイトを占める。その部分をVendyが担うというわけだ。
Vendyでは売上データや在庫情報、設置場所や契約条件などの自販機データ、巡回や商品替えにかかるコストなどの情報を取り込んで専用にカスタマイズされたAIで処理し、巡回計画・積載計画や自販機ごとの商品構成リストを生成・出力する。
提供プランは、オンライン検量システムを導入済か否かなど各事業者の状況にあわせて3つのパターンを用意する。まずは通信機を設置し稼働状況をリアルタイムで可視化したいという段階の「ライトプラン」、すでにオンライン検量システムは導入しているがデータ活用には至っていない事業者にAIによる分析・需要予測機能を提供する「アドバンストプラン」、そしてオンライン検量システムの導入からAI分析までをワンストップで提供する「プレミアムプラン」がある。個別の見積もりとなるため詳細は非公表だが、台数に応じて料金が決まるSaaS型で、小規模な事業者でも導入しやすい価格体系とする。
開発段階から協力、ローンチカスタマーとなるキリンビバレッジの期待は
サービスの開発にあたっては、ソフトバンクとキリンビバレッジ、自販機メーカーとしてトップシェアの富士電機の3社が協力。実際に自販機オペレーターのトラックにソフトバンクの技術者が同乗し、現場の業務課題への理解を深めたうえでサービス設計やAIのチューニングを行った。
キリンビバレッジの自動販売機は日本全国に約18万台あり、そのうち、グループ会社を通じて直接管理されているものは約8万台。この8万台すべてに、2024年10月から1年ほどかけてVendyを導入する。
2022年12月〜2023年1月に首都圏の約2,000台で行われた実証の結果を踏まえ、キリンビバレッジではVendyの導入効果として「自販機オペレーションに関わる業務時間の1割削減」および「約5%の売上増」と攻守両面での効果を見込んでいる。
また、「人気商品を品切れで売り逃すのは避けたい、でも新商品を多くの自販機に入れて露出を増やしてブランドを育てたい」などというように短期的な利益の最大化と大局的な視点を両立させるのは各人の判断に任せていては難しい部分で、そういった面でのラインナップの最適化も目指す。
業務効率化によって捻出したリソースは新規設置先の開拓などに向けるほか、従来は業務の属人化によって業務に慣れたスタッフの配置転換が難しい面もあったが人材配置の柔軟性が高まり、人手不足のなかで限られたリソースの有効活用につながる間接的な効果も期待しているという。

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