NEC×TMDU、スマホ映像や問診データで慢性腰痛のセルフケアを支援するAI技術を開発

2024年3月21日(木)18時34分 マイナビニュース

NECと東京医科歯科大学(TMDU)は3月21日、AIによりスマートフォンやタブレット端末で撮影した映像や問診データを解析して、慢性腰痛のセルフケアを支援する技術を開発したことを発表した。これにより、慢性腰痛を持つ人が自身で手軽に腰の状態を確認し、推定される原因と推薦される改善運動を参照可能になるという。
○技術の概要
今回発表された技術は、NECの2D/3D骨格推定技術や仮説推論技術などのAIと、TMDUの医学的知見をもとに開発したもので、スマートフォンやタブレット端末のカメラで撮影した自身の映像をもとに、骨格の推定、身体の部位ごとの状態評価、慢性腰痛の原因推定を自動で行い、症状に応じた運動プログラムを提示するシステム。
従来、スマートフォンやタブレット端末のカメラで自身を撮影すると、さまざまな角度から撮影された映像となるため角度によって骨格が歪んで推定され、精度が低下する原因となっていた。
今回、人物がカメラに写る角度をAIが自動的に考慮して骨格を推定する2D/3D骨格推定技術を開発し、さまざまな角度からの映像でも高精度に骨格を推定することが可能になったという。
また、理学療法士などの専門家は慢性腰痛の原因を探るためにさまざまな動作を観察し、身体の部位間の関係や背中の形状との関係から関節の状態を評価する。従来技術では、映像から推定した骨格情報をもとに身体の部位間の関係性を算出して部位ごとの状態を評価していたが、身体の部位と背中の形状との関係性を加味することは困難で、状態評価の精度の向上に限界があったという。
このたび映像から背中の形状を高精度に推定する技術を開発し、身体の部位と背中の形状との関係性も加味して、部位ごとの状態を専門家と同等の高い精度で評価可能になったということだ。
さらに、慢性腰痛の原因を探るには属性情報や症状などから運動学的な課題を網羅的に探索する必要があるが、膨大な組み合わせがあり、従来の推論技術では原因の探索に数時間を要していたという。
今回、SATソルバ(充足可能性判定問題の解を探索するための専用のプログラム)を用いたNEC独自の仮説推論技術を開発したことで、映像や問診データから主要な原因を平均10秒以内で推定可能になったという。また、TMDUの医学的知見をもとに、身体の部位ごとの状態、問診データ、慢性腰痛の原因の膨大な組み合わせを知識ベース化しており、高い精度で網羅的に慢性腰痛の原因を推定することが可能になっている。
そして、推定される原因に応じて、慢性腰痛の改善に適した運動プログラムを端末上に提示する。運動プログラムは動画とともに提供されるため、慢性腰痛を持つ人が自身で、自宅などで動作を確認しながら運動プログラムに取り組むことが可能だということだ。
両社は、2024年度中にNECカラダケア神楽坂店などにおいて同技術の実証を行い、有効性を検証予定だというとしている。将来的には同技術の適用範囲を慢性腰痛から首や肩の不調にも拡大していく計画だ。

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