アドビ、新作バリアブルフォント「百千鳥」発表 レトロな“圧縮フォント”再現 「フォントの日」に合わせ

2024年4月10日(水)20時48分 ITmedia NEWS

新作バリアブルフォント「百千鳥」

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 アドビは4月10日、同社が制定した「フォントの日」に合わせ、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。ウェイトを自在に変えられる他、縦・横方向の扁平具合を調整することができる。提供時期については別途案内するとしている。
 百千鳥は、2021年に登場した源ノ角ゴシックのバリアブルフォント版に続くもので、Extra Lightのような細めのウェイトから、Heavyなどの太めのウェイトまで自在に変えられる他、文字の高さや幅なども調整可能。通常の全角フォントでも偏平にすることはできるが、字体の縦横の線幅が変わってしまうという。百千鳥では偏平を変えても線幅が同じに見えるようデザインされている。
 また、既存のフォントは、縦書きで日本語と欧文の高さがあってないケースがあるが、バリアブルフォントでは高さが合うように調整することができる。アドビでは縦横ともに「コンデンス」(長体)だとしている。百千鳥では小鳥のグリフも内蔵されているが、この小鳥もバリアブルに対応しており、アニメーションのように形を変えることができる。
●構想は15年前から
 同フォントをデザインしたAdobeプリンシパルフォントデザイナーの西塚涼子氏によると「スケッチも含めると案自体は15年前からあった」という。
 「(昭和時代の看板やメニュー表など)昔から決まった枠に文字を詰め込む表現があったが、テクノロジーの発展とともにデザイナーがフォントに依存するようになるにつれ、“圧縮フォント”を見かけなくなった」という。西塚氏によると、この“文字を詰め込む”という手書きとフォントを融合させた手法は、昔の凄腕グラフィックデザイナーが手掛けていた表現方法であり、そこからインスパイアを受けたとのこと。
 「弊社のアプリでも扱いが難しく、2軸のフォントを扱うことができなかった」「レトロ回帰じゃないが、今の技術で昔の表現ができないか」として開発したのが百千鳥だという。
 「縦・縦方向・横方向に扁平をかけることができる。全角もあつかえるのが百千鳥」「文字の天地が変わっても太さが維持できるのが百千鳥の最大のポイント」と、バリアブルフォントならではのメリットを語った。
 なお、提供が遅くなる理由として、活字的な考え方でいう圧縮の方向が横組みと縦組みで変わる、縦横ともにコンデンスである(文字が進む方向に対して長体)特徴ゆえ、エンジンなどの調整に時間がかかっているという。提供時期については別途案内するとしている。

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