150万年もの年齢差がある不思議な連星系を発見 ヨーロッパ南天天文台

2024年4月17日(水)16時14分 財経新聞

星雲NGC 6164/6165 (c) ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU

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 連星を構成する星は通常、同時期に誕生するため年齢は同じだが、ヨーロッパ南天天文台(ESO)は4月11日、150万年もの年齢差がある連星系が存在することを発表した。この連星系は、HD148937で、地球から約3800光年離れた星雲NGC6164/6165の中心部で輝いている。

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 ESOによれば、HD148937は現在は2つの星で構成されているが、そもそも3つの星で構成されていた。現在輝いている2つの星は太陽よりもはるかに大きく、そのうちの1つは2つの星が合体したものであるという。つまり、3つ子として誕生した時から150万年後に、それらのうちの2つが合体して1つの星になったのだ。

 ガス状星雲で中心部に連星が存在していること自体、非常に珍しいことだが、HD148937ではさらに、その連星の年齢差が150万年もあるという驚愕の事実が隠されていた。この連星を取り囲む星雲NGC6164/6165は、およそ7500年前に誕生したと考えられ、この付近の宇宙空間には想像を絶する歴史が隠されていたのだ。

 そのシナリオの概要は次の通りだ。最初にHD148937は3つの連星として誕生。その際、2つは非常に近接した軌道を有し、残る1つは少し離れた軌道をとっていた。連星系誕生から150万年後に近接した2つの星が合体して1つになった。

 合体によって新しく誕生した星は強い磁気を持つに至ったが、残る1つの星は磁気を持たないまま現在に至っている。そして7500年前に2つの星はガス放出し、星雲NGC6164/6165が誕生したのだ。

 太陽程度の質量の星が磁気を持つことは当たり前だが、巨大星が磁気を持つことは稀だ。なぜ磁気を持つのかは謎で、2つの星が合体した場合に磁気を持つ可能性があることが示唆されていた。今回、HD148937の片方が強い磁気を持っていることが確認され、星の合体により巨大星が磁気を持つという仮説の正しさが証明されたのだ。

 太陽のように単独で輝いている星は宇宙では一般的ではなく、約半数の恒星は連星系をなす。連星系では太陽系においては見ることのできない、様々かつ複雑なドラマが今も展開されているに違いない。

財経新聞

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