クラウドで新しい働き方を届け、トップセールスを維持するネクストモードの仕事術とは

2025年4月23日(水)10時0分 マイナビニュース


ネクストモードはNTT東日本とクラスメソッドの共同出資により2020年7月に設立され、AWS(Amazon Web Services)とSaaSで働く環境のクラウド化をサポートしている。具体的には、クラウドセキュリティサービス「Netskope」やID管理サービス「Okta」などのライセンスの提供から運用後のサポートまで行っている。
同社は、2021年度と2022年度の2年連続で、日本で最も多くの新規顧客に「Okta」を販売した。「Netskope」については、2023年度と2024年度連続で最も多くの新規顧客へ販売したパートナーとして、Netskope社から「Top Hunter award」を受賞。SNSやブログを通じて多くの顧客にNetskope製品をアピールしたパートナー企業へ贈られる「Ambassador award」も2年連続で受賞している。
そこで、同社の代表取締役社長の里見宗律氏に、好調なビジネスを続けるためのポイントを聞いた。
NTT東日本の社員時代に直談判して新会社を設立
--ネクストモードは、里見さんがNTT東日本の社員だった時、直談判して設立した会社と聞いています。そこまでして、里見さんがやりたかったことは何でしょうか?--
里見氏: 「クラウドを活用して日本の働き方を変えたい」と本気で思いました。きっかけは、ラスベガスで開催されたAWSの年次イベント「AWS re:Invent」で、クラスメソッドの横田さん(現クラスメソッド 代表取締役 横田聡氏)と話をしたことです。
そのとき、横田さんから「そろそろ会社でも作らない」と言われ、確証はなかったのですが、「はい、作りましょう」と答えました。そして、現在のNTT東日本の社長である澁谷さんに「横田さんが会社を作りたいと言っているので、作ります」と伝えると、「ええやん」と言われました。それから、必死になって資料を作り、社内の人を説得して新会社を作りました。
--里見さんが新会社を作りたいと思ったほど、AWSやクラウドに対して感じた魅力は何でしょうか?--
里見氏: クラウドにカウンターカルチャー(古い常識に風穴を開け、新しい価値で社会を前進させるムーブメント)を感じました。それまで、データセンターを借りて、そこにサーバをラッキングして配線し、オンプレミスといわれる環境をたくさん作ってきましたが、クラウドでは数億円かかっていた仕組みをわずかな金額で作れます。これは、私にとってカウンターカルチャーでした。誰もが等しく同じ土俵で戦えるクラウドの世界は、エンジニアにとって夢のような世界だと思いました。
従来製品と異なる「Netskope」の魅力とは
--「Netskope」を商材として選択した理由は何でしょうか?--
里見氏: 10年以上前にNTT東日本がAWSを利用しようとしたとき、各所からセキュリティについて指摘を受けました。当時、NTT東日本は境界型のセキュリティモデルを使っていたのですが、同製品があれば安心・安全にクラウドが活用できるということを上長に説得したことで、AWSだけでなく、いろいろなクラウドサービスを使うことが認められました。
そこで、日本の大手企業はきっとクラウドを使う時にセキュリティで困っているはずだから、「Netskope」のニーズがあるのではないかと考えて販売製品として取り扱うことにしました。
--「Netskope」の魅力はどういうところだと思いますか?--
里見氏: 従業員の振る舞いを可視化し、安心・安全に働ける環境をガードレールとして整備してくれることです。詳細なログを取ることができる点も気に入っています。例えば、Webミーティングをやっていることもログとして取れます。問題が発生したときにデジタルフォレンジックの役割を果たし、証跡として見られるところが便利で、これまでの製品とはまったく違う考え方を持つ革新的な製品でした。
ログは取得するタイミングや制御のレベルを日々変えられます。従来のセキュリティ製品は導入時が最もレベル高い状態で、そこからだんだん落ちていくと思います。しかし、「Netscope」は設定を変えながら、目指すセキュリティにフィットさせていくことができます。そこが、従来製品と違うところです。
ネクストモード流ビジネス術のポイント
--御社を設立した2020年6月、コロナ禍でリモートワークの追い風は吹いていましたが、事業を始める時期としては遅い気がします。事業の調子はいかがでしたか?--
里見氏: SaaSがもっと浸透すれば、ゆくゆくはその後ろ側でAWSが使われていることは意識されない世界になっていくと感じていました。そのため、会社設立当初からSaaSのビジネスを小さく準備してました。しかし、これが予想以上の売上となり、初年度から事業計画の数十倍販売できました。そこで、ちょっと早いかもしれませんが、SaaSの会社に路線変更する決断をしました。
--顧客のターゲットはどこに据えたのですか?--
里見氏: 特に業界業種を定めておらず、新しいテクノロジーが好きなお客様という形でターゲットを絞ったので、ブログを積極的に書き、お客様が当社のサイトを見つけてくれるインバウンドビジネスを目指していました。そのため、営業メンバーは少なく、問い合わせをいただいて受注するというのが現在の販売の主流になっています。
--2023年度のNetskopeの「Top Hunter award」「Ambassador award」「SE MVP」をトリプル受賞し、2024年度も「Top Hunter award」「Ambassador award」を受賞していますが、好調な販売の要因をどのように分析されていますか?--
Top Hunter award:最も多くの新規顧客へNetskope製品を販売したパートナー企業へ贈られる賞
Ambassador award:SNSやブログを通じて多くの顧客にNetskope製品をアピールしたパートナー企業へ贈られる賞
SE MVP:優秀なエンジニアに送られる賞
里見氏: お客様自身が商材を探す時代になってきているので、クラスメソッドの営業手法をまねた点が一番良かったと思っています。クラスメソッドの営業手法は、ブログをたくさん書いて、お客様に認知してもらって興味を持ってもらえたら見積依頼が来るというものです。クラウド商材は、見積依頼からお客様との接触が始まるほうが効率的なので、クラスメソッドの営業職のやり方を踏襲したことがうまくいったと思っています。
--とはいえ、Netskopeの代理店はたくさんあるので、その中から御社を選択してもらわないといけませんが、どんな戦略を持っているのでしょうか?--
里見氏: お客様が困っていると思われる技術のノウハウをどんどんブログに書いて、お客様が自分で解決できるのであれば、自分達でやってもらう。解決できないお客様だけ、われわれに問い合わせをしてほしいというスタンスで、情報をオープンに出しました。そうすると、お客様がオーガニック検索でネクストモードのブログにたどり着き、その後、受注の見積依頼が来る流れが多くなっています。
また、最初は実績がなかったので、私自身がいろいろなところでワーケーションを行って、どこでも働けることをアピールしていくというプロモーションをやっていました。そうすると、ちょっと変わった社長がいる会社として興味を持ってもらえるようになりました。
--会社を設立して5年ほど経ちますが、顧客ニーズの変化は感じますか?--
里見氏: AIをセキュアに使いたいというニーズが増えています。みなさん、社内の情報がAIを介して漏れてしまうことを恐れています。例えば、ChatGPTに「NTT東日本の事業計画をこういう前提で考えてください」と指示すると、答えを出してくれるのですが、企業秘密をChatGPTが学習してしまいます。プロンプトを打つ時に情報が漏洩してしまうことを防ぎようがないことを気にされています。
営業面では、クロスセルが非常に増えています。当社の顧客は累計で400社程度ですが、契約数は1200以上に及びます。単純に、1社あたり3つ以上の契約していることになります。新規も獲得しつつ既存顧客を膨らませる方向に、ビジネスが変わってきています。
ワーケーションの出会いがビジネスにもつながっていく
--御社はワーケーションを推進しており、ほぼ100%リモートワークと聞いています。コロナ禍のリモートワークでは、社員同士のコミュニケーションが課題に挙がっていましたが、御社はどのように解決していますか?--
里見氏: 社員同士が会う機会を増やす努力をしています。チームビルディング研修という名称にしていますが、外部の会議室でイベントを開催しています。今年は、紙飛行機を作って誰が一番飛ばせるかというイベントをやりました。
このようにチームを分けて、一つの課題を解決するといったことに加え、全社員によるワーケーションも年に1回やっており、昨年は高尾山に集まりました。その時の出張費、交通費はもちろん会社払いです。中には、北海道から来る社員もいます。リアルで集まる会議を開催するようにしています。
また、勤務時間中に雑談の時間を設けたり、社員が2人以上で集まってランチした場合の費用を補助したりする取り組みもしています。
ただ、能力のある人はリモートでも大丈夫ですが、新人教育になるとフェイスtoフェイスでやったほうがいい点があるのは事実だと思います。リモートと対面のよさを組み合わせていくことが大事でしょう。
ワーケーションは遊びに行っているというイメージがありますが、私としては、いろいろな出会いが生まれ、そこで地方での課題を感じるなど、カンファレンスや展示会に行く時と同じような気持ちでワーケーションを行っています。そこでの出会いがビジネスにもつながっていくと思っています。
そういう世界では、やはりセキュリティが大事になってくるので、「Netskope」のようなものを活用しながら、世界中を飛び回っていろいろな人と交流できる、そんな世界が実現できると良いと思っています。

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