「Pixel 8a」発売直前クイックレビュー 7万2600円の価値は十分にある!

2024年5月14日(火)0時10分 ITmedia Mobile

ITmedia Mobile編集部宛に届いたレビューキットはObsidianカラーで、純正ケース(Google Store価格:4900円)が付属していた

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 既報の通り、Googleは5月14日にAndroidスマートフォン「Pixel 8a」を発売する。日本向けにはおサイフケータイ(モバイルFeliCa)対応の専用モデルが投入され、ストレージの容量は128GBのみとなる。直販サイト「Google Store」における販売価格は7万2600円で、NTTドコモ、au(KDDI/沖縄セルラー電話)、ソフトバンクを通した販売も行われる。
 この記事では、同社から提供を受けたObsidian(オブシディアン)のレビューキットを用いつつ、本機の特徴をチェックしていく。購入を検討している人の参考になれば幸いだ。
●パッケージと付属品はシンプル ACアダプターはオプション
 パッケージと付属品の構成は、先代の「Pixel 7a」から変わっていない。付属品は以下の通りとなる。
・印刷物×2(サポート情報、保証規定)
・1m USB-C-USB-Cケーブル(USB 2.0)
・クイックスイッチ(USB Type-C to Standard A)アダプター
・SIMツール(トレイ取り出しピン)
 先述の通り、日本向けのPixel 8aはおサイフケータイに対応しているが、かざす場所の目安となる「モバイル非接触IC通信マーク」は付いていない。サポート情報にかざす位置が書かれているので、おサイフケータイを含むNFC機能を利用する場合は、必ずかざす位置をチェックしておこう。
 付属のUSB-C-USB-Cケーブルは、データの移行や充電に利用できる。ACアダプターは付属しないので、必要に応じて購入する必要がある。本機では最大18W(9V/2A)の急速充電に対応しており、USB PD(Power Delivery)規格に準拠し、かつ9V/2Aの出力に対応するACアダプター(またはモバイルバッテリー)を用意すれば充電スピードを向上できる。
 公式仕様によると、本機のUSB Type-C端子は「USB 3.2」に準拠しているという。世代記載がないので筆者が調べてみたところ、USB 3.2 Gen 1(USB 3.0)相当(最大5Gbps)でデータの伝送が可能なようだ。iPhoneを含む古いスマートフォンからのデータ伝送に使えるクイックスイッチ(USB Standard-Aアダプター)はUSB 2.0(最大480Mbps)に準拠している。
 USB 3.2 Gen 1以上の規格に対応する機器と本機をつなぐ場合は、対応するUSBケーブルやアダプターを別途用意するとデータ転送速度を向上できる。
●リフレッシュレートが向上したディスプレイ 四隅のカーブは強め?
 本機のディスプレイは6.1型有機ELで、パネル解像度は1080×2400ピクセル(アスペクト比20:9)となる。リフレッシュレートは最大120Hzで、輝度は最大2000ニトと廉価モデルながらもスペックは高めだ。
 ディスプレイパネルのサイズや解像度は先代の「Pixel 7a」と変わらない。ただし、Pixel 7aと比べると四隅のカーブ(丸み)が強めなので、気になる人は気になるかもしれない。
 ディスプレイのリフレッシュレートだが出荷時は60Hz駆動となる。端末設定で「スムーズ ディスプレイ」をオンにすると、表示しているアプリ(コンテンツ)に応じて60〜120Hzの範囲で動的に変化するようになる。ただし、設定の注意書きにもある通り、本機能を有効化するとバッテリーの消費が激しくなるので、必要に応じてオン/オフを切り替えて使うといいだろう。
●5Gは「Sub-6」のみ対応 Wi-Fiは「6E」まで
 「スマホはコミュニケーションツールである」と考えると、Pixel 8aの通信回りの仕様も気になる所だ。
 携帯電話としては、5G NR/LTE(4G)/W-CDMA(3G)およびGSM(2G:日本では未使用)の各規格での通信に対応する。SIMカードは「nanoSIM」「eSIM」の両方に対応し、それぞれの回線の音声通話やSMSを同時に待ち受ける「DSDV(Dual SIM Dual VoLTE standby)」も利用可能だ。
 日本向けモデルはドコモ、au、ソフトバンクに加えて楽天モバイルが利用している周波数帯(バンド)をしっかりとカバーしている。具体的には以下のバンドで通信可能だ。
・5G NR(Sub-6):n1/2/3/5/7/8/12/20/28/38/40/41/66/77/78/79
・LTE:バンド1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/21/28/38/39/40/41/42/66
・W-CDMA:1/2/4/5/6/8/19
・GSM:850/900/1800/1900MHz帯
 本機を公式販売(サポート)するキャリアにおける、5G NR規格での最高通信速度(理論値:以下同)は以下の通りだ。
・NTTドコモ:下り3.7Gbps/上り218Mbps
・au:下り4Gbps/上り218Mbps
・ソフトバンク:計測中(5月13日時点)
 Wi-Fi(無線LAN)は、Wi-Fi 6E(6GHz帯対応のIEEE 802.11ax)までの対応となる。5GHz帯/6GHz帯では80MHz幅での通信が可能で、最高通信速度は1.2Gbpsとなる。上位モデルでは2倍の160MHz幅で通信可能で、最高通信速度も単純計算で2倍(1.2Gbps→2.4Gbps)となるため、この辺は「廉価モデル」としての割り切りといえるだろう。
 BluetoothはVersion 5.3に対応しており、ダイバーシティ通信にも対応している。
●カメラ機能は「メリハリ」が効いている
 アウトカメラは「広角」「超広角」の2基(デュアル)構成で、オートフォーカス(AF)と光学式/電子式手ブレ補正に対応している。それぞれのカメラの主なスペックは以下の通りだ。
・広角(メイン)
・センサー:約6400万画素(1/1.73インチ、Quad Bayer、ピクセル幅0.8μm)
・絞り値:F1.89
・画角:80度
・デジタルズーム:最大8倍(超解像)
超広角
・センサー:約1300万画素(ピクセル幅1.12μm)
・絞り値:F2.2
・画角:120度
 数値的なスペックはPixel 7aから据え置かれているが、本機では「Ultra HDR」も初めから利用可能だ。Pixel 7aからの機能的差分としてPixel 8/8 Proに実装された「編集マジック」「ベストテイク」「音声消しゴムマジック」にも新規対応している。
 Pixel 8/8 Proの先進的な機能に対応しつつも、カメラのスペックを変えないことで値段を抑えたのだろう。
 インカメラはシングル構成の固定フォーカスとなる。主なスペックは以下の通りで、数値上のスペックは画角以外Pixel 7aと変わらない。
・センサー:約1300万画素(ピクセル幅1.12μm)
・絞り値:F2.2
・画角:96.5度
●「囲って検索」や生成AIサービス「Gemini」も初めから使える!
 Pixel 8aでは、Google検索アプリの新機能「囲って検索」や、生成AIサービス「Gemini(ジェミニ)」といったGoogleの最新サービスを利用できる。
 囲って検索は、画面下部のバーを長押しすると呼び出せる(※1)。画面に表示している要素を囲むかタップすると、その要素に関する情報を検索してくれる優れものだ。例えば過去に撮った写真で「これ、名前をド忘れしたけど何だっけ……?」「これと同じ(似た)ものを買いたい!」という際に役立ちそうだ。
(※1)「3ボタンナビゲーション」を利用する場合は、ホームボタンを長押しとなる(標準では「ジェスチャーナビゲーション」)
 Geminiを利用したい場合は、Google Playストアから「Geminiアプリ」をダウンロードする必要がある。
 なお、Geminiアプリは「Googleアシスタント」を置き換える形で機能する。基本的にGeminiアプリはGoogleアシスタントの機能の多数を内包しているが、一部実装されていない機能や、一定の条件でGoogleアシスタントが呼び出されることもある。「Geminiを使ってみたい」という人は、事前に機能面の特徴を確認しておくことをお勧めする。
 実際に使ってみて「Googleアシスタントに戻したい」という場合は、端末設定から戻せるので安心してほしい。
●Pixelならではの便利機能は健在
 Pixel 8aは、Pixelスマホならではの便利機能を利用できる。例えば音声通話の支援機能「通話スクリーニング機能」「発着信番号の情報識別」「代わりに待ってて」は、Pixel 8aでも問題なく使える。
 また、データ通信の安全性を高めるVPN接続サービス「Google One VPN」も無料で利用可能だ(※2)。特に公衆Wi-Fiサービス利用する際に、データを盗み見られるリスクを大幅に軽減できる。
(※2)Google One VPNは6月20日(米国太平洋夏時間)をもってサービスを終了するが、Pixel 8aを含む「Pixel 7」以降のPixelスマホについては本体に組み込まれた「Google VPN」として引き続き利用可能(一部機種はソフトウェア更新が必要:参考記事)
 先代のPixel 7aと比べると、直販価格ベースで9900円値上げされたPixel 8aだが、短い時間ながらも実際に使ってみると快適性は確実に増している。メモリは8GB、ストレージは128GBと変わりないものの、Pixel 8/8 Proと同じSoC「Google Tensor G3チップ」を採用した効果は確実に感じられる。
 ハイスペックモデルの価格が高騰を続ける中、そこそこ高機能で快適なスマホが8万円未満で買えるのは、ある意味でありがたい。超個人的な好みをいえばディスプレイの角の丸みがとても気になるのだが、それを差し引いてもとてもバランスの良いスマホに仕上がっている。
 店頭で展示されていたら、ぜひ手に取って試してみてほしい。

ITmedia Mobile

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