Googleに聞く「Google メッセージ」日本展開の意義 AppleのRCS対応は「非常に楽しみにしている」

2024年5月16日(木)18時11分 ITmedia Mobile

KDDIが、Googleメッセージを同社が扱う端末に標準採用していく方針を明かした

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 Googleは、5月14日、15日(現地時間)にかけて開催したGoogle I/Oで、「Googleメッセージ」の日本展開を発表した。Googleメッセージは、RCS(Rich Communication Services)を活用したメッセージアプリ。既にサービス自体は始めていたが、同アプリが標準搭載されている端末はPixelシリーズなどの一部にとどまっていた。今後は、KDDIが販売する端末にGoogleメッセージをプリインストールし、日本での普及を加速させていく構えだ。
 そのGoogleメッセージの製品管理チームを率いるAndroid and Business Communications Directorのヤン・イェンドレヨヴィッチ氏が、日本の報道陣のグループインタビューに答え、同サービスの特徴や日本で展開する意義を語った。
●世界中のAndroidユーザーがRCSを使用しており、相互運用性がある
—— 日本での展開を発表しました。
イェンドレヨヴィッチ氏 KDDIとの提携、そして日本のAndroidユーザーがグローバルなRCSネットワークに接続できることを、非常に楽しみにしています。私たちはSMSやMMSという古いプロトコルを使用する既存のメッセージング体験をアップグレードする作業を進めてきました。より現代的で、より安全で、より信頼性が高く、よりよいユーザーエクスペリエンスにするためです。日本が世界とつながるネットワークに加わることを、非常に楽しみにしています。
 世界中のAndroidユーザーがRCSを使用しており、相互運用性があります。1つのグローバルネットワークということです。そして、今、KDDIがそのネットワークに加わることで、日本のAndroidユーザーがより多くの人とつながり、RCSの利点とセキュリティ、最新のエクスペリエンスを享受できるようになります。
—— 日本では、3キャリアが「+メッセージ」というRCSサービスを提供しています。また、楽天モバイルの「Rakuten Link」もRCSです。Googleメッセージは、これらのサービスと互換性はありますか。
イェンドレヨヴィッチ氏 Googleは世界中の通信事業者と協力し、さまざまなRCSエコシステムの標準化をしようと努めてきました。5年前に時計の針を巻き戻すと、世界中にはさまざまなRCSの実装がありました。例えば、国全体が1つのRCSネットワークであっても、世界の他の国とつながっていなかったり、通信事業者ごとに異なる場合もありました。ある通信事業者のRCSが、別の国の通信事業者のRCSと互換性がなかったのです。
 私たちが長年取り組んできたのは、これらを全て統合し、一貫性を持たせるためです。米国のユーザーがフランスのユーザーや日本のユーザー、インドのユーザーと全て同じプロトコルでグループチャットができる。日本がこのグローバルネットワークに参加することに、期待している理由の1つです。日本のAndroidユーザーは、これまで日本国内の他のユーザーとはコミュニケーションを取れましたが、国外との互換性がありませんでしでした。
 また、ご存じの通り、AppleがRCSをサポートすると発表しました。私たちの目標は、これをグローバルなスマートフォンのエコシステムにすることです。RCSの互換性のある統一されたエクスペリエンスを実現することは、取り組む価値があり、本当に楽しみにしていることです。
●KDDI以外のユーザーでも使用可能 +メッセージとは使い分ける形に
—— KDDI以外のユーザーでも使えるということを確認させてください。
イェンドレヨヴィッチ氏 日本のPixelにも既にGoogleメッセージが搭載されており、グローバルのネットワークに接続されます。Googleメッセージは、Playストアからダウンロードでき、多くのデバイスにプリインストールされています。その意味では、いつでも利用することはできます。ただし、工場出荷状態からすぐに使えるアプリを用意しておくことは非常に重要です。そうすることで、箱から出してすぐに使える直感的なエクスペリエンスが実現するからです。
—— KDDIのスマートフォンでは、Googleメッセージと+メッセージの両方が内蔵されることになります。SMSも含めたメッセージアプリとして使えるのは、どちらか一方ということですよね。
イェンドレヨヴィッチ氏 はい。全ての端末は、デフォルトとして設定できるアプリは1つだけになります。Androidはデフォルトアプリを変更できるので、別のアプリを選択することもできます。SMSの受信に関しては、デフォルトに設定したアプリで行います。セキュリティの観点では、SMSにアクセスできるアプリを最小限に抑えることが重要です。機密性の高い情報がやりとりされるので、複数のアプリがアクセスできることは好ましくありません。
●AppleのRCS対応にも期待 相互運用可能になると確信している
—— AppleがRCS対応するというお話がありましたが、この件についてはどうお考えですか。
イェンドレヨヴィッチ氏 彼らは24年にRCSのサポートを開始すると発表しています。あと7カ月ほどしかありません。それが実現するのを非常に楽しみにしています。Appleの対応はエコシステム全体を前進させ、融合を加速させると考えて間違いないでしょう。これは、ユーザーにとって素晴らしいことです。複数の国が、他の地域とつながっていない小さな“RCS島”になるのはよい経験ではありません。
—— “Apple RCS”のような形で、iOSに閉じてしまう心配はないですよね(笑)。
イェンドレヨヴィッチ氏 はい。私たちは、これが相互運用可能になると確信しています。他のRCSユーザーと接続できないRCSを開始することは、まったく意味がないからです。ご存じの通り日本は少々特殊ですが、欧州や米国、カナダ、ラテンアメリカ、東南アジアなど、世界の他の国々はAndroidユーザーがRCSで相互接続されています。もちろん、彼らがRCSを開始するまで確実ではありませんが、全てが連携して機能することには自信を持っています。
●Google メッセージにもステッカーがある 写真から作成できるフォト文字も
—— 日本では、メッセージサービスとしてLINEがあり、人気を博しています。スタンプのような機能も一般的です。Googleメッセージにも同様の機能はありますか。
イェンドレヨヴィッチ氏 はい。ステッカーがありますし、「フォト文字」という便利な機能もあります。これは数週間前にリリースしたもので、写真を撮って、自分だけの絵文字を作成できます。また、メッセージに対するリアクションにも、このフォト文字を利用できます。作成時には、デバイス上のAIモデルを使用し、背景を取り除いてフォト文字として分離しているため、クラウドには何もアップロードされません。
—— キャラクターのようなスタンプはサポートしていますか。
イェンドレヨヴィッチ氏 ステッカーパックにはさまざまな種類があり、追加することもできます。これは継続的に改善し、新しいステッカーも追加しています。
—— ストアのようなものはないのでしょうか。
イェンドレヨヴィッチ氏 基本的には外部パートナーと協力して、ステッカーパックをアプリに導入しています。ただし、Playストアのような購入できる場所はありません。
—— 日本では、IP(知的財産権)を持った会社も多いので、販売したいところも多いと思います。
イェンドレヨヴィッチ氏 現時点ではできませんが、日本での展開が拡大すれば、当然のこととして検討すべきだと思います。ユーザーが増えるにつれ、市場特有のカスタマイズが意味を持ち始めるからです。現時点で発表できることはありませんが、日本のユーザーに確実にサービスが提供できるよう、取り組んでいきます。
●AIを活用したスパム対策や、LLMを活用してテキスト作成を支援する機能も
—— Googleメッセージの特徴的な機能について教えてください。
イェンドレヨヴィッチ氏 AIについてコメントさせてください。AIは企業として最大の優先事項で、私たちはこれに多大な投資を行っています。Googleメッセージでも、AIを組み込む方法を模索してきました。それが役立つと思われる具体的な事例がいくつかあります。
 AIを使って長年取り組んできた重要な分野の1つに、スパム対策があります。スパムや詐欺といった行為から、ユーザーを守ります。これは非常に重要な分野で、私たちが絶対的に優先すべきことだと考えています。AIは、悪質な行為を迅速に特定し、ユーザーを保護する上で重要な役割を果たします。誰かがフィッシングのURLを含むメッセージを送信してきた場合、デバイスがオフラインであっても、それを検出できるメカニズムを用意しています。
 また、ユーザーがAIを使って自分自身を表現できるようにもしています。文章マジック(Magic Compose)と呼ばれる機能で、デバイス上でLLM(大規模言語モデル)を使い、テキストメッセージの作成を支援します。Geminiにメッセージを作成するように依頼し、表示されたオプションの中からコピー&ペーストするだけでメッセージを送ることもできます。

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