持続可能な未来への道、実現の鍵を握る柔軟な生産体制への移行

2025年5月14日(水)6時30分 マイナビニュース


持続可能な未来を実現するカギは製造システムの柔軟性
テクノロジーが急速に進歩する一方で、持続可能な未来を構築しなければならないというプレッシャーはこれまで以上に強まっている。環境に優しい社会を実現するまでの道のりには、環境面の課題と物流面の課題が山積している。こうした課題を解決するためには、メーカー、ディストリビュータ、サプライチェーン全体が一体となって、新しい手法やシステムを構築する必要がある。
従来の製造モデルは、持続可能性よりも効率性を優先する傾向があった。つまり、リソースを多く消費するモデルである。しかし、本当の意味で持続可能な未来を実現するには、こうした価値観の転換が不可欠である。その有望な手法のひとつとして、製造システムの柔軟性を高めることが挙げられる。変化に対して機敏に適応することで、廃棄物の削減とリソースの有効活用を実現し、継続的な再利用と再生を基本とする循環型の生産体制を確立できる。
多くの課題もあるが、製造業ではすでに多くのリーダーや企業が協力体制を築いており、データ、分析、自動化技術を活用した先進テクノロジーを積極的に取り入れている。これにより、顧客は多くの情報に基づいて判断し、賢く商品を選定し、持続可能な業務を実践し、温室効果ガスの排出量を削減するなど、多岐にわたる取り組みを進めている。
電子部品のディストリビュータであるDigiKeyはサプライヤパートナー各社と共に、こうしたデジタル化の効果を現場で目の当たりにしている。部門を問わず、生産現場ではエネルギー消費量、水使用量、不要な労働時間とコストが実際に削減されている。
欧州における持続可能な未来に向けた先進的な取り組み
持続可能な製造業を目指す世界的な流れの中で最先端を走っているのが、欧州のリーダーと政府当局者である。欧州連合は経済地域として温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しており、2030年までに排出量を55%削減し、2050年までに気候中立を達成することを目的とした「EU気候法(EU Climate Law)」を2021年6月に採択した。非常に高い水準の目標が設定されたことから、欧州におけるすべての産業分野に抜本的な変革が求められており、中でも製造業は特に重要な役割を果たすことが期待されている。
脱炭素化を求める声が高まる中、欧州連合では報告義務や遵守期限など企業に対するルールを合理化、簡素化するため、新たな包括的規則を提案しているところである。これが承認されれば、企業における管理と報告の負担軽減と持続可能な未来に向けた取り組みへの投資の促進が期待される。
持続可能性に関する目標を達成するには総合的な取り組みが不可欠であり、「すべての人が責任の一端を担う」必要がある。したがって、一人ひとり、すべての部署、すべてのプロセスが持続可能性の実現に貢献することが求められる。
2023年のIDC Global Sustainability Readiness調査によると、EMEA地域ではメーカーの45%が持続可能性の具体的な取り組みを進める最大の要因として「ビジネスパートナーから持続可能性に関する要件を提示された」、次いで「持続可能でない業務を実施することで発生するリスクを抑えたい」、「ブランドイメージを高めたい」を挙げている。
持続可能性の最適化には「柔軟性」が必須
取り組みを進める大きな要因が整ってきた現在、柔軟な生産体制への移行が持続可能性と効率化の両立に良い効果をもたらし始めている。DigiKeyの仕入先であり、セキュリティ、AV、低電圧製品分野で存在感を発揮する半導体メーカーAnalog Devices(ADI)もこの潮流を目の当たりにしている。実際、ADIの顧客は自社工場に柔軟な生産体制を導入し、必要なときにすばやく生産ラインを切り替え、地域ごとのニーズにもスピーディに応えられるようにした。
柔軟な生産とは、市場の需要変動に迅速に対応できる生産方式を指す。自動化を用いて生産工程を管理することで、以下のような成果が期待できる。
廃棄物の削減:市場における需要の変化にすばやく反応して過剰生産を防ぐことで、リソースの廃棄量と環境負荷を削減する。たとえば、電子機器のバッテリ寿命を延ばすことで、携帯電話などの製品寿命が伸び、リサイクルも容易になる。
リソース利用の最適化:生産ラインに再生可能エネルギーを取り入れて資源使用の最適化とエネルギー消費の削減を図ることには大きなメリットがある。最近、私が訪問したSchneider Electricでは排水処理による水素生成とCO2排出量削減を実現している。さらに太陽光発電なども行っており、持続可能性につながるすばらしい活動に力を入れている。
デジタル信号を接続:データが支える持続可能性
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