家電を共通のバッテリーで動かすと何が便利? 山善「バッテリー家電」の狙い

2024年5月16日(木)20時20分 ITmedia NEWS

ポータブル電源で共通バッテリーを充電中

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 山善は5月15日、共通のバッテリーパックで動く家電シリーズ「ELEIN」を発表した。6月上旬から夏にかけ、スポットクーラーや扇風機、保冷温庫などを順次発売する。
 発想としては、広く普及した電動工具の着脱式バッテリーを活用し、現場用の掃除機や電子レンジまで販売しているマキタに近い。事実、山善もマキタの電動工具用バッテリーがベンチマークだと公言している。
 複数のバッテリーを持っていれば、例えば扇風機のバッテリーが切れたらクーラーに装着していたバッテリーを拝借するといった使い回しができる。バッテリーを交換できる扇風機なら、バッテリーが切れても通常のコードレス扇風機と違い、コードレスのまま使い続けられる。もちろん使う場所を選ばないというコードレス家電のメリットも大きい。
 それだけではない。シリーズ名の「ELEIN」は、「ELECTRIC」に「IN」を掛け合わせた造語だという。電気を使う家電だけではなく、電気をつくる太陽光パネル、電気を貯めるポータブルバッテリーも用意することでアウトドアや防災グッズとしての利便性を加え、さらに節電にも向いた家電としての需要も取り込む考え。
 山善は「現状、工具や一部家庭用品でしか使われていないパック式のリチウムイオンバッテリーを家電と掛け合わせ、電気にまつわる社会課題の解決を目指す」としている。
●スポットクーラーと扇風機から
 共通バッテリーの容量は90Whで、同シリーズの充電器にセットすると約2時間で充電できる。またUSB Type-C出力(PD20W)もあり、大きめのモバイルバッテリーとして使うこともできる。直販価格は、充電器付きのスタートキットで1万890円。
 「コンパクトクーラー」は、工事不要で設置でき、周囲より約10度低い冷風を出す、いわゆるスポットクーラーだ。共通バッテリーを4個搭載して2時間ほど動かせる他、ACアダプターも付属する。重量は約9.2kg(バッテリー1個の時)。直販価格は6万9795円。
 扇風機は、バッテリー1個で最長約20時間動作する。災害発生時やキャンプを想定してLEDライトも搭載した。直販価格は9009円。
 「ポータブル保冷温庫」は、-18度の冷凍保存から60度の保温まで対応するオールシーズン仕様。容量が9L、25L、35Lの3タイプがあり、9Lは共通バッテリー1個、他の2タイプは2個を搭載できる。3タイプいずれも7月に発売予定だ。
●ポータブル電源とソーラーパネル
 ポータブル電源は、リン酸鉄リチウムイオン電池を使用したもので、容量によって409.6Wh(600Wクラス)、1024Wh(1200Wクラス)、1792Wh(2400Wクラス)の3タイプをそろえた。出力はAC100V、USB Type-A、Type-C、DC5521。直販価格は409.6Whの6万4746円から。
 ソーラーパネルは、60Wと100Wの2タイプ。5種類の端子を備え、ポータブル電源やポータブル保冷温庫は直接接続して充電することも可能だ。折り畳んで持ち運べるハンドルも付いている。価格は1万7820円から。
 この他、リュックなどに取り付けて歩きながら発電できる「ポータブルソーラーパネル」(7.5W、10W)も用意した。価格は3960円から。
 山善は「今後もアイテムを増やし、3年後にシリーズ全体で売上20億円を目指す」としている。

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