「マイナンバー法等の一部改正法」の一部が5月27日付で施行 海外での「マイナンバーカード」発行など、利用者の利便向上を狙う

2024年5月27日(月)14時30分 ITmedia Mobile

マイナンバー法等の一部改正法の一部が5月27日に施行された(出典:デジタル庁)

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 2023年6月9日に公布された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(マイナンバー法等の一部改正法)」について、一部の内容が5月27日付で施行された。同日付で施行されたのは、主に「個人番号カード(マイナンバーカード)」の利便性向上に向けて盛り込まれた施策だ。この記事では、今回施行された内容を簡単に紹介する。
●海外転出時に「マイナンバーカード」を維持可能に(海外発行も)
 個人番号(マイナンバー)と、マイナンバー保有者が所持できるマイナンバーカードは、住民登録のある市町村/特別区が発行するものだ。市町村/特別区をまたいで引っ越しをした場合でも、マイナンバーとマイナンバーカードは従前のものを継続して利用できる。
 一方で、日本国外に転出(転居)する場合、個人に割り当てられたマイナンバー自体は保持されるものの、マイナンバーカードは失効(返納)手続きを行う必要があった。転居期間が数カ月〜数年である場合でも、帰国後に再度マイナンバーカードの発行手続きが必要となるため、「海外渡航してもマイナンバーカードを失効させずに済むようにしてほしい」という要望があった。
 その声に応えるべく、5月27日から国外(海外)転出をする場合も、マイナンバーカードを継続利用できるようになった。継続利用をするには、以下の条件を“全て”満たす必要がある。
・日本国籍であること
・手続き時点でマイナンバーカードが有効であること
・海外転出日が、転出の届出日の翌日以降であること
 外国籍の人、あるいは国外転出日が届出当日となる場合は、従来通りマイナンバーカードの失効手続きが必要となる。
継続利用に当たっての手続き
 継続利用に当たっては、転出元の市町村/特別区の窓口に「個人番号カード国外継続利用申請書」を提出し、カードの情報更新(ICチップ内/券面への転出表記追加)と電子証明書の更新を受ける必要がある。
 この手続きは転出手続きと同時に行えるので、マイナンバーカード(と、必要に応じて市町村/特別区が定める本人確認書類など)を忘れずに持参するようにしたい。
 なお、継続利用の手続きが後日となった場合、転出元の市町村/特別区の窓口で転出前日までに手続きを行う必要がある。手続きをせずに転出日を迎えた場合、現在のマイナンバーカードは自動的に失効となるので注意しよう。
海外居住者のマイナンバーカード新規発行について
 5月27日からは以下の条件を“全て”満たす場合に海外居住者でもマイナンバーカードの新規発行が可能となった。
・日本国籍である
・国外転出手続きを2015年10月5日以降に行っている
 新規発行/更新は、以下の窓口に直接出向くか、書類を郵送することで申請できる。オンライン手続きには対応しないので注意しよう。
・戸籍上の本籍地にある市町村/特別区の窓口
・一時滞在先の市町村/特別区の窓口
・居住国/地区を管轄する在外公館(日本国大使館/日本国総領事館)
 申請後、マイナンバーカードは2カ月程度で受け取れる。受け取りの準備が整うと、申請書に記載した受け取り窓口(市町村/特別区または在外公館)からメールで通知が届くので、その指示に従って窓口までカードを受け取りに行こう。
 なお、カードの受け取りは対面で行う必要がある(本人による申請であるかどうかを最終確認するため)。ただし、手続き窓口と受け取り窓口は“別”とすることも可能で、例えば「約2カ月後に一時帰国する予定があるので、在外公館で申請して実家のある市町村/特別区で受け取る」、あるいは「日本に滞在しているうちに滞在先の市町村/特別区で申し込んで、居住国に戻った後に在外公館で受け取る」ということも可能だ。
 受け取り場所を変更したい場合は、在外公館(※1)または交付申請書を提出した市町村/特別区の窓口に連絡すればよい。原則として書面による手続きが必要だが、戸籍上の本籍地の窓口で申請した場合は電話による連絡(※2)でも構わない。
(※1)交付申請書を提出した公館、または新しく受け取り場所として指定したい公館に限る(※2)一部の市町村/特別区ではメールでの連絡も可
●暗証番号(PIN)で本人確認する際の規定を用意
 5月27日から、マイナンバーカードによる本人確認を暗証番号(PIN)入力せずに行う、いわゆる「かざし利用」に関する規定が定められた。かざし利用のルールを明確化することでマイナンバーカードの本人確認機能の活用を促す。
 本機能は求められる認証強度の低い対面での利用、例えば「図書館での『貸出カード』としての利用」「避難所での入退室管理」といった用途での利用を想定しているという。また、マイナンバーカード自体の真正性の確認や「利用者証明用電子証明書」が有効か否かの確認にも利用可能だ。
 ただし、かざし利用はオンライン(≒対面でない)手続きや屋外(≒管理され監視された場所以外)では利用できない。また、認証で使う場合は2回目以降の認証での利用が求められる(1回目の利用時にPINやパスワードを使った厳格な認証を行う必要がある)。
 デジタル庁では、かざし利用に必要なWindows向けアプリ「マイナンバーカードかざし利用クライアントソフト」を提供している。利用に当たっては守秘義務誓約(NDA)の締結が必要なので、詳細はWebサイトで確認してほしい。
●各種国家資格のオンライン/デジタル化
 5月27日から、税や社会保障分野を中心とする約80の国家資格が「マイナンバー利用事務」に追加された。これにより、対象となる資格(免許)について6月以降順次、「マイナポータル」から以下の手続きが行えるようになる(資格によっては一部対応にとどまる場合あり)。
・資格に関する申請手続き(新規取得の申請、登録住所の変更など)
・書類添付の省略(住民票や戸籍謄本/抄本の添付が必要な場合)
・申請費用のオンライン決済
・資格者証の確認
●「公金受取口座」の登録方法の追加
 コロナ禍の反省を踏まえて制定された「公金受取口座登録制度」は、銀行口座を事前に登録しておくことで、国や自治体から給付金、児童手当や支援金などを受け取る際の手続きを簡素化できる制度だ。従来、この登録をマイナポータルで行う必要があったが、デジタルに不慣れな人に対する対策として、5月27日から年金の登録口座とひも付けられる特例制度が始まった。
 対象となるのは年金の“受給者”で、年金の支払い口座を公金受取口座として登録できる。まず、日本年金機構から対象者に制度に関する書留郵便が届く。制度に同意し、年金の支払い口座を公金受取口座として登録する場合は手続き不要だ。
 一方、制度に同意せず、登録を断る場合は一定期間内に同意しない旨を同封の返信はがきで送付する必要がある(オプトアウト式)。詳細はデジタル庁のWebサイトで確認してほしい。
 なお、公金受取口座の変更や抹消は、マイナポータルで行える他、2024年度末までに金融機関の窓口でも対応できるようになる予定だ。

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