任天堂「アラーモ」は“子育て中の親”にこそ注目してほしい逸品だった
2024年11月26日(火)13時21分 ITmedia NEWS
Alarmoの人気の理由はたくさんあります。
まずは、ゲームの世界から、そのまま出てきたかのような本体デザイン。そして「ゲームの世界で目覚める不思議な目覚まし」というキャッチコピーが示すように、よく遊んでいるヒットゲームのサウンドを目覚まし音として採用しています。
さらに寝ている人の動きを「うごきセンサー」が検知して、それに合わせて音が変化したり、目覚ましそのものの挙動に影響を与える点などがあります。
●意外と難しい設置場所
まず、Alarmoを使う上で、これはご家庭の環境次第ではありますが、とにかくいちばんハードルが高いのはその設置です。私の場合のその困難さを以下に列挙しておきます。
・ベッドの近くにちょうどAlarmoの置き場がなかった
・置き場を作るのはわりと簡単だったが、そのせいでベッド周辺の荷物が大移動になった
・荷物を移動すると積年のほこりなどが出てくるので、大掃除をする羽目になった
・しかも、その設置場所にWi-Fiがうまくとばず、ここ数年は必要なかったWi-Fi中継器を初期化して、セットアップすることになる
ということで、完全に個人的な事情ですが、想像以上にたいへんでした。
ただ、設置さえしてしまえば、それ以外の設定というのは、画面の中で全部チュートリアルが動いてくれますから、実に簡単です。
そして使っていくうちに、予想以上に効果的だったのが「おやすみサウンド」でした。機能としては、この時間以降にふとんに人が入ったら、おやすみのための音が流れるというもの。でも、これがうごきセンサーのおかげで、当然自動的に動いてくれます。また、音自体がじわじわと流れてくるんですよ。
また、Alarmoは「ベッドにいた時間」「アラームを止めるのにかかった時間」などのデータを取ってくれます。これまでスマートウォッチなどで睡眠に関するデータというのは見てきていますが、ずばり「おめざめのきろく」という“起きるまでにかかった時間”のデータを見ることができたのは、なかなか新鮮でした。
ただ、大人がAlarmoを使っていると、ある意味大人というのはダメなところがあり、ゲーム音にはだんだん飽きてきますし、そもそもふとんの中では動きたくないし、だんだん何回動けばAlarmoを黙らせることができるとかいうことにも気づいてきてしまうわけです。
ところが、大人が自分で使うものではなく、子どもが使うものして考えると、実に理にかなっていました。
小さい子どもがいる家庭で、毎日のように繰り返される「片付けなさい」「早く寝なさい」「早く起きなさい」といった声かけ。これらは500回言っても効果が薄いのが現実です。
ですが、少し想像してみてください。Alarmoがあるとこんな感じになります。
・子ども部屋を整理しないとAlarmoを設置できない
・朝が楽しみなので子どもが素直に寝る
・ふとんに入ると、Alarmoが寝かしつけてくれる(おやすみサウンド)
・子どもが起きたら、まず動かしてくれる(動くと音にユニークな変化がある)
・二度寝対策もあり(ふとんに人がいるとアラームがとまらない)
これ、最高なんですよ。
しかも、基本毎日同じ時間に起きるのであれば、一度設定してしまえば、あとはほぼ全自動です。
●日々の子育ての課題に寄り添った設計
Alarmoの設計思想を子育ての視点で見直してみると、その一つ一つの機能が、子どもの生活習慣の形成を後押ししてくれることに気づきます。面倒に思える設置の手間は部屋の整理整頓のきっかけになり、ゲーム的な要素は子供たちの自発的な行動を促します。
任天堂がどのぐらいの年齢の子どもを想定しているのかは分かりませんが、Alarmoのうごきセンサーは、本来は動作がむずかしいはずの2人で寝ている場合の設定も入っています(もちろん動きセンサーはふとんに1人しかいない方が正確に反応します)。
普通に考えれば、2人で寝ていると反応しません! という仕様にしてしまってもいいはずです。でも「2人以上で寝る場合について」という説明がちゃんと公式でされています。これは、親子で寝る場合をしっかり想定しているのだと思います。
Alarmoがリリースされたとき、SNSなどで、この製品は10年前に当時の岩田聡社長がかかげたQOL(Quality of Life)事業の中にあったノン・ウェアラブルがついに実現されたものだという声が見受けられました。それがホントかどうかを確認することはできませんが、Alarmoを実際に生活の中に入れてみると、そういった意見に納得できるものがあります。
冒頭でお話したように、Alarmoはまだしばらく入手しにくい状態が続きそうです。でも、お子さんのいるご家庭ほど導入するメリットが高いはず、ということは強くお伝えしておきたいところです。