エルニーニョ 冬にかけ発生の可能性は
10日(木)、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表。エルニーニョ現象が発生する兆候は見られず、冬にかけても平常の状態が続く可能性が高い見込みです。
7月の実況
10日(木)、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表しました。7月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値で、基準値との差は+0.1度でした(6月よりもさらに基準値に近くなりました)。太平洋赤道域の海面水温は西部から中部にかけて平年より高く、海洋表層の水温は、西部で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような海洋と大気の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いていることを示しています。
今後の見通し
上述のように、海洋と大気の状態にはエルニーニョ現象が発生する兆候が見られず、エルニーニョ予測モデルも今後冬にかけて基準値に近い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後冬にかけて平常の状態が続く可能性が60%と高い見込みです。
エルニーニョ現象とは
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
エルニーニョ現象が発生すると、太平洋赤道域の東部の海面水温が上昇する一方で、太平洋熱帯域の西部では海面水温が低下して対流活動が不活発になります。このため、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱くなり、日本の夏の天候は「低温」「多雨」「寡照(日照時間が少ない)」といった傾向になります。
【定義】
気象庁では、エルニーニョ監視海域の海面水温の 基準値との差の 5か月移動平均値が6か月以上続けて +0.5度以上となった場合を「エルニーニョ現象」、−0.5度以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義しています。
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