幻のサルボウ貝で作る、松江市のソウルフードとは?料理研究家・コウケンテツが見つけた、島根県の魅力
淡水と海水が混じり合った汽水湖、中海へ(『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』より。以下すべて)
シンプルで美味しい家庭料理が人気の料理研究家・コウケンテツさん。ユーチューブ公式チャンネルは登録者数200万人を突破し、3児の父として食育を広げる活動にも力を入れています。そんなコウさんが、NHK番組『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行』で島根県を訪れ、土地の魅力や美味しい食材を探索した様子を紹介します。
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大根島の幻のサルボウ貝
中海(なかうみ)は全国で5番目に大きな湖で、淡水と海水が混じり合った汽水湖になっています。通常の海水の塩分濃度は約3.5%ですが、中海はその2分の1ほどです。
この中海に生息しているのが、サルボウ貝。昭和30年頃には年間千トン以上の水揚げがあったそうです。その後の干拓事業による水質悪化などの影響で、70年代後半にはほとんど採れなくなり、絶滅したのではといわれていました。ところが、2005年頃に地元の漁師が偶然発見したのです。
漁師の柏木利徳さんたちは、なんとか伝統の味を蘇らせたいと養殖業を開始。2023年は年間8トンの漁獲があり、軌道に乗りました。
漁師の柏木利徳さん
蘇った松江のソウルフード
(1)鍋に入れた酒、みりん、醤油が煮立ち始めたら、よく洗ったサルボウ貝を入れる。
(2)5分ほどで貝が開き始める。身が固くならないよう、煮すぎないことがポイント。
(3)味が馴染んだら、煮付けの完成。
『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2——-沖縄 宮古島・本島 大分 別府温泉 島根 松江・出雲』(著:NHK「コウケンテツの日本100年ゴハン紀行」制作班/中央公論新社)
毎週末に開かれる食事会
サバ好きの男たちの宴
日本海の美味しい魚のなかでも、島根県民が大好きなのはサバ。全国で常に消費量の1位、2位を競っています。
松江市の日本海沿いにある鹿か島しま町を歩いていると、なにやら男たちの騒がしい声が……。訪ねてみると、料理好きの男たちが毎週末に集まる食事会の最中。コウさんも入れてもらうことにしました。
まず勧められたのは、サバの身とはらわたを3か月漬け込んだ、この地域伝統のサバの塩辛。「この熟成度と発酵がすごく美味しい」とコウさん。
伝統の味、サバの塩辛
さらに、サバの塩辛を使った生姜のたたきやイカのバター炒め、パスタなど、それぞれが考えたアレンジ料理が盛りだくさん。みなさんプロ級の腕前です。
リーダーの田中宏明さんは、漁師の父親の味を受け継ぎ、加工場を開設以来およそ三十年、県外にも出荷しています。
※本稿は、『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
婦人公論.jp
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