料理研究家のコウケンテツが見つけた、沖縄・伊良部島の魅力。サンゴ礁での伝統漁業「アギヤー漁」とは?獲れたグルクンで作る唐揚げは、みそ汁に入れても絶品!
2024年4月15日(月)12時30分 婦人公論.jp
水深約20〜30メートルほどの海底に設置した網へと魚を追い込む(『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』より。伊良部漁業協同組合提供)
シンプルで美味しい家庭料理が人気の料理研究家・コウケンテツさん。ユーチューブ公式チャンネルは登録者数200万人を突破し、3児の父として食育を広げる活動にも力を入れています。そんなコウさんが、NHK番組『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行』で沖縄県の伊良部島を訪れ、土地の魅力や美味しい食材を探索した様子を紹介します。
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サンゴ礁での伝統漁業
朝5時。沖縄の旅は、沖縄本島から南西に約300キロ、日の出前の伊良部(いらぶ)島の漁港から始まりました。コウさんは沖縄の伝統的な「アギヤー漁」に同行することにしたのです。
この海域では海底の岩やサンゴに引っかかるため底引き網が使えません。そこで、船から垂らした網を岩などで海底に固定し、漁師たちは泳いで袖網(そであみ)に沿ってグルクン(和名・タカサゴ)の群れを行き止まりの袋網(ふくろあみ)まで追い込んでいくのです。
その時に活躍するのが黄色い房がついた「サッビャ」と呼ばれる長い棒で、魚を威嚇しながら誘導します。
アギヤー漁は、夏は主にグルクンの稚魚をとり、これがカツオ漁の餌になります。アギヤー漁がなければ島のカツオ漁も成り立ちません。そして、秋になると食用になるグルクンの成魚を獲るのです。
船長の上原一幸さん(右上)、操舵も担う上原さんを含め、漁師6人一組で漁へ向かう
漁師が減り続けるなかで
昭和50年代には伊良部島だけでも70人を超えるアギヤー漁の漁師がいましたが、いまでは20人に。上原一幸さんたちのアギヤー漁は、20代から70代までの6人がチームになって海に出ます。
「おじいちゃんたちの力ってすごいなと本当に思います。だから、どうにかしてつないでいかなければ」
愛知県の自動車メーカーに勤めていた上原さんは、アギヤー漁師だった父親のあとを継ぐために、9年前に島に戻ってきました。
「帰ってきてやってみたら、こんなに楽しくて、人生に刺激をもらえる仕事はなかなかない。これからも続けていきたい」と上原さんはいいます。
グルクンは小骨の多い魚なので、唐揚げにするのが一番美味しい食べ方なのだとか。そのグルクンの唐揚げを丸ごと入れた味噌汁は、伊良部島ならではの家庭の味になっています。
『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2——-沖縄 宮古島・本島 大分 別府温泉 島根 松江・出雲』(著:NHK「コウケンテツの日本100年ゴハン紀行」制作班/中央公論新社)
グルクンの唐揚げ
身が丸ごと入った「グルクンの唐揚げの味噌汁」作り方
(1)身に切れ目を入れる
(2)薄力粉をしっかりまぶす
(3)高温の油でしっかり揚げる。頭から尻尾まですべて食べられるグルクンの唐揚げの完成
(4)グルクンの唐揚げを二つに折って鍋の中へ入れる
(5)野菜と味噌を加えると、グルクンの唐揚げの味噌汁が完成
※本稿は、『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
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