「国民を肉体精神的に堕落させる」北朝鮮”ある女性社長”の欲望商法
北朝鮮で高利貸しは違法だが、実際にはヤミ金が横行している。利子は非常に高く、返済に行き詰まった債務者に対するひどい取り立てを行うなど、社会問題となっている。
取り締まりは行われているものの、ヤミ金がなければ、経済の様々な場面で必要となる資金調達そのものが不可能になってしまうため、根絶は極めて困難だ。北朝鮮北部、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、ひどい取り立ての一例を紹介した。
事が起きたのは、ジャガイモの名産地として知られる大紅湍(テホンダン)郡でのこと。ヤミ金業を営む30代女性は、夫に先立たれ、コロナ鎖国で生活苦に追い込まれた人々を相手にカネを貸し、生計を立てていた。
彼女は、知り合いの薬草業者の夫婦に6ヶ月の期限で2000元(約3万6000円)を貸した。しかし、業者は期限になってもカネを用意できず、返済に行き詰まってしまった。
それを知った女性は、家財道具を売り払ってでも返済するように要求したが、それもうまくいかなかった。そこで夫婦から「10日以内に返済できないなら、夫を渡す」という誓約書を取り付けた。実はこの女性、夫婦の夫に以前から恋愛感情を抱いており、借金をネタにして夫を略奪しようと画策したのだった。
完済できれば夫を返すと言って、女性は夫を連れ去った。この異様な話は、人民班(町内会)に知れ渡り、人民班長は町内で非難の声が高まっているとして、安全部(警察署)に通報した。しかし安全部は、些細な問題で手を出すのは面倒だとして、問題にしなかった。
しかし、見過ごせる問題ではないと思った人民班長は、両江道検察所に通報した。検察所は、この問題を放置すれば社会主義のイメージが悪くなり、「国民を肉体精神的に堕落させる現象が次々に起きるだろう」と判断、捜査に乗り出した。
その結果、先月21日の午前、公開裁判が開かれ、検察所、朝鮮労働党両江道委員会と大紅湍郡委員会、人民委員会(道庁)の責任イルクン(組織のトップ)、一般住民など200人が参加した。
その場には、件の女性を含めてヤミ金融業を営んでいた12人が引き立てられ、それぞれ判決が下されたが、中でも重罪とみなされたのはこの女性だ。11人に対しては労働鍛錬隊(軽犯罪者を収監する刑務所)行きの判決が下されたのに反して、女性に対しては労働教化刑(懲役刑)8年の判決が下され、咸興(ハムン)教化所に送られたとのことだ。
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